「JAK阻害薬」の記事一覧

潰瘍性大腸炎-ステロイド依存性があり、JAK阻害薬を使用した症例《臨床強化書》
潰瘍性大腸炎-ステロイド依存性があり、JAK阻害薬を使用した症例《臨床強化書》
ステロイド依存性があり、JAK阻害薬を使用した症例 今田未来さん(25歳女性) 前医 CSと病理画像 ②治療方針を考えてみましょう
TNF阻害剤の効果が不十分な成人関節リウマチ患者におけるリツキシマブ、アバタセプト、トシリズマブの有効性の比較:プロスペクティブ・コホート試験
TNF阻害剤の効果が不十分な成人関節リウマチ患者におけるリツキシマブ、アバタセプト、トシリズマブの有効性の比較:プロスペクティブ・コホート試験
Comparative effectiveness of rituximab, abatacept, and tocilizumab in adults with rheumatoid arthritis and inadequate response to TNF inhibitors: prospective cohort study BMJ 2019 Jan 24 ;364:l67 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【目的】関節リウマチ治療における3種類の非腫瘍壊死因子(TNF)α阻害剤(リツキシマブ、アバタセプト、トシリズマブ)の有効性と安全性を比較する。 【デザイン】集団ベースの前向き研究 【設定】フランスの大学53施設と大学以外の54施設の臨床センター 【参加者】1987年のAmerican College of Rheumatology基準による関節リウマチ患者(18歳以上)3162人。 【参加者】1987年のAmerican College of Rheumatologyの基準による関節リウマチの成人(18歳以上)3162人で、3つのフランスリウマチ学会登録のいずれかに登録され、重度の心血管疾患、活動性および重度の感染症、重度の免疫不全がなく、少なくとも24ヶ月のフォローアップが行われた人たち。 【介入】関節リウマチに対するリツキシマブ、アバタセプト、またはトシリズマブの静脈内投与を開始した。 【主要評価項目】主要アウトカムは、24ヵ月時点で障害がなく薬剤が維持されていることであった。失敗とは、全死亡、リツキシマブ、アバタセプト、またはトシリズマブの投与中止、新しい生物学的製剤または従来の疾患修飾性抗リウマチ薬の併用投与の開始、または連続した2回の診察時にベースラインと比較してコルチコステロイド量が10mg/日以上増加したことと定義された。非比例ハザードのため、治療効果は、失敗のない平均生存期間の差を示す、失敗のない平均余命差(LEDwf)で示された。 【結果】失敗のない平均生存期間は、リツキシマブで19.8カ月、アバタセプトで15.6カ月、トシリズマブで19.1カ月であった。平均生存期間は、リツキシマブ(LEDwf 4.1、95%信頼区間3.1~5.2)およびトシリズマブ(3.5、2.1~5.0)がアバタセプトよりも長く、トシリズマブはリツキシマブと比較して不確かである(-0.7、-1.9~0.5)ことが示されました。死亡のない平均生存期間、癌や重篤な感染症の有無、主要な有害心血管イベントについては、治療間の差を示す証拠は見つからなかった。 【結論】日常診療でフォローアップされている難治性関節リウマチの成人において、リツキシマブとトシリズマブは、アバタセプトと比較して2年後の転帰がより改善することと関連していた。 第一人者の医師による解説 JAK阻害薬含む治療薬の組み合わせ 実臨床のコホート研究で解析を 林 映/沢田 哲治(教授) 東京医科大学病院リウマチ膠原病内科 MMJ.August 2019;15(4) 関節リウマチ(RA)治療の原則 は、“treat-totarget(目標達成に向けた治療;T2T)”の治療アルゴリズムに従い、定期的に疾患活動性を評価し治療の適正化を図ることである。RAの標準治療薬であるメトトレキサート(MTX)で効果不十分な場合には生物学的製剤やJAK阻害薬が併用される。 承認時期の違いから従来 MTX不応例にはTNF阻害薬が最初に選択されてきたが、TNF阻害薬不応例も少なくない。この際、2剤目の生物学的製剤としてTNF阻害薬ではなくnon-TNF阻害薬を選択する方が高い治療効果が得られることが示されている(1)。 しかし、各 non-TNF阻害薬の優劣に関する情報は限られていた。 本論文でGottenbergらは、フランスのnon-TNF阻害薬を用いたRA患者のコホート (Autoimmunity and Rituximab[AIR]、Orencia and Rheumatoid Arthritis[ORA]、REGistryRoAcTEmra[REGATE]:それぞれ抗 CD20抗体 [リツキシマブ;RTX]、T細胞選択的共刺激調節薬 [アバタセプト;ABT]、抗 IL-6受容体抗体[トシリ ズマブ;TCZ])を用いて、各薬剤の有用性の比較を試みた。治療選択バイアス回避には傾向スコアを用いた逆確率重み付け法が用いられた。重み付け後の各コホートでは中央値で2剤のTNF阻害薬 の使用歴を有していたので、各薬剤のTNF阻害薬 不応例に対する治療効果の優劣に関する解析となった。その結果、RTXとTCZはABTよりも治療継続率や疾患活動性改善率において優れていることが示された。ABTは重篤な感染症が他剤と比較して 少ないと報告されているが(2)、本報告では3群間で 重篤有害事象に差はなく、RTXとTCZの高い治療継続率は安全性よりも有効性に起因したと著者らは考察している。本研究ではABTの有用性が低かったが、1剤目のTNF阻害薬の次に2番目の生物学的製剤としてABTが選択されていれば、より高い治 療効果が得られていた可能性はある。 RTXは日本では適応はなくRAに用いられなが、TCZとABTは近年 MTX不応例の第1選択薬として使用されることも多い。また、JAK阻害薬も3 剤上市され使用頻度が上昇している。今後はMTX 不応例 にTNF阻害薬、non-TNF阻害薬、JAK阻害薬をどの順に組み合わせて使用していくのが優れているかについてエビデンスを構築する必要がある。この際ランダム化比較対照試験を組むのは困難であり、本研究のようにリアルワールドのコホートデータを活用することは有用な研究手法であり、今後の解析が待たれる。 1. Gottenberg JE, et al. JAMA. 2016;316(11):1172-1180. 2. Strand V, et al. Arthritis Res ¬Ther. 2015;17:362.
