80歳以上のDLBCL患者でもCAR-T細胞療法は検討する価値があるのか?
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80歳以上のDLBCL患者でもCAR-T細胞療法は検討する価値があるのか?

公開日:2025年3月11日

 CAR-T細胞療法の臨床試験では、高齢者の悪性リンパ腫患者に対する検討は、十分に行われていない。米国・メイヨークリニックのMohamed A. Kharfan-Dabaja氏らは、80歳以上の悪性リンパ腫患者に対する標準的なCAR-T細胞療法の安全性および有効性を評価するため、多施設共同観察研究を実施し、その結果を報告した。Bone Marrow Transplantation誌オンライン版2025年3月1日号の報告。
主な結果は以下のとおり。
・対象患者数は88例、年齢中央値は82歳(範囲:80〜89)。 ・最も多かった組織学的所見は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)であった(60例、68.2%)。 ・主に、アキシカブタゲン シロルユーセル(axi-cel:41例、46.6%)、リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel:25例、28.4%)が使用された。 ・サイトカイン放出症候群(CRS)は68例(77.3%)、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は51例(58%)で発生した。 ・grade3〜4のCRS発生率は7.4%、ICANS発生率は31.4%。 ・DLBCL/形質転換した濾胞性リンパ腫(tFL)では、1年非再発死亡率(NRM)が11.6%、再発率が40.8%、無増悪生存率(PFS)が47.6%、全生存率(OS)が61.2%であった。
 著者らは「CAR-T細胞療法は、80歳以上のB細胞リンパ腫患者に実行可能かつ効果的な治療選択肢である」と結論付けている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Kharfan-Dabaja MA, et al. Bone Marrow Transplant. 2025 Mar 1. [Epub ahead of print]
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40025178

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