造血幹細胞移植患者における制吐予防、最善の治療は?
血液内科 Journal Check

造血幹細胞移植患者における制吐予防、最善の治療は?

公開日:2024年7月31日

Baez-Gutierrez N, et al. Eur J Haematol. 2024 Jul 29. [Epub ahead of print]
 スペイン・University Hospital Nuestra Senora de ValmeのNerea Baez-Gutierrez氏らは、造血幹細胞移植(HSCT)前処置レジメンとして高用量化学療法を行った血液疾患患者における制吐薬による予防効果の有効性および安全性を評価するため、システマティックレビューを実施した。European Journal of Haematology誌オンライン版2024年7月29日号の報告。
 PubMed、EMBASE、ClinicalTrials.gov、Cochraneデータベースより包括的に検索し、制吐薬による予防に関するランダム化比較試験(RCT)およびシステマティックレビューを特定した(英語、フランス語、イタリア語、スペイン語による研究)。システマティックレビューは、PRISMAガイドラインに準拠し、実施した。
主な結果は以下のとおり。
・8件のRCTを分析に含めた。 ・評価された制吐薬は、5-HT3受容体拮抗薬による単剤療法から、オランザピン、NK1受容体拮抗薬、5-HT3受容体拮抗薬、コルチコステロイドを含む併用療法まで多岐にわたっていた。 ・3剤または4剤併用療法による完全奏効(CR)率は、23.5〜81.9%の範囲であった。 ・重篤な副作用は認められなかったが、下痢、便秘、過鎮静、頭痛などの軽微な症状が報告された。 ・既存のエビデンスでは、制吐薬使用のベネフィットが示されているものの、明確な臨床的方向性は示されていなかった。
 著者らは「さまざまな患者背景に対する制吐薬の3剤または4剤併用療法の選択は、いまだ不確実である。詳細な研究結果が明らかになるまで、医師は最新のガイドラインや判断基準に則り、各患者のニーズやリスクを鑑みた制吐薬の選択をカスタマイズする必要がある」としている。


(エクスメディオ 鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Baez-Gutierrez N, et al. Eur J Haematol. 2024 Jul 29. [Epub ahead of print]
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39074908

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