シクロホスファミド+JAK1阻害薬の予防投与でハプロ移植後のGVHD、CRSが改善/Blood
シクロホスファミド+JAK1阻害薬の予防投与でハプロ移植後のGVHD、CRSが改善/Blood
公開日:2024年12月6日 Abboud R, et al. Blood. 2024 Nov 22. [Epub ahead of print]  造血器悪性腫瘍に対するハプロ移植は、世界的に増加している。ハプロ移植における移植片対宿主病(GVHD)は、移植後のシクロホスファミド投与により改善したが、依然として生命を脅かす合併症の懸念は残っている。インターフェロンγ(IFNγ)やインターロイキン 6(IL-6)は、GVHDおよびサイトカイン放出症候群(CRS)の病態生理学の中心に位置付けられており、これらのサイトカインは、ヤヌスキナーゼ(JAK)1を介してシグナル伝達している。米国・ワシントン大学のRamzi Abboud氏らは、ハプロ移植による合併症を軽減し、全生存期間を向上させるため、移植後の標準的なGVHD予防であるシクロスポリンにJAK1選択的阻害薬itacitinibを併用した際の有効性および安全性を評価したオープンラベル単群試験を実施した。Blood誌オンライン版2024年11月22日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者は42例。移植3日前から移植後100日または180日までitacitinib 200mg/日投与を行い、その後漸減した。 ・itacitinib併用によりCRSのグレードは低下し、すべての患者はグレード0(22%)または1(78%)となり、グレード2以上のCRSは発生しなかった。 ・一次性生着不全は認められなかった。 ・移植後180日目までにグレード3〜4の急性GVHDは発生しなかった。 ・移植後100日目におけるグレード2の急性GVHDの累積発生率は21.9%。 ・中等度または重度の慢性GVHDの1年累積発生率は5%。 ・再発の2年累積発生率は14%。 ・1年OSは80%。 ・移植後180の非再発死亡の累積発生率は8%。  著者らは「ハプロ移植における標準的なGVHD予防にJAK1選択的阻害薬itacitinibを併用することは、忍容性が良好で、CRS、急性GVHD、慢性GVHD、非再発死亡の発生率が低く、移植後のGVHDフリーの無再発生存期間(RFS)およびOSに寄与することが示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Abboud R, et al. Blood. 2024 Nov 22. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39576962 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
新たな治療戦略となるか!JAK2経路の選択的阻害でCAR-T細胞療法を強化可能
新たな治療戦略となるか!JAK2経路の選択的阻害でCAR-T細胞療法を強化可能
公開日:2025年2月11日 Mitsuno K, et al. Cancer Immunol Immunother. 2025; 74: 79.  分子標的薬とCAR-T細胞療法の組み合わせは、免疫療法の抗腫瘍効果を高めるための新たな治療戦略である。CD19を標的としたCAR-T細胞療法とヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬は、フィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)などの特定のB細胞性白血病に対し、それぞれ有効性を示すが、ルキソリチニブなどのJAK1/2阻害薬の併用は、JAK1依存性T細胞活性化経路を阻害することでCAR-T細胞の作用を減弱させるとされている。京都府立医科大学の三野 耕平氏らは、選択的II型JAK2阻害薬であるCHZ868とCD19標的CAR-T細胞療法との併用を検討した。その結果、JAK2変異状態とは無関係に、B細胞腫瘍モデル全体で、抗白血病活性が相乗的に増強されることを報告した。Cancer Immunology, Immunotherapy誌2025年2月1日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・CHZ868によるJAK2阻害は、CAR-T細胞の疲弊化を誘発することなく、抗腫瘍効果が維持された。 ・JAK2阻害耐性白血病細胞を移植したマウスモデルにおいて、生存率の有意な延長が認められた(生存期間中央値:CD19 CAR-T+CHZ868群:32日、CD19 CAR-T+対照群:26日、p=0.0303)。 ・トランスクリプトーム解析では、CH868がCAR-T細胞の分化を阻害しながら、CAR-T細胞の機能維持に重要な要素である増殖能を維持することが示唆された。  著者らは「JAK2経路の選択的阻害は、CAR-T細胞療法を強化し、耐性B細胞性白血病患者に実行可能な治療戦略となりうる可能性が示唆された」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Mitsuno K, et al. Cancer Immunol Immunother. 2025; 74: 79.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39891728 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら