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U45がん治療研究者が集結、がん関連三学会Rising Starネットワーキング開催~メッセージ編~
掲載日:2024年3月13日
はじめに
2024年1月27-28日、日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会の三学会主催による初めてのネットワーキングイベント「2024年がん関連三学会Rising Starネットワーキング」(於:Shimadzu Tokyo Innovation Plaza)が開催されました。 近年、がん治療の開発は急速に進み、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害剤、抗体医薬、ゲノム医療など、さまざまな治療法が広がりを見せ、飛躍的に進歩しています。臨床現場での早期普及のためにも、基礎研究、トランスレーショナル研究、臨床研究のスムーズな橋渡しが求められており、今後のがん治療の発展において最も重要な課題の1つであると考えられています。そのため、臨床チームと研究チームが連携して、よりスムーズな双方向性を実現するためには、基礎と臨床の垣根を超えた若手研究者同士の交流が求められていました。その垣根を超えるための第一歩となるイベントこそ、この「2024年がん関連三学会Rising Starネットワーキング」です。今回は本イベント運営担当の先生方ならびにオブザーバーとしてご参加された先生方から、これからの「がん治療」を担うNext Rising Star(特に研修医・医学生)に向けてメッセージをお預かりしております。基礎研究・臨床問わず、少しでも「がん治療」の道に興味がある方にはお読みいただきたいレポートとなっております。ぜひ、ご一読くださいませ。
がん治療・研究に携わることになったきっかけ
大槻 雄士 先生(藤田医科大学/日本癌学会)
外科医として臨床に従事する中で、「がんが治らない」ということに大きな衝撃を受けたのがきっかけでした。そこから、がん治療の発展に貢献したい、がん治療の開発に本当の基礎から関わっていきたい、という想いを強く持つようになり、がんの基礎研究の道に進んでいきました。加藤 大悟 先生(大阪大学/日本癌治療学会)
泌尿器科は癌診療と移植医療を同時に行う数少ない診療科であり、興味を惹かれ入局しました。大学院では移植免疫研究を行っていましたが、表裏一体の関係にある腫瘍免疫へ興味の対象が広がり、留学先を選択しました。腫瘍免疫はさらに癌ゲノム情報と密接に関係するなど、研究を開始するとさらに他の分野も知りたくなるのが研究の魅力だと考えています。後藤 悌 先生(国立がん研究センター中央病院/日本臨床腫瘍学会)
私ががん治療と研究に携わるようになったのは、祖母ががんを患っていた経験がきっかけです。その苦悩を通して、生と死に深く関わりたいという強い願いを持ちました。この経験が、がんという病気に立ち向かい、病と闘う人々のそばで支え続けることへの決意を固めさせました。
左:後藤先生 中央:大槻先生 右:加藤先生
ネットワーキングを通して感じたこと
大槻 雄士 先生(藤田医科大学/日本癌学会)
日本癌学会には、メディカルドクターでない研究者が沢山入会しています。そのような研究者の方々が、臨床腫瘍学会や癌治療学会の先生方とディスカッションをすることで新たなコラボレーションが生まれる現場を見ることができたのは大きなメリットであり、ここから新たながん治療の種が生まれる予感を感じることができました。加藤 大悟 先生(大阪大学/日本癌治療学会)
臨床医と基礎研究者がお互いの長所を知る良い機会になったと思います。同様の交流が一つの学会レベルではこれまでにもありましたが、癌関連3学会として行ったことは意義深いものでした。このネットワーキングイベントから何かGroundbreakingな研究が生まれることを願っています。後藤 悌 先生(国立がん研究センター中央病院/日本臨床腫瘍学会)
ネットワーキングイベントはがん研究の多様性を知る貴重な機会となりました。自らの研究を客観的に評価するきっかけを提供し、他の参加者の研究とのつながりから新たなステップへ進む動機付けにもなりました。今後の課題としては、このような交流をさらに深め、具体的な共同研究へと発展させる方法を模索することが挙げられます。
ご口演中の1コマ。女性研究者の方も多くご参加。
Next Rising Star(医学生・研修医)へ
大槻 雄士 先生(藤田医科大学/日本癌学会)
医学部を卒業してからの道は、以前と比べ、かなり多岐にわたります。自身が望む在り方で、日々の診療、医療への関わり方が選べます。その中に、基礎・臨床問わず、がん研究が入ってくると嬉しく思います。加藤 大悟 先生(大阪大学/日本癌治療学会)
研究をしてみるか敬遠するか迷われている先生方に対しては、まずは少しでも始めてみることをお勧めします。何もiPS細胞を発見する様な研究だけが研究ではありません。ものの考え方が変わると思います。後藤 悌 先生(国立がん研究センター中央病院/日本臨床腫瘍学会)
日本の医療は変革の時を迎えています。がん研究の根本は変わりませんが、日本が世界のがん治療をリードするためには、私たちが支え合い、活躍できる環境を築くことが重要です。共に前進しましょう。
外国籍の先生も多く、国際色も豊か。
オブザーバーの先生方からメッセージ~ネットワーキングをみて感じたこと~
間野 博行 先生(国立がん研究センター研究所/日本癌学会理事長)
