新たな治療戦略となるか!JAK2経路の選択的阻害でCAR-T細胞療法を強化可能
血液内科 Journal Check

新たな治療戦略となるか!JAK2経路の選択的阻害でCAR-T細胞療法を強化可能

公開日:2025年2月11日

Mitsuno K, et al. Cancer Immunol Immunother. 2025; 74: 79.
 分子標的薬とCAR-T細胞療法の組み合わせは、免疫療法の抗腫瘍効果を高めるための新たな治療戦略である。CD19を標的としたCAR-T細胞療法とヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬は、フィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)などの特定のB細胞性白血病に対し、それぞれ有効性を示すが、ルキソリチニブなどのJAK1/2阻害薬の併用は、JAK1依存性T細胞活性化経路を阻害することでCAR-T細胞の作用を減弱させるとされている。京都府立医科大学の三野 耕平氏らは、選択的II型JAK2阻害薬であるCHZ868とCD19標的CAR-T細胞療法との併用を検討した。その結果、JAK2変異状態とは無関係に、B細胞腫瘍モデル全体で、抗白血病活性が相乗的に増強されることを報告した。Cancer Immunology, Immunotherapy誌2025年2月1日号の報告。
主な結果は以下のとおり。
・CHZ868によるJAK2阻害は、CAR-T細胞の疲弊化を誘発することなく、抗腫瘍効果が維持された。 ・JAK2阻害耐性白血病細胞を移植したマウスモデルにおいて、生存率の有意な延長が認められた(生存期間中央値:CD19 CAR-T+CHZ868群:32日、CD19 CAR-T+対照群:26日、p=0.0303)。 ・トランスクリプトーム解析では、CH868がCAR-T細胞の分化を阻害しながら、CAR-T細胞の機能維持に重要な要素である増殖能を維持することが示唆された。
 著者らは「JAK2経路の選択的阻害は、CAR-T細胞療法を強化し、耐性B細胞性白血病患者に実行可能な治療戦略となりうる可能性が示唆された」としている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Mitsuno K, et al. Cancer Immunol Immunother. 2025; 74: 79.
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39891728

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