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高リスク造血器悪性腫瘍における同種移植後CsA急速減量は行うべきではないのか
公開日:2025年3月3日
同種造血幹細胞移植(HSCT)後にシクロスポリン(CsA)を急激に減量すると、強いGVL効果を引き起こす可能性がある。自治医科大学附属さいたま医療センターの後明 晃由美氏らは、自施設で初めて同種HSCTを行った高リスク造血器悪性腫瘍患者におけるCsAの減量と臨床アウトカムとの関連を評価するため、レトロスペクティブに検討した。International Journal of Hematology誌オンライン版2025年2月6日号の報告。
主な結果は以下のとおり。
・血中CsA濃度は、300ng/ml前後で維持されていた。 ・移植片対宿主病(GVHD)のないまたは限定的な患者に対するCsA減量の計画スケジュールは、血縁ドナーの場合は30日目から、非血縁者ドナーの場合は50日目から1週間当たり10%ずつ減量した。 ・CsA減量を開始した患者36例は、減量開始のタイミングに基づき、スケジュール遵守群と遅延群の2つに分類した。 ・grade2〜4の急性GVHDの累積発生率は、遵守群で33.8%、遅延群で39.4%であった(p=0.746)。 ・遵守群は、遅延群と比較し、非再発による死亡率に有意な差は認められなかったが、再発率が高くなる傾向が認められ、その結果として1年全生存率(OS)および1年無病生存率(DFS)の有意な悪化が認められた。 【1年OS】55.6%vs.72.2%(p=0.025) 【1年DFS】38.9%vs.66.7%(p=0.059)
著者らは「高リスク造血器悪性腫瘍患者におけるHSCT後の早期CsA減量は、効果的ではない可能性が示唆された」と結論付けている。
主な結果は以下のとおり。
・血中CsA濃度は、300ng/ml前後で維持されていた。 ・移植片対宿主病(GVHD)のないまたは限定的な患者に対するCsA減量の計画スケジュールは、血縁ドナーの場合は30日目から、非血縁者ドナーの場合は50日目から1週間当たり10%ずつ減量した。 ・CsA減量を開始した患者36例は、減量開始のタイミングに基づき、スケジュール遵守群と遅延群の2つに分類した。 ・grade2〜4の急性GVHDの累積発生率は、遵守群で33.8%、遅延群で39.4%であった(p=0.746)。 ・遵守群は、遅延群と比較し、非再発による死亡率に有意な差は認められなかったが、再発率が高くなる傾向が認められ、その結果として1年全生存率(OS)および1年無病生存率(DFS)の有意な悪化が認められた。 【1年OS】55.6%vs.72.2%(p=0.025) 【1年DFS】38.9%vs.66.7%(p=0.059)
著者らは「高リスク造血器悪性腫瘍患者におけるHSCT後の早期CsA減量は、効果的ではない可能性が示唆された」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Gomyo A, et al. Int J Hematol. 2025 Feb 6. [Epub ahead of print]
▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39912986
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