Ph陽性ALLに対するアシミニブ+ダサチニブ+プレドニゾロン〜第I相試験/Blood
血液内科 Journal Check

Ph陽性ALLに対するアシミニブ+ダサチニブ+プレドニゾロン〜第I相試験/Blood

公開日:2024年10月15日

Luskin MR, et al. Blood. 2024 Oct 7. [Epub ahead of print]
 ダサチニブは、フィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)の治療薬として承認されているが、耐性を生じる患者も少なくない。ダサチニブとSTAMP標的BCR-ABL特異的アロステリック阻害薬アシミニブの併用は、奏効率を高め、ダサチニブ耐性クローンの発現を抑制する可能性がある。米国・ダナ・ファーバー癌研究所のMarlise R. Luskin氏らは、Ph陽性ALLおよびリンパ芽球性急性転化慢性骨髄性白血病(CML-LBC)患者を対象に、アシミニブ+ダサチニブ+プレドニゾロンの最大耐量(MTD)を決定するため、第I相試験を実施した。Blood誌オンライン版2024年10月7日号の報告。
 対象は、Ph陽性ALL患者22例(p190:16例、p210:6例)およびCML-LBC患者2例を含む成人患者24例。ダサチニブ140mg/日、プレドニゾロン60mg/m2/日にアシミニブの1日用量を段階的に増量し、MTGを決定した。28日間の導入療法後、ダサチニブおよびアシミニブは、無期限または造血幹細胞移植まで継続した。
主な結果は以下のとおり。
・対象患者の年齢中央値は64.5歳(範囲:33〜85、65歳以上:50%)。 ・ダサチニブ、プレドニゾロンと併用する際のアシミニブの第II相試験における用量は、80mg/日に決定した。 ・160mg/日での用量制限毒性(DLT)は、無症候性(症状、膵炎と伴わない)の膵酵素上昇(グレード3)であった。 ・血管閉塞性イベントは認められなかった。 ・初発ALL患者における血液学的完全寛解、28日目で84%、84日目で100%であった。 ・84日目では、すべての患者が細胞遺伝学的寛解を達成した。また、マルチカラーフローサイトメトリーによる測定可能残存病変陰性(0.01%未満)達成率89%、BCR::ABL1 RT-PCR(0.1%未満)達成率74%、BCR::ABL1 RT-PCR(0.01%未満)達成率26%であった。
 著者らは「初発Ph陽性ALL患者に対するアシミニブ+ダサチニブ+プレドニゾロン併用療法は、安全かつ有望な治療選択肢となりうる可能性が示唆された」と結論付けている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Luskin MR, et al. Blood. 2024 Oct 7. [Epub ahead of print]
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39374521

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