日本におけるVEN+AZAによるAML治療、好中球減少に焦点を当てた解析結果〜VENUS試験中間解析
血液内科 Journal Check

日本におけるVEN+AZAによるAML治療、好中球減少に焦点を当てた解析結果〜VENUS試験中間解析

公開日:2025年3月14日

 初発の急性骨髄性白血病(AML)に対するベネトクラクス(VEN)治療は、臨床的なベネフィットが示されているが、著しい好中球減少の懸念が残っている。治療コース全体に渡る好中球数の経時的な変化に関する実臨床データは依然として限られている。日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院の後藤 辰徳氏らは、日本のリアルワールドにおけるVENとアザシチジン(AZA)を投与されたAML患者の好中球減少のマネジメントを検討したVENUS研究の中間解析結果を報告した。Oncology and Therapy誌オンライン版2025年3月7日号の報告。
 VEBUS研究は、10施設が参加した多施設レトロスペクティブ観察研究として実施した。対象は、VEN治療を行った強化化学療法非適応の初発AML成人患者。1コース以上のVEN治療を行った患者について、治療パターン、G-CSFの投与、抗真菌薬の予防投与、好中球数の経時的な変化を分析した。
主な結果は以下のとおり。
・VENは、1コース目で平均27.0日間投与され、2コース目以降で平均21.0日間(範囲:14.0〜22.0)投与されていた。各コース終了時の投与量保留の平均期間は、8.5〜15.0日であった。 ・VEN+AZA治療の平均コース数は、G-CSFを投与されていた患者81例では6.0コース、G-CSFを投与されていなかった患者39例では3.0コースであった。 ・1コース目では、8〜28日目にかけて好中球数中央値が500/μl未満に減少していたが、29〜35日目までに500/μl超に回復していた。 ・その後、10コース目までのすべてのコースにおいて、22〜28日目にかけて好中球数中央値は最低値に達した。 ・一部のコースでは、好中球数が500/μl未満に減少していたが、翌週までに500/μl超に改善が認められた。 ・これには、VENの投与スケジュールの変更およびG-CSFの投与により、2コース目以降ほとんどの患者で感染レベルが上昇しない程度の好中球レベルを維持していた。 ・抗真菌薬の予防投与を行なっていた患者は88例(73.3%)であり、リスクに基づく抗真菌薬の予防投与が考慮されるべきであると考えられる。
 著者らは「本リアルワールド分析により、VEN+AZA投与を行なっている初発AML患者におけるVEN投与スケジュールの変更やG-CSFの投与による好中球数の回復タイミングが明らかとなった。また、高リスク患者に対する抗真菌薬予防の投与タイミングに関する現状も明らかとなった」としている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Goto T, et al. Oncol Ther. 2025 Mar 7. [Epub ahead of print]
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40055300

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