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臨床強化書
血液検査の結果より気を付けたい症例~巨赤芽球性貧血~
骨髄増殖性腫瘍の早期発見を目指し、血液検査値の異常や検査結果について経験豊富な専門医へ相談できるオンラインコンサルトサービス「血ミル」を開始しました。
今回、「血ミル」回答医である照井先生に巨赤芽球性貧血について症例をもとに解説いただきました。
巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)は、血液中の赤血球が正常に形成されず、異常に大きな赤血球(巨赤芽球)が骨髄に出現する疾患です。この異常は、DNA合成の障害に起因し、細胞分裂が正常に進まないために発生します。その結果、赤血球の成熟が遅れ、機能不全や数の減少(貧血)が生じます。
原因
主な原因は、ビタミンB12または葉酸の欠乏です。これらの栄養素はDNA合成において重要な役割を果たしており、不足すると赤血球の前駆細胞が正常に分裂できなくなります。具体的な原因は以下のように分類されます。
診断は、臨床症状、血液検査を組み合わせて行います。ヘモグロビン濃度の低下とともにMCVが101以上の場合は疾患を疑い、ビタミンB12や葉酸を測定します。
ビタミンB12や葉酸を補う服薬の治療を行います。貧血が改善されると正常な赤血球が産生されるため、鉄の不足がおこることがあります。治療中は鉄量に確認と、食事の改善も重要になります。
今回、「血ミル」回答医である照井先生に巨赤芽球性貧血について症例をもとに解説いただきました。

血液領域は、難しいと感じている先生は多いと思います。医師として採血をおこなわない先生はいないと思います。血算で異常な数値をみたときに焦ることがあるかもしれませんが、この血ミルでどのような場合に専門科に紹介するべきかわかることでしょう。
概念巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)は、血液中の赤血球が正常に形成されず、異常に大きな赤血球(巨赤芽球)が骨髄に出現する疾患です。この異常は、DNA合成の障害に起因し、細胞分裂が正常に進まないために発生します。その結果、赤血球の成熟が遅れ、機能不全や数の減少(貧血)が生じます。
原因
主な原因は、ビタミンB12または葉酸の欠乏です。これらの栄養素はDNA合成において重要な役割を果たしており、不足すると赤血球の前駆細胞が正常に分裂できなくなります。具体的な原因は以下のように分類されます。
1.ビタミンB12欠乏
・ 胃の萎縮性胃炎や自己免疫疾患による内因子不足(悪性貧血)
・ 胃切除術後の内因子分泌低下
・ 腸疾患(例:クローン病、回腸切除)による吸収不良
・ 食事中のビタミンB12不足(主にベジタリアンやビーガンに多い)
・ 胃の萎縮性胃炎や自己免疫疾患による内因子不足(悪性貧血)
・ 胃切除術後の内因子分泌低下
・ 腸疾患(例:クローン病、回腸切除)による吸収不良
・ 食事中のビタミンB12不足(主にベジタリアンやビーガンに多い)
2.葉酸欠乏
・ 妊娠や慢性疾患による需要増加
・ アルコール依存症による摂取不足
・ セリアック病などの吸収障害
・ 抗てんかん薬やメトトレキサートなどの薬剤による影響
診断方法・ 妊娠や慢性疾患による需要増加
・ アルコール依存症による摂取不足
・ セリアック病などの吸収障害
・ 抗てんかん薬やメトトレキサートなどの薬剤による影響
診断は、臨床症状、血液検査を組み合わせて行います。ヘモグロビン濃度の低下とともにMCVが101以上の場合は疾患を疑い、ビタミンB12や葉酸を測定します。
1.臨床症状
・ 貧血症状:疲労感、息切れ、めまい
・ 神経症状(ビタミンB12欠乏の場合):手足のしびれ、歩行困難、記憶力低下
・ 消化器症状:舌炎、口内炎
・ 貧血症状:疲労感、息切れ、めまい
・ 神経症状(ビタミンB12欠乏の場合):手足のしびれ、歩行困難、記憶力低下
・ 消化器症状:舌炎、口内炎
2.血液検査
・ 血球計算:ヘモグロビン低値(12~18以下、男女含め)
・ MCV(平均赤血球容積)≧101
・ 血清ビタミンB12および葉酸濃度の測定
治療・ 血球計算:ヘモグロビン低値(12~18以下、男女含め)
・ MCV(平均赤血球容積)≧101
・ 血清ビタミンB12および葉酸濃度の測定
ビタミンB12や葉酸を補う服薬の治療を行います。貧血が改善されると正常な赤血球が産生されるため、鉄の不足がおこることがあります。治療中は鉄量に確認と、食事の改善も重要になります。
具体的な薬剤
・ ビタミンB12:メチコバール
・ 葉酸:フォリアミン
・ ビタミンB12:メチコバール
・ 葉酸:フォリアミン
貧血は、赤血球に含まれるヘモグロビンの量が少なくなった状態です。つまり血算でHb値が正常値を下回っていることです。そのような患者さんはではめまいや立ちくらみ、頭痛などのさまざまな症状が現れるようになります。貧血(Hb低値)が見られた場合、赤血球恒数のうち重要なのがMCV(mean corpuscular volume; 平均赤血球容積)で、その値によって小球性貧血、正球性貧血、大球性貧血に分類することができます。
大球性貧血の場合、巨赤芽球性貧血あるいは骨髄異形成症候群、網状赤血球増加などが考えられます。まずはビタミンB12と葉酸の検査をお勧めしますが、その上で専門医への紹介を検討していただければ幸いです。
大球性貧血の場合、巨赤芽球性貧血あるいは骨髄異形成症候群、網状赤血球増加などが考えられます。まずはビタミンB12と葉酸の検査をお勧めしますが、その上で専門医への紹介を検討していただければ幸いです。
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