「乾癬性関節炎」の記事一覧

活動性の関節症性乾癬患者におけるビメキズマブ:48週間の無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量設定の第2b相試験の結果。
活動性の関節症性乾癬患者におけるビメキズマブ:48週間の無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量設定の第2b相試験の結果。
Bimekizumab in patients with active psoriatic arthritis: results from a 48-week, randomised, double-blind, placebo-controlled, dose-ranging phase 2b trial Lancet 2020 Feb 8;395(10222):427-440. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】 インターロイキン17A(IL17A)とインターロイキン17F(IL17F)の二重中和は、関節症性乾癬の新規治療アプローチとなる可能性があります。BE ACTIVE試験は、チェコ共和国、ドイツ、ハンガリー、ポーランド、ロシア、米国の41施設で行われた無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量設定の第2b相試験で、IL17AとIL17Fを選択的に中和するモノクローナル抗体、Bimekizumabが評価されました。成人発症の活動性関節症で6カ月以上の症状がある18歳以上の適格患者さんを、プラセボ、ビメキズマブ16mg、ビメキズマブ160mg、ビメキズマブ160mgと320mgの単回ロード用量、ビメキズマブ320mgにランダムに割り付け(1:1:1:1)、4週間隔で12週間皮下投与しました。12週間後、プラセボ群およびビメキズマブ16mg群に割り付けられた患者さんは、ビメキズマブ160mgまたは320mgのいずれかにランダムに(1対1で)再割り付けされ、その他の患者さんは48週間まで最初に割り当てられた用量を継続しました。参加者と研究者の双方は、最初の12週間は治療割り付けについて盲検化され、その後はビメキズマブの投与量について盲検化されました。主要評価項目は、12週目に米国リウマチ学会の奏功基準を50%以上改善した患者の割合とし、少なくとも1回の試験治療を受け、ベースライン時に有効な主要評価項目の測定値があったすべての患者を対象に評価されました。なお、本試験は、すべてのフォローアップを含めて終了しています。本試験はClinicalTrials. gov、NCT02969525に登録されています。 【FINDINGS】2016年10月27日から2018年7月16日の間に、308人の患者がスクリーニングされ、206人がランダムに割り付けられた。プラセボ群に42名、ビメキズマブ4群に各41名が割り付けられた。12週時点で、プラセボ群と比較して、ビメキズマブ16mg群(オッズ比[OR]4-2[95%CI 1-1-15-2];p=0-032) 、ビメキズマブ160mg群(8-1[2-3-28-7];p=0-0012)、ビメキズマブ160mg(ロード用量)群でACR50反応を獲得した患者は、9-7[2-7-34-3];p=0-0004 )と有意差があった。12週時点で、プラセボ群42例中24例(57%)、ビメキズマブ群164例中68例(41%)が、治療上問題となる有害事象を報告しました。これらの有害事象の多くは軽度または中等度であった。重篤な治療上緊急の有害事象は9名に発生し、そのうち8名はビメキズマブ投与を受けていました。ビメキズマブ16mgおよび160mgの投与(320mgのローディング用量の有無にかかわらず)は、プラセボと比較してACR50を有意に改善し、安全性プロファイルも許容範囲内でした。この結果は、関節症性乾癬の治療薬としてのビメキズマブの第3相試験を支持するものである。 【資金提供】UCB Pharma. 第一人者の医師による解説 生物学的製剤の種類が増えれば 他の製剤からの変更含め治療選択肢が拡大 山本 俊幸 福島県立医科大学医学部皮膚科教授 MMJ.August 2020;16(4) 乾癬性関節炎(PsA)に対する生物学的製剤は、新しい薬剤ほど重篤な副作用が減り、投与間隔も長くなり、自己注射可能なものもある。皮膚症状の改善効果は腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬よりもインターロイキン(IL)-17やIL-23を標的とした抗体薬の方が高く、逆に重篤な関節症状への効果はTNF阻害薬の方が高いと考えられることが多かった。 欧州リウマチ学会(EULAR)ガイドラインでTNF阻害薬が第1選択になっている理由の1つは長期エビデンスの存在であるが、近年抗IL-17抗体薬でも長期エビデンスが出てきている。IL-17サブタイプ(A~ F)のうち乾癬皮疹部ではA、C、Fの発現が亢進している。IL-17 A、IL-17 FはTh17細胞以外に自然免疫担当細胞からも産生される。関節滑膜局所ではIL-17 Fの方が強く発現していると報告されている(1)。PsAの付着部炎ではIL-17が中心的な役割を果たしており、特徴的とされる骨病変(altered bone remodeling)の骨新生にも骨びらんにもIL-17が重要な役割を担っている(2)。 従来のIL-17阻害薬は主にIL-17 Aを標的としていたが、今回、IL-17 AとIL-17Fを同時に抑える抗体薬ビメキズマブのPsAに対する有効性がランダム化二重盲検プラセボ対照用量範囲設定試験で検討された。欧米6カ国41施設で成人発症の活動性PsA患者206 人がプラセボ群、実薬群(16 mg、160 mg、初回のみ320 mgローディングする160 mg、320 mg)の5 群に割り付けられ、4 週間ごとの皮下投与を12週受けた。 主要評価項目である12週時点のACR50%改善の達成率は、ビメキズマブ16mg群、160mg (ローディングあり)群のほうがプラセボ群よりも有意に高かったが、320mg群では有意差がなかった。12週時点の有害事象はプラセボ群57%、ビメキズマブ群41%に発現し、多くは軽度~中等度であった。重症な有害事象は9人に発現し、うち8人はビメキズマブ群であった。自殺念慮は1人にみられた。死亡、炎症性腸疾患、ブドウ膜炎、心血管疾患、アナフィラキシーはみられなかった。IL-17の有害事象に好中球減少症や感染症(細菌・真菌感染)があるが、IL-17 A、IL-17Fの同時抑制によってそれらのリスクが高まることはなかった。 今回高用量(320mg)群で有意な有効性がみられなかった要因として、著者らは患者集団が圧痛関節数をはじめ活動性の高い患者が多かった可能性を挙げている。生物学的製剤の種類が増えることで、他の生物学的製剤からの変更を含めた治療選択肢が広がる。今後、適正用量、長期的な持続効果、免疫原性、有害事象などを含めたさらなる検討が必要である。 1. Van Baarsen LG et al. Arthritis Res _ er. 2014;16(4):426. 2. Schett G et al. Nat Rev Rheumatol. 2017;13(12):731-741.