3年間のMRD陰性達成後、LEN維持療法は中止可能か/Blood
血液内科 Journal Check

3年間のMRD陰性達成後、LEN維持療法は中止可能か/Blood

公開日:2025年3月6日

 多発性骨髄腫(MM)患者に対する自家造血幹細胞移植後のレナリドミド(LEN)維持療法の中止は、とくに微小残存病変(MRD)が疾患の奏効基準に含まれて以来、差し迫った重要な課題となっている。ギリシャ・アテネ国立カポディストリアン大学のEvangelos Terpos氏らは、骨髄および画像でMRD陰性を3年間達成した後、LEN維持療法を中止したMM患者における予後を評価するため、プロスペクティブ研究を実施した。Blood誌オンライン版2025年2月26日号の報告。
 対象は、骨髄および画像でのMRD陰性を3年間達成した後、LEN維持療法を中止したMM患者52例。MRD陽性転換率、無治療生存率(TFS)、無増悪生存率(PFS)の評価を行った。LEN中止後にMRD陽性となった患者では、同用量でLEN維持療法を再開した。
主な結果は以下のとおり。
・LEN中止からのフォローアップ期間中央値は3年。 ・MRD陽性となりLEN維持療法を再開した患者は12例(23%)。 ・病勢進行は4例(7.6%)のみであり、診断からの7年PFSは90.2%であった。 ・1年TFSは93.9%、2年TFSは91.6%、3年TFSは75.8%であったが、LEN維持療法中止(試験開始)からのランドマークPFSは、1年で96.0%、2年で96.0%、3年で92.9%であった。 ・年齢、性別、R2-ISS、導入療法の種類、地固め療法の使用とPFSおよびTFSの有効性アウトカムとの間に、統計学的に有意な関連は認められなかった。
 著者らは「骨髄および画像でのMRD陰性を3年間達成したMM患者におけるLEN維持療法の中止は、MRD転換および病勢進行の低下と関連していることが示唆された。これは、現在のMM治療は、一部の患者において完全寛解中に未治療にすることができる可能性を示している」と結論付けている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Terpos E, et al. Blood. 2025 Feb 26. [Epub ahead of print]
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/40009496

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