PCNSLに対する大量MTX維持療法戦略〜米メイヨークリニックの経験/Blood Adv
血液内科 Journal Check

PCNSLに対する大量MTX維持療法戦略〜米メイヨークリニックの経験/Blood Adv

公開日:2025年2月27日

 中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)は、全身への関与なく、脳、脳脊髄液または網膜/硝子体に影響を及ぼす非ホジキンリンパ腫である。PCNSLに対する標準的な治療パラダイムは、大量メトトレキサート(HD-MTX)による導入療法後の自家造血幹細胞移植(HSCT)による地固め療法となっており、ほとんどの患者に用いられる。しかし、HD-MXTによる維持療法の有効性に関するデータは、これまで限られていた。米国・メイヨークリニックのSteven R. Hwang氏らは、HD-MTXによる導入化学療法後のHD-MXTによる維持療法戦略の有用性を検討するため、自施設で治療を行ったPCNSL患者の特徴および臨床アウトカムをレトロスペクティブに評価した。Blood Advances誌2025年2月25日号の報告。
 2010年10月〜2022年6月にPCNSLと診断され、HD-MXTベース導入療法後に自家HSCT地固め療法(70例)またはHD-MXT維持療法(37例)を実施した患者148例をレトロスペクティブに評価した。
主な結果は以下のとおり。
・フォローアップ期間中央値は4.5年、無増悪生存期間(PFS)は8.3年、全生存期間(OS)は未達であった。 ・HD-MXT維持療法群は、自家HSCT地固め療法群と比較し、診断時の年齢中央値が高く(72歳vs.62歳)、ECOG PS2以上の割合が高くなる傾向がみられた(41%vs.29%)。 ・導入療法開始後の5年PFSは、自家HSCT地固め療法群で74.6%、HD-MXT維持療法群で72.6%。5年OSは、自家HSCT地固め療法群で76.0%、HD-MXT維持療法群で82.4%。 ・全体として、PFSおよびOSに導入療法後の治療戦略に基づく有意な差は認められなかった。
 著者らは「これらの結果は、初期の導入療法で奏効が認められるPCNSL患者に対してHD-MXT維持療法戦略が、合理的かつtime-limited treatmentの治療戦略である可能性を示唆している」と結論付けている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Hwang SR, et al. Blood Adv. 2025; 9: 924-932.
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39964705

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