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造血器悪性腫瘍患者における重度の出血イベント、その特徴とは
公開日:2024年10月23日
Vigneron C, et al. Ann Intensive Care. 2024; 14: 155.
出血イベントは、重篤な造血器悪性腫瘍患者でよくみられる合併症の1つである。フランス・パリ・シテ大学のClara Vigneron氏らは、重篤な造血器悪性腫瘍患者におけるICUで発生した重度の出血イベント発生率を評価し、その要因を特定するため、本研究を実施した。Annals of Intensive Care誌2024年10月7日号の報告。
2007〜18年の12年間に渡り、予定外ICU入院を必要とした造血器悪性腫瘍成人患者を対象に、単一施設レトロスペクティブ研究を実施した。主要エンドポイントは、WHOでグレード3または4と定義されるICUで発生した重度の出血イベントの発生率とした。
主な結果は以下のとおり。
・分析対象患者数は1,012例(悪性リンパ腫:434例[42.9%]、白血病/骨髄異形成症候群:266例[26.3%])。 ・最近診断された患者は340例(33.6%)、過去3ヵ月以内に積極的な治療を行った患者は604例(59.7%)。 ・ICU入院の主な原因は感染症(479例、47.3%)であったが、一次出血による入院の頻度も高かった(99例、10.0%)。 ・ICUで3.0日(1.0〜7.0)経過したのち、重度の出血イベントが109例(10.8%)で認められた。 ・出血の主な発生部位は、消化管であった(44例、40.3%)。 ・ICUで重度の出血を経験した患者は、ICU滞在期間延長(9.0日[1.0〜6.0] vs. 3.0日[3.5〜15.0:非出血患者]、p<0.001)、アウトカム悪化、ICU死亡率上昇(55.0% vs. 18.3%、p<0.001)、院内死亡率上昇(65.7% vs. 33.1%、p<0.001)がみられた。 ・多変量解析では、ICUで発生した重度の出血イベントの独立したリスク因子は、次のとおりであった。 【慢性腎臓病】原因別ハザード(CSH):2.00(1.19〜3.31)p=0.008 【ICU入院時の一次出血イベント】CSH:4.17(2.71〜6.43)p<0.001 【非血小板SOFAスコア】1ポイント増加当たりCSH:1.06(1.01〜1.11)p=0.02 【イベント前日のプロトロンビン時間延長】5%増加当たりCSH: 0.90(0.85〜0.96)p=0.001
著者らは「重度の出血イベントは、重篤な造血器悪性腫瘍患者でよくみられる合併症であり、予後悪化と関連している。本研究より、より綿密なモニタリングや予防措置がとくに求められるリスク因子が特定された」としている。
2007〜18年の12年間に渡り、予定外ICU入院を必要とした造血器悪性腫瘍成人患者を対象に、単一施設レトロスペクティブ研究を実施した。主要エンドポイントは、WHOでグレード3または4と定義されるICUで発生した重度の出血イベントの発生率とした。
主な結果は以下のとおり。
・分析対象患者数は1,012例(悪性リンパ腫:434例[42.9%]、白血病/骨髄異形成症候群:266例[26.3%])。 ・最近診断された患者は340例(33.6%)、過去3ヵ月以内に積極的な治療を行った患者は604例(59.7%)。 ・ICU入院の主な原因は感染症(479例、47.3%)であったが、一次出血による入院の頻度も高かった(99例、10.0%)。 ・ICUで3.0日(1.0〜7.0)経過したのち、重度の出血イベントが109例(10.8%)で認められた。 ・出血の主な発生部位は、消化管であった(44例、40.3%)。 ・ICUで重度の出血を経験した患者は、ICU滞在期間延長(9.0日[1.0〜6.0] vs. 3.0日[3.5〜15.0:非出血患者]、p<0.001)、アウトカム悪化、ICU死亡率上昇(55.0% vs. 18.3%、p<0.001)、院内死亡率上昇(65.7% vs. 33.1%、p<0.001)がみられた。 ・多変量解析では、ICUで発生した重度の出血イベントの独立したリスク因子は、次のとおりであった。 【慢性腎臓病】原因別ハザード(CSH):2.00(1.19〜3.31)p=0.008 【ICU入院時の一次出血イベント】CSH:4.17(2.71〜6.43)p<0.001 【非血小板SOFAスコア】1ポイント増加当たりCSH:1.06(1.01〜1.11)p=0.02 【イベント前日のプロトロンビン時間延長】5%増加当たりCSH: 0.90(0.85〜0.96)p=0.001
著者らは「重度の出血イベントは、重篤な造血器悪性腫瘍患者でよくみられる合併症であり、予後悪化と関連している。本研究より、より綿密なモニタリングや予防措置がとくに求められるリスク因子が特定された」としている。
(鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Vigneron C, et al. Ann Intensive Care. 2024; 14: 155.
▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39373939
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