おすすめキーワード

血液内科 Journal Check
CLLに対する2つのBTK阻害薬、ザヌブルチニブはイブルチニブより優れるのか
公開日:2025年2月10日
Fan F, et al. Hematol Oncol. 2025; 43: e70041.
イブルチニブの登場により、慢性リンパ性白血病(CLL)治療は一変した。しかし、有害事象に悩まされることも少なくない。第2世代のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるザヌブルチニブは、安全性の向上に期待される薬剤である。中国・青島大学のFuli Fan氏らは、CLLに対する2つのBTK阻害薬、ザヌブルチニブとイブルチニブの安全性プロファイルの比較を行った。Hematological Oncology誌2025年3月号の報告。
本プロスペクティブコホート研究では、CLL患者200例が登録され、ザヌブルチニブ群(100例)、イブルチニブ群(100例)に割り付けられた。年齢、性別、BMI、ECOGのPS、遺伝学的要因などのベースライン特性を比較した。有害事象および重篤な有害事象のフォローアップおよび分類には、有害事象共通⽤語規準(CTCAE)を用いた。重篤な有害事象およびグレードIII以上の有害事象の予測因子を特定するため、多変量ロジスティック回帰モデルを実施した。調整オッズ比(aOR)および95%信頼区間(CI)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・平均年齢は、ザヌブルチニブ群49.16歳、イブルチニブ群49.65歳(p=0.285)。 ・ザヌブルチニブ群では、ECOGのPS不良な患者の割合が高かった(71% vs.57%、p=0.039)。 ・ザヌブルチニブ群は、重症有害事象(4% vs.9%、p=0.152)および重篤な有害事象(8% vs.17%、p=0.054)の割合が低かった。 ・好中球減少は、イブルチニブ群のみでみられた(3%)。
・サブグループ解析では、非難治性患者においてザヌブルチニブ群の合併症発生率が高かった(11.40% vs.5.26、p=0.065)。 ・ステージIIIのCLLは、グレードIII以上の有害事象(aOR:0.007、95%CI:0.0003〜0.1829)および重篤な有害事象(aOR:0.015、95%CI:0.0010〜0.1770)の保護因子であった。 ・ECOSのPS状態(2 vs.3)により、重篤な有害事象リスクの低下がみられ、17p欠損が重篤な有害事象の主なリスク因子であることが示唆された(aOR:6.40、95%CI:1.33〜30.79)。
著者らは「ザヌブルチニブは、イブルチニブよりも安全性プロファイルが良好であり、重症有害事象が少なかったことから、CLL患者、とくにBTK阻害薬による合併症リスクが高い患者では、ザヌブルチニブの方が安全な選択肢であると考えられる。しかし、これらの違いは、ベースライン時の臨床特性のばらつきに起因している可能性があるため、解釈には注意が必要である」と結論付けている。
本プロスペクティブコホート研究では、CLL患者200例が登録され、ザヌブルチニブ群(100例)、イブルチニブ群(100例)に割り付けられた。年齢、性別、BMI、ECOGのPS、遺伝学的要因などのベースライン特性を比較した。有害事象および重篤な有害事象のフォローアップおよび分類には、有害事象共通⽤語規準(CTCAE)を用いた。重篤な有害事象およびグレードIII以上の有害事象の予測因子を特定するため、多変量ロジスティック回帰モデルを実施した。調整オッズ比(aOR)および95%信頼区間(CI)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・平均年齢は、ザヌブルチニブ群49.16歳、イブルチニブ群49.65歳(p=0.285)。 ・ザヌブルチニブ群では、ECOGのPS不良な患者の割合が高かった(71% vs.57%、p=0.039)。 ・ザヌブルチニブ群は、重症有害事象(4% vs.9%、p=0.152)および重篤な有害事象(8% vs.17%、p=0.054)の割合が低かった。 ・好中球減少は、イブルチニブ群のみでみられた(3%)。
・サブグループ解析では、非難治性患者においてザヌブルチニブ群の合併症発生率が高かった(11.40% vs.5.26、p=0.065)。 ・ステージIIIのCLLは、グレードIII以上の有害事象(aOR:0.007、95%CI:0.0003〜0.1829)および重篤な有害事象(aOR:0.015、95%CI:0.0010〜0.1770)の保護因子であった。 ・ECOSのPS状態(2 vs.3)により、重篤な有害事象リスクの低下がみられ、17p欠損が重篤な有害事象の主なリスク因子であることが示唆された(aOR:6.40、95%CI:1.33〜30.79)。
著者らは「ザヌブルチニブは、イブルチニブよりも安全性プロファイルが良好であり、重症有害事象が少なかったことから、CLL患者、とくにBTK阻害薬による合併症リスクが高い患者では、ザヌブルチニブの方が安全な選択肢であると考えられる。しかし、これらの違いは、ベースライン時の臨床特性のばらつきに起因している可能性があるため、解釈には注意が必要である」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Fan F, et al. Hematol Oncol. 2025; 43: e70041.
▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39887746
※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ヒポクラは会員登録すると便利に!
約7万人の医師が会員登録。ヒポクラへの相談や論文の日本語での検索、勉強会情報などの診療に役立つサービスが全て無料で利用できるようになります。
01知見共有

約7万人が参加する医師限定の相談所。たくさんの相談症例・アドバイスを見ることで、全国の先生の臨床経験を効率的に学べます。
02専門医コンサルト

皮膚悪性腫瘍以外にも、皮膚科・眼科・心不全、心電図・肺などの専門医に1対1のクローズドな環境で相談できます。
03論文検索

PubMedを日本語検索できます。また検索結果のアブストラクトも和訳して表示するため、論文検索の時短に繋がります。
04勉強会まとめ

Web上に公開されている勉強会情報を、診療科別にお届け。「興味あり」を選択した勉強会は、開催前にリマインドメールが届くため見逃しを防ぎ、情報収集を1本化できます。