経過観察FL患者、2年以内に治療を行うとアウトカム不良になることが判明
血液内科 Journal Check

経過観察FL患者、2年以内に治療を行うとアウトカム不良になることが判明

公開日:2024年9月30日

Liu J, et al. Br J Haematol. 2024 Sep 26. [Epub ahead of print]
 経過観察中の濾胞性リンパ腫(FL)患者では、短期間で急速に病勢進行する患者も存在する。このような患者を特定し、診断時のリスクをスクリーニングするためのリスクスコアの開発を目指して、中国・天津医科大学のJing Liu氏らは、本検討を行った。British Journal of Haematology誌オンライン版2024年9月26日号の報告。
 2008〜22年にがんセンター16施設で経過観察中のFL患者411例をレトロスペクティブに登録し、悪性リンパ腫治療開始までの期間および無増悪生存期間(PFS)を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・経過観察中のFL患者のうち、診断後24ヵ月以内に悪性リンパ腫治療を行なった患者の割合は、35%であった。 ・24ヵ月以内に治療を行った患者の5年PFSは、24ヵ月時点で治療を行わなかった患者よりも有意に低かった(62.3% vs. 89.5%)。 ・多変量解析では、24ヵ月以内に治療を行うことの独立した予測因子として、次の5つが特定された。 ●ステージIII〜IV ●β2マイクログロブリン3mg/L以上 ●リンパ球対単球比3.8未満 ●骨髄浸潤 ●脾腫 ・24ヵ月以内に治療を行うことについてのAUCは、トレーニングコホートで0.76(95%CI:0.70〜0.82)、検証コホートで0.76(95%CI:0.67〜0.85)であった。 ・リスク群においてもPFSとの関連が認められた(p<0.001)。
 著者らは「経過観察中のFL患者では、24ヵ月以内に治療を行うとアウトカム不良になることが示唆された。本研究で特定された予測因子をスクリーニングに用いることで、早期治療介入が必要な患者の特定に役立つ可能性がある」としている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Liu J, et al. Br J Haematol. 2024 Sep 26. [Epub ahead of print]
https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/39327747

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