~Rising Starへ~ 誰のまねでもない、自分だけのアプローチで、がん研究・がん医療を前に進めてください。基礎研究と応用研究は医学を進める車の両輪です。基礎研究ではThink ORIGINAL!応用研究ではThink BIG!を合い言葉に、明日のがん医療を創っていってください。~Next Rising Starへ~ たった一人の医学研究者の発見が、時には世界中の何万人、何十万人の命を救うこともあります。医師だからこそ臨床に即した着眼点も持てますし、患者を治したいという強い希望が、自分の研究者人生を支えてくれます。是非、一度はがん研究を覗いてみてください。またデータサイエンスはどの分野に進んでも大切です。バイオインフォマティクスは思ったより簡単ですから、基礎的なものは自分でできるようにしてくださいね。
吉野 孝之 先生(国立がん研究センター東病院/日本癌治療学会理事長)
~Rising Starへ~ 全国にこんなに優秀・有望で熱意にある若手研究者が多数いるなんて夢にも思いませんでした。間違いなく、本がん関連三学会Rising Starネットワーキングは盛況でした。日本癌治療学会を代表し理事長として、本会の継続実現のために全力を尽くす所存であります。~Next Rising Starへ~ Rising Star、つまり先輩の若手研究者はとても優秀・有望で熱意があります。日本癌治療学会は未来のGlobal Top Leaderを育成する活動を全力で支援します。目標はRising StarからGlobal Top Leaderに、皆様におかれましてNext Rising StarからRising Starに、本ネットワーキングのステージに上がってきてください。待っています。
石岡 千加史 先生(東北大学病院/日本臨床腫瘍学会前理事長)
~Rising Starへ~ 若いうちは、研究に集中する時期が必ず必要ですが、研究は日進月歩で時に基礎研究に集中し、将来のがん治療の基盤となる知識や技術を養う時期が必要です。大きく成長が期待できる時期は40歳代まで。 年を重ねると共に様々な管理業務が増えてきますので、リーダーを目指す人、大きな研究プロジェクトを進めたい人は徐々に自分と一緒に研究できるチームを組織するように意識する必要があると思います。しかし、様々な役職に就くことを拒まず、自分が経験した事がないことを恐れずチャレンジして下さい。 幅広く経験することがより視野の広い研究分野の開拓につながると思います。また、プロセスを、即ち人生を大いに楽しんでください。研究は非常に面白いし、必ず自分の人生の糧になります。頑張ってください。~Next Rising Starへ~ がん研究は歴史が長く基礎研究の成果が実用化されるまでには何十年もかかることもあります。先人の弛まぬ努力により今のがん医療が出来上がっています。歴史を振り返ると大きな成果を収めた研究となかなか目が出ない研究とは混在しています。大部分の研究は応用研究や日常診療に繋がりませんが、様々な研究の土台の上に今日のがん医療が成り立っていると言うことを勉強してほしいと思います。 医学生や研修医の皆さんは医療の現場の事だけが頭にあると思いますが、研究は必ず必要です。研究がなければ、医療の進歩はありません。また研究心がなければ良い医者にはなれません。皆さんは将来がん研究を通じて医療の分野をより良いものにする医師を目指しませんか。 ぜひ専門を癌の領域を選んでください。充実した人生が待っています。
佐谷 秀行 先生(藤田医科大学がん医療研究センター/日本癌学会前理事長)
~Rising Starへ~ 1990年代、がん研究の価値は新しい発見にありました。それが2000年に入り、発明に重点が置かれるようになり、この10年は社会を変えるようなイノベーションへと価値観が動いています。基礎的な研究を実装化して社会を革新するためには皆さんが互いの仕事を理解して有機的に連携することが何よりも重要であり、今回のイベントでの出会いをどうか大切にしてください。~Next Rising Starへ~ 医学を志す者は、持てる知識と技術を総動員して今目の前にいる患者を救うことと同時に、現在は治療が困難な疾患を未来に治療ができるように努力する必要があります。がんに罹患した患者の約半分はこの疾患で命を失います。このような難治がんを克服するためには基礎研究とそれを実用化するための臨床研究が必要であり、10年後は皆さんこそがその主役となることを忘れないでください。
野田 哲生 先生(公益財団法人がん研究会がん研究所所長)
~Rising Starへ~ 今後、がん医療への成果創出を強く求められる研究推進には、基礎から臨床までの若手研究者間の緊密な連携こそが鍵となると考え、理事長の方々に三学会合同での活動の立ち上げを提案しました。今回、それが「ネットワーキング」として実現し、優れた若手がん研究者の熱意あふれるディスカッションを聞くことができました。今後のがん医療開発を、世界レベルで牽引することが出来るRising Starの出現を期待しています。~Next Rising Starへ~ 「がん」は、毎年、多くの方が命を落としている疾患です。研究の進展により、その原因となる遺伝子が同定され、有効な治療薬が開発されてきましたが、未だその恩恵を受けることができない患者さんが数多くおられます。その方々に対しての有効な治療法の開発は、今後、がん研究・がん医療を引っ張る皆様のエネルギーに掛かっています。期待しています。
最後に
最後に、本取材企画を快くご承諾いただきました、野田哲生先生、間野博行先生、吉野孝之先生、石岡千加史先生、佐谷秀行先生に御礼を申し上げますとともに、取材実施に関し、お力添えいただきました、がん関連3学会若手協議会の大槻雄士先生、加藤大悟先生、後藤悌先生に改めて感謝申し上げます。 誠にありがとうございました。文責:ヒポクラ事務局 カワウソくん 企画協力:(株)コンベンションリンケージ様
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