CAR-T細胞療法後の二次性腫瘍リスクはどの程度か〜メタ解析
血液内科 Journal Check

CAR-T細胞療法後の二次性腫瘍リスクはどの程度か〜メタ解析

公開日:2024年9月13日

Tix T, et al. Clin Cancer Res. 2024 Sep 11. [Epub ahead of print]
 CAR-T細胞療法は、血液悪性腫瘍患者に対する強力な免疫療法として用いられるが、二次性腫瘍などの長期的な有害事象が発生し、罹患率や死亡率に影響を及ぼす可能性がある。ドイツ・LMU KlinikumのTobias Tix氏らは、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫におけるCAR-T細胞療法後の二次性腫瘍の頻度およびサブタイプを明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Clinical Cancer Research誌オンライン版2024年9月11日号の報告。
 MEDLINE、Embase、CENTRAL(Cochrane)データベースより、該当文献を検索した。二次性腫瘍症例の抽出とその起源を特定後、ランダム効果モデルを用いて、二次性腫瘍ポイント推定値を分析した。
主な結果は以下のとおり。
・臨床試験18件、リアルワールド研究7件より抽出された患者5,517例のうち、326件の二次性腫瘍が特定された。 ・フォローアップ期間中央値は、21.7ヵ月、全体的な二次性腫瘍ポイント推定値は5.8%(95%CI:4.7〜7.2)であった。 ・二次性腫瘍推定値は、試験設定(臨床試験>リアルワールド研究)、フォローアップ期間、過去の治療ライン数と関連が認められ、いずれも二次性腫瘍の独立した研究レベルのリスク因子であることが、メタ回帰モデルで確認された。 ・CAR-T細胞療法と標準治療でランダム化した4試験のサブグループメタ解析では、どちらの治療戦略も二次性腫瘍リスクは同程度あることが示唆された(p=0.92)。 ・二次性腫瘍のサブタイプ別では、血液悪性腫瘍(37%)が最も多く、次いで固形腫瘍(27%)、非悪性黒色腫の皮膚悪性腫瘍(16%)であった。 ・T細胞悪性腫瘍は、イベントのごく一部であった(1.5%)。 ・二次性腫瘍の分布には、疾患および製品固有の違いは認められなかった。
 著者らは「CAR-T細胞療法による二次性腫瘍リスクは、標準治療と比較し、必ずしも高いわけではない」としながらも「本研究結果を、CAR-T細胞療法を行っている患者における長期有害事象としての二次性腫瘍の認識向上に役立てていただくことが望まれる」としている。


(エクスメディオ 鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Tix T, et al. Clin Cancer Res. 2024 Sep 11. [Epub ahead of print]
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39256908

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