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子どもの笑顔がキラキラ輝く-第52回日本救急医学会総会・学術集会 WINK企画-取材レポート(後編)
掲載日:2024年11月7日
前編に続き
2024年10月13日(日)~15日(火)に開催された、第52回日本救急医学会総会・学術集会(於:仙台国際センター)にて、実施されたお子さま参加型企画“WINK”の現地レポート後編です。 前編をまだお読みでない方は、ぜひ 前編から、お読みください。 後編は、WINKセッション(子ども聴講可の口演セッション)と参加者へのインタビューを中心に、大会長の久志本 先生、企画担当の谷河 先生から、企画開催後にいただいた感想などをお伝えいたします。子どもたちへ -WINKセッション-
このWINK企画、なんといっても最大の魅力は、子どもも聴講可能な口演セッション“WINKセッション”が行われたことです。「演題発表の場に子どもを入れるなんて」と思った先生方にこそ、ぜひ触れていただきたい、大変すばらしい企画でした。まず、驚いたのが会場前方に子ども用の椅子(乳児用含む)が用意されていたことです。これは、この企画が単に「子どもを連れて入れるセッションですよ」ということではなく、「子どもたちにも口演を聞いてほしい」「演題発表するお母さん、お父さんの姿を目に焼き付けて欲しい」という、大会校の先生方の強い想いが、この可愛らしい椅子に表れているのだと感じました。
これは、学術集会のメインテーマ「君は輝く」にも通じるもので、「ひとりひとりの考え方、価値観、背景と現在、すべての多様性を尊重する大会にしたい」という大会長の想いが込められています。
お子さんと一緒に発表をする先生に、お子さんを抱っこしたまま質問をする先生の姿など、普通の学会発表では見られない、この企画ならではの光景が広がっていたことに加え、このWINKセッションでは各発表スライドの最後に「子どもたちへ(家族へ)」というメッセージスライドが添えられており、発表者の口から直接、会場内で聴講している家族の方々へ、休みの日に一緒に居られないことへの謝罪が伝えられたり、胸を張って「ママはこういう仕事をしているんだよ!」と伝えている姿を見ることが出来ました。最後のスライドでの子どもたちへのメッセージ、すべての発表には必ず大きな拍手をーこれらは大会長からお願いをして、みなさんに実践していただいたようで、すべての演題が温かい雰囲気の中、発表を終えられていました。
各家庭ご状況は様々とお見受けしましたが、“医師であり、親でもある”という点において、WINKセッション登壇者の誰しもが同じ課題を抱えて暮らしている、ということを強く感じ、筆者の胸にも、迫るものがありました。
全く新しい学会のカタチ -参加者の声-
ここで、いくつか、参加者の声をお伝えしたいと思います。参加者の女の子 小学三年生(9歳) の声 「お父さんがお医者さんなので、来ました。聴診器の体験では、心臓の音がすごい聞こえました。VRの手術体験もできてよかったです。お父さんのお仕事はすごいんだなと思いました」
女の子(上記)のお母様の声
「少しずつ職業体験をし始める学年ではあったので、こういった形で職業体験ができ、娘も、とても身近に感じている様子だったので、参加してよかったと感じています。学会参加となると、これまでは“家族が一緒に居られない時間”としか考えられませんでしたが、”WINK”は、発表にも立ち会うことが出来るなど、家族みんなで同じ時間を過ごすことが出来た、それが一番ありがたいと思える企画でした。この企画に感謝しています」
お孫さんとご一緒に参加された おじい様の声
「今日は孫と一緒に来ました。息子が救急医なので参加したのですが、私は医者ではないので、学会というものがどういうものなのかすら、わかりませんでした。実際に参加してみると、先生方は大変ご苦労されているんだなと、いち“市民”として、非常に勉強になりました。また、たくさんの子どもたちが笑顔で体験参加している姿を見て、こちらも笑顔になりました。」
同上 おばあ様の声
