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血液検査の結果より気を付けたい症例~二次性多血症~
骨髄増殖性腫瘍の早期発見を目指し、血液検査値の異常や検査結果について経験豊富な専門医へ相談できるオンラインコンサルトサービス「血ミル」を開始しました。
今回、「血ミル」回答医である玉井先生に二次性多血症について症例をもとに解説いただきました。
メッセージ
多血症(赤血球増加症)は循環血漿量の減少による相対的赤血球増加症と絶対的赤血球増加症に分類され、後者はさらに真性多血症と二次性多血症に分類される。
二次性多血症は、睡眠時無呼吸症候群や慢性呼吸不全、エリスロポイエチン産生腫瘍などが知られているが、近年SGLT2阻害薬が原因となることも増えている。診断にはエリスロポイエチンの測定やJAK2V617F遺伝子検査、場合によっては骨髄検査を要する。多血症は原因に関わらず(二次性でも)血栓リスクが上昇することが知られており、血液内科医とかかりつけ医の緊密な連携が重要である。
SGLT2阻害薬が原因だった二次性多血症の症例:
70代男性、2型糖尿病(ジャディアンス®、トラゼンタ® )でかかりつけの近医で多血傾向を指摘された。
血液検査数値
解説
エリスロポイエチンの抑制は認められず、常用薬にSGLT2阻害剤があったために一時的な休薬を指示し、1か月後に採血を行ったところHctは低下が確認され、二次性多血と診断した。本症例では、かかりつけ医が糖尿病薬を他剤に変更することで対応した。初診時に骨髄増殖性疾患の鑑別のためにJAK2V617F遺伝子やbcr/abl融合遺伝子の有無を末梢血で提出することもしばしば行われるが、患者さんの費用負担の問題もあり、提出前に血液内科専門医と相談してからでもよいかもしれない。また、二次性多血症ではHct55以上の場合には血栓症に特に注意が必要であり、瀉血や抗血小板薬の投与も検討される。
二次性多血症は、さまざまな要因が絡む複雑な病態ですが、早期に原因を特定し、適切に対応することで患者の安全を確保できます。今回の症例のように薬剤性が疑われる場合や診断が難しい場合は、どうぞ血ミルまでお気軽にご相談ください。
今回、「血ミル」回答医である玉井先生に二次性多血症について症例をもとに解説いただきました。

多血症(赤血球増加症)は循環血漿量の減少による相対的赤血球増加症と絶対的赤血球増加症に分類され、後者はさらに真性多血症と二次性多血症に分類される。
二次性多血症は、睡眠時無呼吸症候群や慢性呼吸不全、エリスロポイエチン産生腫瘍などが知られているが、近年SGLT2阻害薬が原因となることも増えている。診断にはエリスロポイエチンの測定やJAK2V617F遺伝子検査、場合によっては骨髄検査を要する。多血症は原因に関わらず(二次性でも)血栓リスクが上昇することが知られており、血液内科医とかかりつけ医の緊密な連携が重要である。
SGLT2阻害薬が原因だった二次性多血症の症例:
70代男性、2型糖尿病(ジャディアンス®、トラゼンタ® )でかかりつけの近医で多血傾向を指摘された。
血液検査数値
WBC | 6900 | μ | T-bil | 0.7 | mg/dl | |
Neut | 60.4 | % | AST | 43 | U/L | |
Lym | 30.1 | % | ALT | 73 | U/L | |
Mono | 6.5 | % | LDH | 245 | U/L | |
Eo | 3.0 | % | Fe | 169 | ug/ml | |
Baso | 0.7 | % | Ferritin | 216.9 | ng/ml | |
RBC | 674 | x10E4/μl | エリスロポイエチン | 11.5 | mIU/ml | |
Hb | 20.5 | g/dl | ||||
Hct | 63.9 | % | ||||
MCV | 94.8 | fL | ||||
PLT | 14.4 | x10E4/μl | ||||
網状赤血球 | 1.4 | % |
エリスロポイエチンの抑制は認められず、常用薬にSGLT2阻害剤があったために一時的な休薬を指示し、1か月後に採血を行ったところHctは低下が確認され、二次性多血と診断した。本症例では、かかりつけ医が糖尿病薬を他剤に変更することで対応した。初診時に骨髄増殖性疾患の鑑別のためにJAK2V617F遺伝子やbcr/abl融合遺伝子の有無を末梢血で提出することもしばしば行われるが、患者さんの費用負担の問題もあり、提出前に血液内科専門医と相談してからでもよいかもしれない。また、二次性多血症ではHct55以上の場合には血栓症に特に注意が必要であり、瀉血や抗血小板薬の投与も検討される。
二次性多血症は、さまざまな要因が絡む複雑な病態ですが、早期に原因を特定し、適切に対応することで患者の安全を確保できます。今回の症例のように薬剤性が疑われる場合や診断が難しい場合は、どうぞ血ミルまでお気軽にご相談ください。
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