再発・難治性多発性骨髄腫治療、2つの二重特異性抗体併用療法時代は来るか/NEJM
血液内科 Journal Check

再発・難治性多発性骨髄腫治療、2つの二重特異性抗体併用療法時代は来るか/NEJM

公開日:2025年1月21日

Cohen YC, et al. N Engl J Med. 2025; 392: 138-149.
 GPRC5DとCD3に対する二重特異性抗体talquetamabおよびBCMAとCD3に対する二重特異性抗体teclistamabは、 トリプルクラスの標準的な前治療歴を有する再発または難治性多発性骨髄腫(MM)の治療薬として承認されている。イスラエル・テルアビブ・ソウラスキー医療センターのYael C. Cohen氏らは、再発・難治性MM患者に対するtalquetamab+teclistamab併用療法の第Ib-II相試験を実施し、その結果を報告した。NEJM誌2025年1月9日号の報告。
 第I相の用量漸増試験では、5つの用量について評価した。その結果を踏まえ、第II相試験では、talquetamab 0.8mg/kg+teclistamab 3.0mg/kgの隔週投与が推奨レジメンとして選択された。第Ib-II相試験の主要な目的は、有害事象と用量制限毒性の評価とした。
主な結果は以下のとおり。
・94例が治療を受け、そのうち44例に対し推奨された第II相レジメンを用いた。 ・フォローアップ期間中央値は20.3ヵ月。 ・用量制限毒性は3例に認められた(第II相レジメンにおいてグレードIVの血小板減少1例を含む)。 ・すべての用量レジメンで最も多くみられた有害事象は、サイトカイン放出症候群(CRS)、好中球減少、味覚の変化、皮疹を除く皮膚障害。 ・グレードIII/IVの有害事象は、96%にみられ、血液学的イベントが最も多かった。 ・グレードIII/IVの感染症は、64%に発生した。 ・奏効率は、第II相レジメンで80%(髄外病変を有する患者では61%)、すべての用量レジメンで78%であった。 ・18ヵ月後、奏効が持続していた患者の割合は、第II相レジメンで86%(髄外病変を有する患者では82%)、すべての用量レジメンで77%であった。
 著者らは「talquetamab+teclistamab併用療法は、グレードIII/IVの感染症の発現率がそれぞれの単剤療法と比較し高率であったが、すべての用量において高い奏効が認められ、推奨された第II相レジメンによる持続的な奏効が示された」と結論付けている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Cohen YC, et al. N Engl J Med. 2025; 392: 138-149.
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39778168

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