自家HSCT後の再発・難治性CNSリンパ腫に対するCAR-T細胞療法の可能性は
血液内科 Journal Check

自家HSCT後の再発・難治性CNSリンパ腫に対するCAR-T細胞療法の可能性は

公開日:2024年11月25日

Wu J, et al. Cancer Immunol Immunother. 2024; 74: 17.
 自家造血幹細胞移植(HSCT)後のCAR-T細胞療法は、再発・難治性中枢神経系(CNS)リンパ腫に対する有望な治療戦略であることが報告されているものの、その症例数は限られている。中国・華中科技大学のJiaying Wu氏らは、2019〜24年4月に本施設で自家HSCT後にCAR-T細胞療法を行った再発。難治性CNSリンパ腫患者を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Cancer Immunology Immunotherapy誌2024年11月11日号の報告。
 対象患者数は再発・難治性CNSリンパ腫患者38例。連続変数の群間比較には、スチューデントt検定またはマン・ホイットニーU検定を用い、カテゴリ変数は、フィッシャー正確確率検定を用いて分析した。生存曲線の推定には、カプランマイヤー法を用い、群間比較には、ログランク検定を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・最良全奏効(OR)率は78.9%。 ・サブグループ解析では、乳酸脱水素酵素(LDH)レベルが正常上限を超える患者においてOR率が低かった(60.0% vs. 91.3%、p=0.039)。 ・フォローアップ期間中央値は37.5ヵ月、1年推定全生存(OS)の割合は72.8%、1年推定無増悪生存期間(PFS)の割合は57.4%。 ・PFSに関連するリスク因子は、現在の治療に対する無効であった(調整ハザード比:22.87、p<0.001)。 ・重度のサイトカイン放出症候群(CRS)および免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)の発生率は、いずれも13.2%であった。 ・二次性CNSリンパ腫患者25例の最良OR率、CNS病変のみの患者で91.7%、CNS病変と全身病変を有する患者で61.5%であった(p=0.160)。また、1年推定PFSの割合は、それぞれ83.3%、38.5%であった(p=0.030)。
 著者らは「自家HSCT後の再発・難治性CNSリンパ腫に対するCAR-T細胞療法は、有望な治療戦略である可能性が示唆された。さらに、CNS病変と全身病変を有する患者は、CNS病変のみの患者よりも、治療効果が劣ることも確認された」と結論付けている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Wu J, et al. Cancer Immunol Immunother. 2024; 74: 17.
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39527142

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