低リスクMDSの非輸血依存患者に対する低用量レナリドミド早期介入〜SintraREV試験
血液内科 Journal Check

低リスクMDSの非輸血依存患者に対する低用量レナリドミド早期介入〜SintraREV試験

公開日:2024年7月23日

Diez-Campelo M, et al. Lancet Haematol. 2024 Jul 18. [Epub ahead of print]
 レナリドミドは、5番染色体長腕部欠失(5q欠損)を伴う骨髄異形成症候群(MDS)の輸血依存患者に対する標準治療薬である。非輸血依存の貧血患者に対する2年間の低用量レナリドミド投与による早期介入が、その後の輸血依存を遅延させるかを検討するため、スペイン・サラマンカ大学のMaria Diez-Campelo氏らは、プラセボ対照ランダム化二重盲検第III相試験であるSintraREV試験を実施した。The Lancet. Haematology誌オンライン版2024年7月18日号の報告。
 SintraREV試験には、スペイン、フランス、ドイツの22施設(大学病院)が参加した。対象は、低リスクまたは中等度1リスクの5q欠損MDS診断され、非輸血依存貧血を呈し、エリスロポエチン未治療、ECOGのPS2以上であった18歳以上の患者。対象患者は、レナリドミド群(2年間、28日サイクルで5mg /日)またはプラセボ群に、電話システムにより2:1でランダムに割り付けられた。主要エンドポイントは、中央判定(BICR)に基づく輸血依存までの期間とした。intent-to-treat(ITT)と評価可能な集団による分析を行った。安全性分析の対象には、1回以上治療を行ったすべての患者を含めた。
主な結果は以下のとおり。
・2010年2月15日〜2018年2月21日の期間で、61例がレナリドミド群40例(2例は治療を受けなかった)、プラセボ群21例にランダムに割り付けられた。 ・年齢中央値は77.2歳(四分位範囲[IQR]:65.4〜81.9)、女性は50例(82%)、男性は11例(18%)であった。 ・フォローアップ期間中央値は60.6ヵ月(IQR:31.1〜73.9)であった。 ・主要エンドポイントに関しては、輸血依存までの期間中央値は、レナリドミド群で未達であったのに対し、プラセボ群では11.6ヵ月(95%CI:0.00〜30.11)であった(p=0.0046)。 ・レナリドミド群では、輸血依存リスクの有意な減少(69.8%減)が認められた(ハザード比:0.302、95%CI:0.132〜0.692、p=0.0046)。 ・最も頻度の高い治療関連有害事象は、好中球減少であった。レナリドミド群では38例中24例(63%)に発生し(グレード3:17例[45%]、グレード4:1例[3%])、プラセボ群では21例中4例に認められた(グレード3:2例[5%])。 ・レナリドミド群38例中7例(18%)で血小板減少がみられた(グレード3:2例[5%])。 ・非血液毒性に関しては、レナリドミド群で皮膚障害(発疹:38例中9例[23%])の頻度が最も高かった(グレード3:1例[3%])。 ・13例で19件(レナリドミド群:18件、プラセボ群:1例)の重篤な有害事象が報告された。そのうち5件は、試験薬に関連している可能性があった。 ・治療関連の死亡は認められなかった。
 著者らは「5q欠損の低リスクMDS に対する2年間の低用量レナリドミドによる早期介入は、輸血依存までの期間を延長し、奏効率や奏効の質の改善が期待でき、マネジメント可能な安全性プロファイルを有していることが示唆された」としている。


(エクスメディオ 鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Diez-Campelo M, et al. Lancet Haematol. 2024 Jul 18. [Epub ahead of print]
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39033767

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