「ルキソリチニブ(ジャカビ)」の記事一覧

ステロイド抵抗性急性GVHDに対するルキソリチニブ〜REACH2試験日本人サブグループ解析
ステロイド抵抗性急性GVHDに対するルキソリチニブ〜REACH2試験日本人サブグループ解析
公開日:2024年6月4日 Teshima T, et al. Int J Hematol. 2024 May 25. [Epub ahead of print]  急性移植片対宿主病(GVHD)は、日本および世界における同種造血幹細胞移植後の主な合併症である。標準的な全身ステロイド療法で効果不十分な患者は約3分の1といわれており、日本では第2選択治療が確立されていない。北海道大学の豊嶋 崇徳氏らは、ステロイド抵抗性急性GVHDの日本人患者を含む国際共同第III相REACH2試験の日本人サブグループ解析より、最良の治療(best available therapy:BAT)と比較したルキソリチニブの有効性および安全性を評価した。International Journal of Hematology誌オンライン版2024年5月25日号の報告。  REACH2試験の対象は、日本人30例を含む急性GVHD患者309例。日本人急性GVHD患者の内訳は、ルキソリチニブ群9例、BAT群21例であった。主要エンドポイントは、28日目の全奏効率(ORR)とした。 主な結果は以下のとおり。 ・ルキソリチニブ群でBAT群よりも、28日目(88.9% vs. 52.4%)および56日目(66.7% vs. 28.6%)のORRが高かった。 ・6ヵ月時点での治療反応喪失の推定累計発生率は、ルキソリチニブ群で12.5%、BAT群で18.2%であった。 ・ルキソリチニブ群は、BAT群と比較し、無増悪生存期間中央値が長かった(2.73ヵ月 vs. 1.25ヵ月)。 ・ルキソリチニブ群とBAT群で28日目までに最も多く認められた有害事象は、貧血(各々、55.6% vs. 19.0%)、血小板減少症(44.4% vs. 4.8%)であった。  著者らは「日本人サブグループ解析において、ルキソリチニブはBATと比較し、良好な有効性アウトカムを有し、安全性プロファイルも一貫しており、これらの結果は全体的な研究結果と一致していた」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Teshima T, et al. Int J Hematol. 2024 May 25. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38796666 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
新たに承認された骨髄線維症治療薬モメロチニブの日本人サブ解析結果
新たに承認された骨髄線維症治療薬モメロチニブの日本人サブ解析結果
公開日:2024年8月8日 Shimoda K, et al. Int J Hematol. 2024 Aug 7. [Epub ahead of print]  モメロチニブは、ヤヌスキナーゼ(JAK)1、JAK2の阻害に加え、アクチビンA受容体1型(ACVR1)を阻害する1日1回経口投与の骨髄線維症(MF)治療薬として、2024年6月に本邦でも承認された。主要な第III相臨床試験であるMOMENTUM試験およびSIMPLIFY-1試験において、MF患者の症状、脾臓、貧血に対する改善効果が報告されている。宮崎大学の下田 和哉氏らは、JAK阻害薬未治療の日本人MF患者におけるモメロチニブとルキソリチニブの有効性および安全性を評価するため、SIMPLIFY-1試験のサブ解析を行った。International Journal of Hematology誌オンライン版2024年8月7日号の報告。  対象は、国際共同第III相ランダム化二重盲検比較試験SIMPLIFY-1試験に参加したJAK阻害薬未治療の日本人MF患者。対象患者は、モメロチニブ群(200mg 1日1回)またはルキソリチニブ群(20mg 1日2回)に1:1でランダムに割り付けられ、24週間治療を行った。その後、非盲検でモメロチニブの投与を行った。主要エンドポイントは、24週時点での脾臓縮小率(SRR、脾臓容積35%以上減少)とし、副次的エンドポイントは、総合症状スコア(TSS)反応率(50%以上減少)、輸血非依存率とした。 主な結果は以下のとおり。 ・日本人MF患者15例(モメロチニブ群:6例、ルキソリチニブ群:9例)が登録され、全例が治療を完了した。 ・24週時点でのSRRは、モメロチニブ群50.0%、ルキソリチニブ群44.4%であった。 ・TSS反応率は、モメロチニブ群33.3%、ルキソリチニブ群0%であった。 ・輸血非依存率は、モメロチニブ群83.3%、ルキソリチニブ群44.4%であった。 ・すべてのグレードにおける治療関連有害事象(TRAE)の発生率は、モメロチニブ群83.3%、ルキソリチニブ群88.9%であった。 ・グレード3〜4のTRAE発生率は、モメロチニブ群0%、ルキソリチニブ群55.6%(貧血[55.6%]、めまい[11.1%])であった。  著者らは「JAK阻害薬未治療の日本人MF患者に対しモメロチニブは、忍容性が良好であり、脾臓や症状の改善および輸血の必要性を減少させることが明らかとなった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Shimoda K, et al. Int J Hematol. 2024 Aug 7. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39110143 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
真性多血症に対するルキソリチニブ+PEG-IFN-α2a併用療法/Blood Adv
真性多血症に対するルキソリチニブ+PEG-IFN-α2a併用療法/Blood Adv
公開日:2024年8月23日 Soerensen. AL Dr, et al. Blood Adv. 2024 Aug 20. [Epub ahead of print]  新たに真性多血症(PV)と診断された患者を対象に、ルキソリチニブと低用量ペグインターフェロンアルファ-2a(PEG-IFN-α2a)併用療法の有用性を評価した第II相COMBI II試験における2年間の研究結果を、デンマーク・Zealand University HospitalのAnders Lindholm Soerensen Dr.氏らが、報告した。Blood Advances誌オンライン版2024年8月20日号の報告。  主要アウトカムは安全性、主な副次的エンドポイントは血液学的パラメータ、QOL、JAK2V617F変異アレル量(VAF)に基づく有効性とした。IWG-MRTとELNによるPVの2013年版治療効果判定基準(PV-A)を用いた。寛解基準には、症状、脾腫、末梢血球数、骨髄の寛解が含まれた。 主な結果は以下のとおり。 ・対象は、真性多血症患者25例(平均年齢:70歳)。そのうち5例は血栓塞栓症の既往歴があり、3例はCTで脾腫が認められた。 ・両薬剤を中止した患者は2例。そのうち1例はPV後に骨髄線維症へ進行し、この症例においてのみグレード3の感染症が認められた。 ・帯状疱疹の症状は観察されなかった。 ・精神症状により治療中止した患者はいなかった。 ・末梢血球数の寛解率は、24ヵ月時点で92%であった。 ・PV-Aを用いた評価では、24ヵ月時点での寛解達成は14例(56%)、完全寛解(CR)は3例(12%)、部分寛解(PR)は11例(44%)であった。 ・骨髄増殖性腫瘍症状総合スコアの腹部不快感、寝汗、掻痒感、骨痛の有意な改善が認められた。 ・JAK2V617F VAF中央値は、47%(95%CI:35〜59)から7%(95%CI:3〜15)へ減少し、分子遺伝学的寛解達成率は60%であった。  著者らは「ルキソリチニブ+PEG-IFN-α2a併用療法は、真性多血症患者の細胞数、骨髄細胞密度、繊維化を改善し、JAK2V617F VAFの減少および許容範囲内の毒性を有する治療法であることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Soerensen. AL Dr, et al. Blood Adv. 2024 Aug 20. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39163611 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら