1stラインでのダラツムマブ使用はauto-SCT後の生着に影響を及ぼすのか
血液内科 Journal Check

1stラインでのダラツムマブ使用はauto-SCT後の生着に影響を及ぼすのか

公開日:2024年10月24日

Martino M, et al. Cancers (Basel). 2024; 16: 3307.
 移植適応の未治療多発性骨髄腫(MM)に対し、ダラツムマブ+ボルテゾミブ+サリドマイド+デキサメタゾン(D-BTd療法)による導入療法は、欧州で自家幹細胞移植(auto-SCT)前の標準療法となっている。イタリア・Grande Ospedale Metropolitano Bianchi Melacrino MorelliのMassimo Martino氏らは、D-BTd療法がauto-SCT後の生着に及ぼす影響を調査した。Cancers誌2024年9月27日号の報告。
 連続した未治療MM患者60例を対象に、導入療法としてD-BTd療法を4サイクル実施した。コンディショニングレジメンには、メルファラン200mg/m2を用いた。BTd療法を4サイクル実施した80例を対照群とし、比較を行った。
主な結果は以下のとおり。
・D-BTd療法群とBTd療法群における好中球および血小板の生着に達するまでの平均日数に、有意な違いが認められた。 【D-BTd療法群】好中球:11日、血小板:13日 【BTd療法群】好中球:10日、血小板:12日 ・単変量Cox解析では、D-BTd療法群における好中球生着のハザード比(HR)は、BTd療法群と比較し、42%有意に低いことが示唆された(HR:0.58、p=0.002)。また、多変量モデルでも同様の結果が確認された。 ・D-BTd療法群では、発熱性好中球減少症(FN)の頻度が高かった。 ・単変量および多変量ロジスティック回帰では、D-BTd療法とFNとの間に関連性が認められた。 ・移植の遅延と入院期間の延長との間に相関は認められなかった。 ・移植後、6ヵ月以内に死亡した患者はいなかった。
 著者らは「本研究結果より、移植適応の未治療MM患者に対するダラツムマブを含む4剤併用による導入療法は、移植後の好中球および血小板の生着に遅延がみられるものの、移植の安全性アウトカムに影響を及ぼす可能性が低いことが示唆された」と結論付けている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Martino M, et al. Cancers (Basel). 2024; 16: 3307.
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39409927

※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら

ヒポクラは会員登録すると便利に!

約7万人の医師が会員登録。ヒポクラへの相談や論文の日本語での検索、勉強会情報などの診療に役立つサービスが全て無料で利用できるようになります。

01知見共有

約7万人が参加する医師限定の相談所。たくさんの相談症例・アドバイスを見ることで、全国の先生の臨床経験を効率的に学べます。

02専門医コンサルト

皮膚悪性腫瘍以外にも、皮膚科・眼科・心不全、心電図・肺などの専門医に1対1のクローズドな環境で相談できます。

03論文検索

PubMedを日本語検索できます。また検索結果のアブストラクトも和訳して表示するため、論文検索の時短に繋がります。

04勉強会まとめ

Web上に公開されている勉強会情報を、診療科別にお届け。「興味あり」を選択した勉強会は、開催前にリマインドメールが届くため見逃しを防ぎ、情報収集を1本化できます。

ヒポクラに会員登録する

「血液内科 Journal Check」記事一覧へ戻る