再発・難治性多発性骨髄腫に対する二重特異性抗体teclistamab、日本人対象第I/II相試験
血液内科 Journal Check

再発・難治性多発性骨髄腫に対する二重特異性抗体teclistamab、日本人対象第I/II相試験

公開日:2024年12月18日

Ishida T, et al. Int J Hematol. 2024 Nov 28. [Epub ahead of print]
 日本赤十字社医療センターの石田 禎夫氏らは、日本人再発・難治性多発性骨髄腫(MM)に対する二重特異性抗体teclistamabの安全性および有効性を評価した第I/II相試験の結果を報告した。International Journal of Hematology誌オンライン版2024年11月28日号の報告。
 対象患者は、プロテアソーム阻害薬、免疫調整薬(IMiDs)、抗CD38モノクローナル抗体を含む少なくとも3つの標準的な治療歴を有する日本人再発・難治性MM患者。主要エンドポイントは、第I相試験では治療関連有害事象(TEAE)の頻度および種類、第II相試験では全奏効率(ORR:部分奏効[PR]以上)とした。
主な結果は以下のとおり。
・第I相試験では、14例を対象に週1回teclistamabの投与を行った(0.72mg/kg [5例]、1.5mg/kg [5例]、3mg/kg [4例])。 ・用量制限毒性は観察されなかった。 ・第II相試験において、推奨用量のteclistamab(1.5mg/kg)が投与された患者は26例(2024年4月現在)。 ・6ヵ月以上奏効を維持したのち、隔週投与が可能であった。 ・フォローアップ期間中央値14.32ヵ月におけるORRは76.9%(最良部分奏効以上:76.9%、完全奏効以上:65.4%)。 ・奏効期間中央値、無増悪生存期間中央値、全生存期間中央値は未達であった。 ・一般的なTEAEは、グレードII以下のサイトカイン放出症候群(CRS)、好中球減少、感染症。 ・免疫細胞関連神経毒性症候群(ICANS)を経験した患者やTEAEによる用量減量を必要とした患者はいなかった。
 著者らは「日本人再発・難治性MM患者に対する二重特異性抗体teclistamab治療は、ピボタル試験である海外第I/II相MajesTEC-1試験の結果と同様に、臨床的に意義のある深く持続的な奏効を示し、新たな標準治療となりうる可能性が示唆された」と結論付けている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Ishida T, et al. Int J Hematol. 2024 Nov 28. [Epub ahead of print]
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39607603

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