「息子が救急医であることは、夫からお伝えしましたが、実は、娘も医師で、内科医をしています。娘から、学会参加で子どもの面倒が見れないから手伝いに来てくれと言われ、一緒に学会会場に行ったこともありますが、あまり子どもの参加は歓迎されていないように感じました。そういった経験もあるので、この企画はとてもいい企画だと感じましたし、ぜひ、こういう企画が広まってほしいなと感じています。」
インタビューにお応えいただいたみなさま、誠にありがとうございました。
みなさま、笑顔でお応えいただき、インタビューしているこちらも楽しくなる、素敵な雰囲気でした。
インタビューを通して感じたことは、単に、子どもが楽しいと感じればいい、ということではなく、まさに「Together With Your Darling Kids!」、家族が一緒に参加して、みんなが楽しく過ごせるカタチこそが、この全く新しい、”WINK”という企画の神髄なのだろうと、感じました。
言葉では伝えきれない -取材写真ギャラリー-
このWINK企画では、キラキラ輝く子どもたちの姿が会場の随所で見ることができました。この“キラキラ感”は言葉では伝えきれないので、筆者が撮影した写真を何点か掲載します。“WINK”という新しい風が吹いた
第52回日本救急医学会総会・学術集会の閉会式、大会長 久志本 先生からのご挨拶の中で「今大会の参加者は約4,500名、そのうちお子さんの参加が300名を超えています」と発表があり、会場がどよめきました。事前登録よりも、さらに多い、300名のお子さまたちが学術集会という場に参加した、という事実に学会参加者が感嘆の声を上げ、賛辞の拍手を送っていました。 その万雷の拍手こそ、前人未到の学会企画“WINK”が大成功したことを証明していたのだと感じます。 大会後、久志本 先生は「どこの学会もやったことのない規模で、お子さん参加型企画を実施できたこと、これは素晴らしい仲間がいなければ成し得なかったことです。すべての仲間に感謝し、誇りに思います。また、今回の企画が、これからの学会運営において一つのモデルとなることを期待しています。ぜひ、多くの人に知っていただきたいと思います。」と仰っていました。 また、企画担当の谷河 先生は「皆さんが楽しんでいる姿は一生忘れません。とても大変な企画でしたが、大会長をはじめ、いつも大変な症例に対して、力を合わせて診療にあたっている東北大学病院 救急科・高度救命救急センターの仲間だから実現できたんだと思います。とはいえ、この企画の成功はスタートラインに立ったというだけ。僕たち若い世代がリードして、医療界を変えていかないといけないんです。次世代を担う子どもたちが安心して暮らせる社会を医療から作るために、それが僕たちの世代の役割なんです。」と、熱く、お話いただく姿に、WINK企画の先にある、今よりもっと、キラキラ輝く、明るい未来の日本医療界を垣間見た気がしました。
会期中の久志本 先生(左)と谷河 先生(右)
筆者はこの企画を現地取材し、率直に「日本の医学会史に“事件”が起きた」と感じました。医師の働き方改革、医師不足の問題、地域医療格差など、さまざまな問題のある、現代日本の医療界において、学術集会という貴重な機会に、この先進的な企画が実施されたことは、伝統を重んじる日本の医学会において、大きな風穴を開ける出来事であった、まさに、久志本 先生が大会前に示唆された“新しい風”が吹いた瞬間であったと感じています。 今後、この企画モデルがあらゆる学会で採用され、子どもたちも、先生たちも笑顔溢れる学術集会が、各地で開催されることを期待いたします。
最後に
本取材企画を快くご承諾いただきました、久志本 成樹 先生、谷河 篤 先生に厚く、御礼を申し上げますとともに、取材実施に際し、お力添えいただきました、東北大学病院 救急科・高度救命救急センターの先生方やスタッフの皆さま、WINK企画ご参加の先生方とご家族の皆さま、協賛企業の皆さま、学会運営の日本コンベンションサービスの皆さまにも改めて、御礼申し上げます。 誠にありがとうございました。文責:ヒポクラ事務局 カワウソくん
※本レポート記事は前編・後編の二本立てです。ぜひ、前編と併せてお読みください。
子どもの笑顔がキラキラ輝く-第52回日本救急医学会総会・学術集会 WINK企画-取材レポート(前編)はこちら
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