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Mel200移植前処置レジメンは、多発性骨髄腫の死亡リスクに影響しているのか
公開日:2025年2月21日
多発性骨髄腫(MM)における自家造血幹細胞移植(HSCT)の標準的な前処置レジメンは、メルファラン200mg/m2(Mel200)とされている。また、Frailの場合には、メルファランの投与量を30%減量(Mel140)して使用する。これらのレジメンの有用性を比較した研究では、主に非連続的な患者が含まれているケースやデータの欠落、異質性などにより、一貫性のない結果が報告されている。EBMT(European Society for Blood and Marrow Transplantation)が報告した最も大規模な研究において、自家HSCT前に最良部分奏効(VGPR)またはそれ以上の奏効を示した患者では、Mel200による死亡リスクの上昇が報告された。トルコ・イスタンブール大学のUmut Yilmaz氏らは、リアルワールドにおけるMel140またはMel200での前処置レジメンを行ったMM患者に対する初回自家HSCT後の臨床アウトカムを比較するため、単施設レトロスペクティブ研究を実施した。Annals of Transplantation誌2025年2月11日号の報告。
2012〜21年に初回自家HSCTを行った連続したMM患者159例のデータを分析した。主要アウトカムは全生存期間(OS)、副次的アウトカムは無増悪生存期間(PFS)とした。
主な結果は以下のとおり。
・Mel200群は131例、Mel140群は28例。 ・フォローアップ期間中央値は5.8年。 ・90%以上はボルテゾミブベースの導入療法、76%以上は自家HSCT前にVGPR以上を達していた。 ・OSはMel200群の方が良好であった(HR:0.42、p=0.002)。 ・関連するすべてのサブグループにおいて、Mel200群のOSの優位性は維持された。 ・PFS推定値は両群間で同等であった(p=0.49)。
著者らは「我々の施設において、Mel200による前処置レジメンは、自家HSCT後のMM患者のOS延長と関連していた。これは、患者の生理学的状態やその後の治療に対する耐性を反映しているものと考えられる。EBMTから報告されたMel200に関連する死亡リスクの上昇は、本研究では裏付けられなかった」と結論付けている。
2012〜21年に初回自家HSCTを行った連続したMM患者159例のデータを分析した。主要アウトカムは全生存期間(OS)、副次的アウトカムは無増悪生存期間(PFS)とした。
主な結果は以下のとおり。
・Mel200群は131例、Mel140群は28例。 ・フォローアップ期間中央値は5.8年。 ・90%以上はボルテゾミブベースの導入療法、76%以上は自家HSCT前にVGPR以上を達していた。 ・OSはMel200群の方が良好であった(HR:0.42、p=0.002)。 ・関連するすべてのサブグループにおいて、Mel200群のOSの優位性は維持された。 ・PFS推定値は両群間で同等であった(p=0.49)。
著者らは「我々の施設において、Mel200による前処置レジメンは、自家HSCT後のMM患者のOS延長と関連していた。これは、患者の生理学的状態やその後の治療に対する耐性を反映しているものと考えられる。EBMTから報告されたMel200に関連する死亡リスクの上昇は、本研究では裏付けられなかった」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Yilmaz U, et al. Ann Transplant. 2025: 30: e947186.
▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39930693
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