IDH1変異陽性再発・難治性AMLに対するolutasidenib+アザシチジン療法〜第I/II相試験
血液内科 Journal Check

IDH1変異陽性再発・難治性AMLに対するolutasidenib+アザシチジン療法〜第I/II相試験

公開日:2025年1月23日

Cortes JE, et al. J Hematol Oncol. 2025; 18: 7.
 イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)は、細胞質に存在し、クエン酸回路において、イソクエン酸からα-ケトグルタル酸(α-KG)への酸化的脱炭酸を触媒する代謝酵素である。IDH1遺伝子変異がある場合、DNAのメチル化が促進され、幹細胞や前駆細胞の正常な細胞分化の阻害や、腫瘍性形質転換の促進をもたらすと考えられている。米国・Georgia Cancer CenterのJorge E. Cortes氏らは、急性骨髄性白血病(AML)の6〜9%にみられるIDH1変異陽性の再発・難治性AMLに対するIDH1阻害薬olutasidenibとアザシチジンの併用療法の有効性および安全性を評価するため、第I/II相試験の複数のコホートから統合解析を行った。Journal of Hematology & Oncology誌2025年1月16日号の報告。
 対象は、olutasidenib(1日2回150mg)とアザシチジン(標準治療)の併用療法を行った再発・難治性IDH1変異(R132)AML患者67例。第I/II相試験の複数のコホートからデータを抽出し、統合解析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・年齢中央値は66歳(範囲:28〜82歳)、男性の割合は54%。 ・2回以上の治療歴を有する患者は83%であり、その内訳は、脱メチル化薬が40%、IDH1阻害薬が31%(olutasidenib:24%)、造血幹細胞移植が10%。 ・細胞遺伝学的リスクは、中程度が72%、不良が18%、不明が10%。 ・完全寛解または血液学的完全寛解(CR/CRh)は、67例中21例(31%、95%CI:21〜44)で達成し、期間中央値は14.7ヵ月(95%CI:4.6〜未達)であった。 ・CR達成は18例(27%、95%CI:17〜39)、期間中央値は20.3ヵ月(95%CI:3.7〜未達)。 ・部分寛解以上の全奏効(OR)は34例(51%、95%CI:38〜63)で達成した。 ・全生存期間中央値は12.9ヵ月(95%CI:18.7〜19.3)。 ・olutasidenibによる前治療歴を有する患者を除いたサブセット解析では、CR/CRhは51例中19例(37%、95%CI:24〜52)、CRは16例(31%、95%CI:19〜46)、ORは30例(59%、95%CI:44〜72)で達成した。 ・CR/CRhを達成し、ベースライン時に輸血依存であった患者における輸血非依存達成率は、赤血球64%(11例中7例)、血小板57%(7例中4例)。 ・主なグレードIII/IVの有害事象(20%以上で発生)は、血小板減少(37%)、赤血球減少(25%)、好中球減少(24%)。 ・IDH分化症候群の発生は、6例(9%)で認められた。 ・有害事象により治療を中止した患者は4例(6%)であった。
 著者らは「さまざまな治療歴を有する再発・難治性AMLに対するolutasidenib+アザシチジン併用療法は、高い奏効率と持続的な寛解をもたらし、副作用プロファイルは許容範囲内であることが確認され、IDH1変異陽性AMLに対する新たな治療選択肢となりうる可能性が示唆された」と結論付けている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Cortes JE, et al. J Hematol Oncol. 2025; 18: 7.
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39819505

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