承認から5年、B-ALLに対するtisa-celの国内治療成績を分析
血液内科 Journal Check

承認から5年、B-ALLに対するtisa-celの国内治療成績を分析

公開日:2024年12月23日

Kato I, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Nov 30. [Epub ahead of print]
 CAR-T細胞療法は、再発・難治性B細胞性急性リンパ性白血病(B-ALL)の小児、青年、若年成人患者に対する新たな治療選択肢となった。世界中でCAR-T細胞療法のアウトカムに関するリアルワールドでの使用経験が蓄積されている。とくに医学的および民族的背景が異なる患者におけるCAR-T細胞療法のアウトカムを比較することは、非常に重要である。京都大学の加藤 格氏らは、日本において承認から5年以上経過したチサゲンレクル ユーセル(tisa-cel)の国内リアルワールドにおける使用経験を調査し、その結果を報告した。Transplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2024年11月29日号の報告。
 全国規模の日本CAR-Tコンソーシアム(JCTC)は、tisa-cel市販後にCAR-T細胞療法を行った小児、青年、若年成人患者を対象に、多施設レトロスペクティブ研究を実施した。解析対象は、tisa-cel市販後に白血球アフェレーシスサンプルをノバルティスに輸送した再発・難治性B-ALL患者42例。本報告では、ベースラインパラメータと臨床アウトカムとの関連を評価した。奏効、毒性、生存の解析には、CAR-T輸注を行ったすべての患者を含めた。
主な結果は以下のとおり。
・最良総合効果率は93%。 ・CAR-T輸注後の1年全生存割合(OS)は82%、無イベント生存割合(PFS)は56%。 ・tisa-cel輸注前、低腫瘍量(骨髄中のリンパ芽球が5%未満)であった患者は27例(64%)。 ・低腫瘍量は、良好な臨床アウトカムとの関連が認められた。 ・1年無イベント生存割合(EFS)は、低腫瘍量では80%であり、高腫瘍量(骨髄中のリンパ芽球が5%以上)の24%と比較し、高値であった。 ・多変量解析では、造血幹細胞移植(HSCT)歴と良好なアウトカムとの関連が特定され、1年EFSは75%であり、HSCT歴のない患者(24%)と比較し、高値であった。
 著者らは「日本において市販後にtisa-celによる治療を行った小児、青年、若年成人の再発・難治性B-ALLに関する最初の解析において、臨床試験や他のリアルワールド研究と同様に、有効性が確認された。低腫瘍量やHSCT歴は、良好なEFSと関連していることが示唆された」と結論付けている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Kato I, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Nov 30. [Epub ahead of print]
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39617098

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