初発進行期FLに対するニボルマブ+リツキシマブ併用療法〜第II相1st FLOR試験
血液内科 Journal Check

初発進行期FLに対するニボルマブ+リツキシマブ併用療法〜第II相1st FLOR試験

公開日:2025年1月30日

Barraclough A, et al. Blood Adv. 2025 Jan 24. [Epub ahead of print]
 濾胞性リンパ腫(FL)の臨床アウトカムは、宿主の免疫活性に大きく影響される。また、免疫抗腫瘍活性は、PD-1/PD-L1経路が関与することにより緩和される。CD20を標的とした治療とPD-1阻害薬との併用は、T細胞による腫瘍殺傷およびNK細胞抗体依存性細胞障害(ADCC)の増加をもたらす。そのため、がん細胞を標的とした薬物療法の前に、PD-1阻害薬を用いた免疫プライミングを支持するエビデンスが近年増加している。オーストラリア・Fiona Stanley HospitalのAllison Barraclough氏らは、初発進行期FL患者に対するニボルマブ+リツキシマブ併用療法の安全性および有効性を評価するため、多施設共同非盲検第II相試験である1st FLOR試験を実施した。Blood Advances誌オンライン版2025年1月24日号の報告。
 対象は、未治療の進行期FL患者39例。導入療法として、ニボルマブ(240mg)を4サイクル投与したのち、ニボルマブとリツキシマブ(375mg /m2)を2週間ごと4サイクル投与した。その後、維持療法として、ニボルマブ(480mg)月1回投与を1年間、リツキシマブ2ヵ月に1回投与を2年間実施した。ニボルマブプライミング後に完全奏効(CR)を達成した患者は、ニボルマブ単剤療法を継続した。主要エンドポイントは、導入療法中の毒性とした。
主な結果は以下のとおり。
・導入療法中のグレードIII以上の有害事象発生率は33%(13例)、最も多かったのは、アミラーゼ/リパーゼ値の上昇(15%)、肝酵素異常(11%)、感染症(10%)であった。 ・毒性によりニボルマブを中止した患者は3例(膵炎:2例、急性腎障害:1例)。 ・全奏効率(ORR)は92%、CRは59%であった。 ・フォローアップ期間中央値は51ヵ月。 ・無増悪生存期間(PFS)中央値は61ヵ月(95%CI:2〜72)、4年PFSは58%(95%CI:34〜97)であり、奏効患者の70%でCRが維持された。 ・4年全生存率(OS)は95%であった。 ・PFS不良と関連していた因子は、ベースライン時の総代謝腫瘍体積(p=0.04)および総腫瘍代謝量(p=0.02)であった。 ・ベースライン時のCD8A遺伝子の高発現は、PFS良好と関連が認められた(p=0.03)。
 著者らは「初発進行期FLに対するニボルマブプライミング後のニボルマブ+リツキシマブ併用療法は、許容可能な毒性および高い奏効率が期待できるため、化学療法の代替治療としての可能性が示唆された。総代謝腫瘍体積およびCD8A高発現が、FLに対する免疫療法の有望なバイオマーカーであると考えられる」と結論付けている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Barraclough A, et al. Blood Adv. 2025 Jan 24. [Epub ahead of print]
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39853272

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