未治療で移植適応のある多発性骨髄腫に対するISA-KLd療法〜第III相MIDAS試験分析
血液内科 Journal Check

未治療で移植適応のある多発性骨髄腫に対するISA-KLd療法〜第III相MIDAS試験分析

公開日:2025年1月28日

Perrot A, et al. Blood. 2025 Jan 22. [Epub ahead of print]
 未治療で移植適応のある多発性骨髄腫(MM)患者では、自家移植前に4剤併用による寛解導入療法が一般的に行われる。フランス・トゥールーズ大学のAurore Perrot氏らは、未治療で移植適応のあるMM患者を対象に、イサツキシマブ+カルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用(ISA-KLd療法)による寛解導入療法の微小残存病変(MRD)に対する地固め療法および維持療法戦略を評価するため、第III相IFM2020-02-MIDAS試験を実施し、28日間のISA-KLd療法6サイクルの安全性および有効性を報告した 。Blood誌オンライン版2025年1月22日号の報告。
主な結果は以下のとおり。
・2021年12月〜2023年7月に72施設より791例が登録された。 ・年齢中央値は59歳、ISSステージIIIが13%、R-ISSステージIIIが5%、細胞遺伝学的高リスク(IFM Linear Predictor cytogenetic score:1超)が8%。 ・全体で治療が完了した患者は96%(757例)であった。 ・CD34陽性細胞数中央値は7×106/kg、患者の94%はタンデム移植可能であった。 ・最良総合効果(ORR)は95%。 ・ITI集団における治療の最良部分奏効(VGPR)以上達成率は91%、MRD陰性率は閾値が10-5で63%、10-6で47%。 ・MRD陰性率は、ISSステージおよび細胞遺伝学サブグループにより違いが認められた。 ・寛解導入療法中、病勢進行が7例、死亡が5例(病勢進行:1例、心イベント:2例、その他の原因:2例)でみられた。 ・グレードIII/IVの主な有害事象は、好中球減少(25%)、血小板減少(5%)、感染症(7%)。 ・すべてのグレードの末梢神経障害の発生率は13%。
 著者らは「未治療で移植適応のあるMMに対するISA-KLd療法は、より深い奏効およびMRD陰性率を示し、幹細胞採取が可能であり、新たな安全性上の懸念も見られなかった。これらの結果を確認するためにも、本研究の継続的なフォローアップが必要である」と結論付けている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Perrot A, et al. Blood. 2025 Jan 22. [Epub ahead of print]
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39841461

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