再発・難治性FLに対するliso-cel〜TRANSCEND FL試験
血液内科 Journal Check

再発・難治性FLに対するliso-cel〜TRANSCEND FL試験

公開日:2024年6月14日

Morschhauser F, et al. Nat Med. 2024 Jun 3. [Epub ahead of print]
 再発・難治性の濾胞性リンパ腫(FL)患者や第1選択の免疫化学療法から24ヵ月以内に疾患が進行する、抗CD20抗体とアルキル化剤の両方に難治性(ダブルリフラクトリー)を示すなどの高リスクの疾患特性を有する患者に対する標準治療は確立されておらず、アウトカム不良であるため、アンメットニーズが存在する。キメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T細胞療法)は、2ライン以上の全身療法後の再発・難治性FLの選択肢の1つとして期待されるが、FLの疾患経過におけるCAR-T細胞療法の最適なタイミングについてのコンセンサスはなく、高リスク特性を有する患者の第2選択治療としてのデータもない。 フランス・リール大学のFranck Morschhauser氏らは、再発・難治性FL患者に対するCD19を標的とし、4-1BB共刺激ドメインを有するCAR-T細胞療法薬リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel)を評価した第II相試験であるTRANSCEND FL試験の結果を報告した。Nature Medicine誌オンライン版2024年6月3日号の報告。
 第II相TRANSCEND FL試験では、FL診断後6ヵ月以内に抗CD20抗体とアルキル化剤による治療を行った後、診断から24ヵ月以内の病勢進行が見られた2ライン以上の患者および/またはmGELF(modified Groupe d'Etude des Lymphomes Folliculaires)基準を満たした患者を対象に、liso-celの評価を行った。主要エンドポイントは、独立審査委員会が評価した全奏効率(ORR)、主な副次的エンドポイントは、完全奏効(CR)率などであった。
主な結果は以下のとおり。
・データカットオフ時点で、liso-celが投与された患者は130例(フォローアップ期間中央値:18.9ヵ月)。 ・ORRおよびCRは達成された。 ・3ライン以降のFL患者101例では、ORRが97%(95%CI:91.6〜99.4)、CR率が94%(95%CI:87.5〜97.8)であった。 ・2ラインのFL患者23例では、ORRが96%(95%CI:78.1〜99.9)、すべての奏効患者がCRを達成した。 ・サイトカイン放出症候群は58%(グレード3以上:1%)、神経学的イベントは15%(グレード3以上:2%)で発生した。
 著者らは「本試験により、高リスクの2ライン以上の再発・難治性FL患者に対するliso-celの有効性と安全性が実証された」としている。


(エクスメディオ 鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Morschhauser F, et al. Nat Med. 2024 Jun 3. [Epub ahead of print]
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38830991

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