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新規PCNSLに対するHD-MTX療法、最適なレジメンは〜メタ解析
公開日:2025年2月5日
Shi H, et al. Medicine (Baltimore). 2025; 104: e41363.
中国・首都医科大学のHan Shi氏らは、中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)の治療における大量メトトレキサート(HD-MTX)療法の最適なレジメンを包括的に評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Medicine誌2025年1月31日号の報告。
8つのデータベース(PubMed、EMBASE、Cochrane Library、WOS、Epistemonikos、CNKI、WAN-FANG Database、CBM)よりPCNSLに関する臨床試験をシステマティックに検索した。
主な結果は以下のとおり。
・37件の研究(ランダム化比較試験:6件、単群臨床試験:31件)をメタ解析に含めた。 ・プールされた全奏効率(ORR)は、低用量MTX(3g/m2未満)で78%(95%CI:0.61〜0.91、I2=88.05%、6研究)、中用量MTX(3〜5g/m2)で80%(95%CI:0.75〜0.85、I2=81.40%、26研究)、高用量MTX(5g/m2超)で80%(95%CI:0.71〜0.88、I2=75.53%、10研究)であった。 ・プールされた2年全生存率(OS)は、低用量MTXで52%(95%CI:0.40〜0.64、I2=77.44%)、中用量MTXで60%(95%CI:0.55〜0.65、I2=74.54%)、高用量MTXで71%(95%CI:0.62〜0.79、I2=71.13%)であった。 ・MTX療法が5サイクル未満の患者では、ORRが79%(95%CI:0.72〜0.84、I2=81.46%、21研究)、完全奏効率(CR)が41%(95%CI:0.35〜0.48、I2=78.62%、21研究)、2年OSが59%(95%CI:0.52〜0.66、I2=80.72%)であり、5サイクル以上の患者では、ORRが81%(95%CI:0.75〜0.87、I2=81.54%、21研究)、CRが54%(95%CI:0.48〜0.59、I2=68.20%、20研究)、2年OSが64%(95%CI:0.58〜0.69、I2=73.12%)。
・プールされたORRは、MTX単剤で71%(95%CI:0.44〜0.92、I2=90.21%、5研究)、2剤併用で70%(95%CI:0.60〜0.79、I2=61.60%、6研究)、3剤併用で81%(95%CI:0.72〜0.88、I2=82.09%、9研究)、4剤併用で85%(95%CI:0.80〜0.90、I2=70.29%、14研究)、多剤併用で80%(95%CI:0.72〜0.87、I2=69.44%、8研究)。 ・プールされた2年OSは、MTX単剤で59%(95%CI:0.45〜0.73、I2=63.00%)、2剤併用で52%(95%CI:0.42〜0.63、I2=62.14%、5研究)、3剤併用で66%(95%CI:0.58〜0.74、I2=74.39%、9研究)、4剤併用で63%(95%CI:0.54〜0.72、I2=84.99%)、多剤併用で60%(95%CI:0.52〜0.68、I2=67.12%)。
・MTXベースの化学療法にシタラビンを併用することで、CRの改善が認められたが、OSには有意な影響が認められなかった。 ・MTX治療レジメンにリツキシマブを併用すると、治療奏効率やOSに影響を及ぼすことなく、無増悪生存期間(PFS)の改善が認められた。
著者らは「MTX治療戦略は、PCNSL患者の予後や治療効果と関連しており、良好な奏効を得るための用量は、HD-MTX 3.5g/m2で十分であることが示唆された。また、サイクル数の増加は、治療効果や予後を改善し、MTXベースの3剤併用療法で治療された患者のORRおよびCRが良好であることも確認された。さらに、HD-MTX療法の忍容性は、一般的に良好であったが、急性毒性の可能性を考慮し、シタラビンを含む多剤併用療法では、とくに注意が必要である」と結論付けている。
8つのデータベース(PubMed、EMBASE、Cochrane Library、WOS、Epistemonikos、CNKI、WAN-FANG Database、CBM)よりPCNSLに関する臨床試験をシステマティックに検索した。
主な結果は以下のとおり。
・37件の研究(ランダム化比較試験:6件、単群臨床試験:31件)をメタ解析に含めた。 ・プールされた全奏効率(ORR)は、低用量MTX(3g/m2未満)で78%(95%CI:0.61〜0.91、I2=88.05%、6研究)、中用量MTX(3〜5g/m2)で80%(95%CI:0.75〜0.85、I2=81.40%、26研究)、高用量MTX(5g/m2超)で80%(95%CI:0.71〜0.88、I2=75.53%、10研究)であった。 ・プールされた2年全生存率(OS)は、低用量MTXで52%(95%CI:0.40〜0.64、I2=77.44%)、中用量MTXで60%(95%CI:0.55〜0.65、I2=74.54%)、高用量MTXで71%(95%CI:0.62〜0.79、I2=71.13%)であった。 ・MTX療法が5サイクル未満の患者では、ORRが79%(95%CI:0.72〜0.84、I2=81.46%、21研究)、完全奏効率(CR)が41%(95%CI:0.35〜0.48、I2=78.62%、21研究)、2年OSが59%(95%CI:0.52〜0.66、I2=80.72%)であり、5サイクル以上の患者では、ORRが81%(95%CI:0.75〜0.87、I2=81.54%、21研究)、CRが54%(95%CI:0.48〜0.59、I2=68.20%、20研究)、2年OSが64%(95%CI:0.58〜0.69、I2=73.12%)。
・プールされたORRは、MTX単剤で71%(95%CI:0.44〜0.92、I2=90.21%、5研究)、2剤併用で70%(95%CI:0.60〜0.79、I2=61.60%、6研究)、3剤併用で81%(95%CI:0.72〜0.88、I2=82.09%、9研究)、4剤併用で85%(95%CI:0.80〜0.90、I2=70.29%、14研究)、多剤併用で80%(95%CI:0.72〜0.87、I2=69.44%、8研究)。 ・プールされた2年OSは、MTX単剤で59%(95%CI:0.45〜0.73、I2=63.00%)、2剤併用で52%(95%CI:0.42〜0.63、I2=62.14%、5研究)、3剤併用で66%(95%CI:0.58〜0.74、I2=74.39%、9研究)、4剤併用で63%(95%CI:0.54〜0.72、I2=84.99%)、多剤併用で60%(95%CI:0.52〜0.68、I2=67.12%)。
・MTXベースの化学療法にシタラビンを併用することで、CRの改善が認められたが、OSには有意な影響が認められなかった。 ・MTX治療レジメンにリツキシマブを併用すると、治療奏効率やOSに影響を及ぼすことなく、無増悪生存期間(PFS)の改善が認められた。
著者らは「MTX治療戦略は、PCNSL患者の予後や治療効果と関連しており、良好な奏効を得るための用量は、HD-MTX 3.5g/m2で十分であることが示唆された。また、サイクル数の増加は、治療効果や予後を改善し、MTXベースの3剤併用療法で治療された患者のORRおよびCRが良好であることも確認された。さらに、HD-MTX療法の忍容性は、一般的に良好であったが、急性毒性の可能性を考慮し、シタラビンを含む多剤併用療法では、とくに注意が必要である」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Shi H, et al. Medicine (Baltimore). 2025; 104: e41363.
▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39889167
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