LEN抵抗性多発性骨髄腫に対するCAR-T細胞療法 vs.標準療法〜第III相試験
血液内科 Journal Check

LEN抵抗性多発性骨髄腫に対するCAR-T細胞療法 vs.標準療法〜第III相試験

公開日:2025年1月17日

Mina R, et al. Lancet Haematol. 2025; 12: e45-e56.
 レナリドミド(LEN)抵抗性再発多発性骨髄腫(MM)に対するシルタカブタゲン オートルユーセル(cilta-cel)によるCAR-T 細胞療法は、標準療法と比較し、主要エンドポイントである無増悪生存期間(PFS)の有意な改善を示すことが、CARTITUDE-4試験で報告された。イタリア・トリノ大学のRoberto Mina氏らは、本試験における患者報告アウトカムについて報告した。The Lancet. Haematolog誌2025年1月号の報告。
 現在進行中の第III相オープンラベルCARTITUDE-4試験では、米国、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアの81施設の患者を対象に、cilta-cel群(0.75 x106 CAR-T cells/kg)または標準療法群(DPd療法[ダラツムマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン]、PBd療法[ポマリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン])にランダムに割り付けた。対象患者は、プロテアソーム阻害薬および免疫調整薬を含む1〜3種類の治療歴を有するLEN抵抗性MM患者(PS:0〜1)。本件で報告する副次的エンドポイントには、持続的な症状悪化までの期間(MySIm-Q:主要副次的エンドポイント)、ITT集団におけるEORTC QLQ-C30およびEQ-5D-5LによるQOLの変化を含めた。
主な結果は以下のとおり。
・2020年7月10日〜2021年11月17日までにスクリーニングを受けた516例のうち419例がランダム化された(cilta-cel群:208例、標準療法群:211例、フォローアップ期間中央値:15.9ヵ月[IQR:12.4〜17.8]、年齢中央値:61歳)。 ・ベースライン評価を完了した患者は、cilta-cel群で208例中191例(92%)、標準療法群で209例中190例(91%)。 ・ベースライン後のMySIm-Qのコンプライアンスは、cilta-cel群で70〜81%、標準療法群で79〜89%。 ・MySIm-Qによる持続的な症状悪化までの期間中央値は、cilta-cel群で23.7ヵ月、標準療法群で18.9ヵ月であった(ハザード比:0.42、95%CI:0.26〜0.68)。 ・12ヵ月間のEORTC QLQ-C30 GHSスコアの平均変化は、cilta-cel群で+10.1ポイント(95%CI:7.0〜13.1)、標準療法群で−1.5ポイント(95%CI:−5.3〜2.3)。 ・12ヵ月間のEQ-5D-5L VASスコアの平均変化は、cilta-cel群で+8.0ポイント(95%CI:5.2〜10.7)、標準療法群で+1.4ポイント(95%CI:−1.9〜4.7)。 ・GHSおよびVASスコアにおける臨床的に意味のある改善率は、標準療法群よりもcilta-cel群の方が高かった。
 著者らは「cilta-celによる健康関連QOLの改善および症状悪化の遅延は、LEN抵抗性MMにおける臨床的な有効性を裏付けている」と結論付けている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Mina R, et al. Lancet Haematol. 2025; 12: e45-e56.
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39756844

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