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DLBCL
メトホルミン+L-アスパラギナーゼ併用はDLBCLの新たな治療法となりうるか
公開日:2025年2月25日
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、非ホジキンリンパ腫で最も一般的なタイプであり、B細胞から発生するアグレッシブかつ不均一な腫瘍を特徴とする。とくに、再発・難治性の場合では、依然として治療困難な悪性腫瘍の1つである。悪性腫瘍細胞の特徴として、代謝の再プログラミングが挙げられる。フランス・Universite Paris CiteのLeonardo Lordello氏らは、代謝の脆弱性をターゲットとし、再発・難治性DLBCL患者の臨床アウトカムを改善させるための戦略を検討した。Cancers誌2025年1月24日号の報告。
米FDAで承認されている2つの抗代謝薬であるメトホルミンおよびL-アスパラギナーゼの併用がDLBCL細胞の代謝および生存に及ぼす影響を調査した。薬剤併用により誘発される代謝阻害の評価には、NMR分光法を用いた。脂質代謝、糖代謝、グルタミン代謝、トリカルボン酸(TCA)サイクル、抗酸化作用への影響を調査した。アポトーシス誘導の評価には、FACG分析を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・メトホルミンとL-アスパラギナーゼの併用は、酸化的リン酸化またはBCR/解糖系の状態に関わらず、DLBCL細胞のアポトーシスに対し、強い感受性を示した。 ・NMR分光法では、メトホルミンとL-アスパラギナーゼの併用は、いずれかの単剤の場合よりも、広範な代謝阻害を示すことが明らかとなった。 ・リン脂質、コレステロール、脂肪酸のレベルを調整することで、脂質代謝を阻害すると考えられる。 ・さらに、メトホルミンの糖代謝促進作用を打ち消し、解糖およびグルタミン代謝を減少させた。 ・また、細胞のエネルギー生成と酸化還元バランスに重要なTCAサイクルと抗酸化作用にも影響を及ぼすことが示唆された。 ・メトホルミンとL-アスパラギナーゼの併用は、がん生存に対して重要な2つの経路であるmTORC1およびMAPKシグナル伝達を阻害した。 ・これらの有益な影響が、DLBCL患者において実証された。
著者らは「メトホルミンとL-アスパラギナーゼの併用は、複数の代謝経路をターゲットとしてDLBCL細胞の生存に影響を及ぼすことから、再発・難治性DLBCLに対する新たな治療法となる可能性が示唆された」と結論付けている。
米FDAで承認されている2つの抗代謝薬であるメトホルミンおよびL-アスパラギナーゼの併用がDLBCL細胞の代謝および生存に及ぼす影響を調査した。薬剤併用により誘発される代謝阻害の評価には、NMR分光法を用いた。脂質代謝、糖代謝、グルタミン代謝、トリカルボン酸(TCA)サイクル、抗酸化作用への影響を調査した。アポトーシス誘導の評価には、FACG分析を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・メトホルミンとL-アスパラギナーゼの併用は、酸化的リン酸化またはBCR/解糖系の状態に関わらず、DLBCL細胞のアポトーシスに対し、強い感受性を示した。 ・NMR分光法では、メトホルミンとL-アスパラギナーゼの併用は、いずれかの単剤の場合よりも、広範な代謝阻害を示すことが明らかとなった。 ・リン脂質、コレステロール、脂肪酸のレベルを調整することで、脂質代謝を阻害すると考えられる。 ・さらに、メトホルミンの糖代謝促進作用を打ち消し、解糖およびグルタミン代謝を減少させた。 ・また、細胞のエネルギー生成と酸化還元バランスに重要なTCAサイクルと抗酸化作用にも影響を及ぼすことが示唆された。 ・メトホルミンとL-アスパラギナーゼの併用は、がん生存に対して重要な2つの経路であるmTORC1およびMAPKシグナル伝達を阻害した。 ・これらの有益な影響が、DLBCL患者において実証された。
著者らは「メトホルミンとL-アスパラギナーゼの併用は、複数の代謝経路をターゲットとしてDLBCL細胞の生存に影響を及ぼすことから、再発・難治性DLBCLに対する新たな治療法となる可能性が示唆された」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Lordello L, et al. Cancers (Basel). 2025; 17: 394.
▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39941763
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