「嗅覚障害」の記事一覧

COVID-19感染後の長期にわたる嗅覚・味覚障害5.6%に嗅覚障害、4.4%に味覚障害が残存と推定
COVID-19感染後の長期にわたる嗅覚・味覚障害5.6%に嗅覚障害、4.4%に味覚障害が残存と推定
Prognosis and persistence of smell and taste dysfunction in patients with covid-19: meta-analysis with parametric cure modelling of recovery curves BMJ. 2022 Jul 27;378:e069503. doi: 10.1136/bmj-2021-069503. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 [目的]covid-19患者における嗅覚と味覚の回復率、嗅覚と味覚の持続的な機能障害の割合、および嗅覚と味覚の回復に関連する予後因子を明らかにすること。 [設計]系統的レビューとメタ分析。 [データソース]PubMed、Embase、Scopus、Cochrane Library、および medRxiv の開始から 2021 年 10 月 3 日まで。イベントまでの時間曲線を用いた記述的予後研究と、あらゆる予後因子の予後関連研究が含まれていました。ガイドライン。反復数値アルゴリズムを使用して、イベントまでの時間の個々の患者データ (IPD) が再構築およびプールされ、生存を維持した参加者の回復率が 30 日間隔で報告され、配布なしの要約生存曲線が取得されました。永続的な嗅覚と味覚の機能障害の割合を推定するために、プラトー生存曲線のワイブル非混合治癒モデルからの治癒分画をロジット変換し、2 段階のメタ分析でプールしました。予後因子と回復との未調整の関連性を調査するために、従来の集計データ メタアナリシスが実施されました。副次的アウトカムは、嗅覚と味覚の回復に関連する予後変数のオッズ比でした。バイアスのリスクは低から中程度でした。リスクの高い 4 つの研究を除外した後も、結論は変わりませんでした。エビデンスの質は中程度から高かった。パラメトリック治癒モデリングに基づくと、持続的な自己申告による嗅覚と味覚の機能障害が推定 5.6% (95% 信頼区間 2.7% ~ 11.0%、I 2 =70%、τ 2 =0.756、95% 予測区間 0.7% ~ 33.5%)および4.4%(1.2%~14.6%、I 2 =67%、τ 2 =0.684、95%予測区間0.0%~49.0%)の患者であった。感度分析は、これらが過小評価される可能性があることを示唆しています。 30、60、90、および 180 日で、それぞれ 74.1% (95% 信頼区間 64.0% から 81.3%)、85.8% (77.6% から 90.9%)、90.0% (83.3% から 94.0%)、および 95.7% (89.5% から 98.3%) の患者が嗅覚を回復し (I 2 =0.0-77.2%、τ 2 =0.006-0.050)、78.8% (70.5% から 84.7%)、87.7% (82.0% から 91.6%) 、90.3%(83.5%~94.3%)、98.0%(92.2%~95.5%)が味覚を回復した(I 2 =0.0~72.1%、τ 2 =0.000~0.015の範囲)。女性は、嗅覚 (オッズ比 0.52、95% 信頼区間 0.37 ~ 0.72、7 件の研究、I 2 =20%、τ 2 =0.0224) および味覚 (0.31、0.13 ~ 0.72、7 件の研究、I 2 =78%、τ 2 =0.5121)、男性よりも機能障害の初期重症度が高い患者 (0.48、0.31 ~ 0.73、5 つの研究、I 2 =10%、τ 2 <0.001) または鼻づまり (0.42、0.18 ~ 0.97、3 つの研究、I 2 =0%、τ 2 <0.001) は、嗅覚を回復する可能性が低かった. .これは、長期にわたるcovidの負担の増大に寄与する可能性があります.[体系的レビュー登録] PROSPERO CRD42021283922. 第一人者の医師による解説 “long COVID”研究に大変貴重なデータだが 2021年10月までのデルタ株でのデータである点に留意すべき 荒岡 秀樹 虎の門病院臨床感染症科部長 MMJ.February 2023;19(1):5 嗅覚・味覚障害は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断において重要な契機となることが広く知られているが、その臨床経過、回復期間の大規模なデータは寡少である。COVID-19に関連する嗅覚・味覚の機能障害は一過性なのか持続性なのか、嗅覚・味覚機能障害が持続する患者の割合はどの程度なのか、そして嗅覚・味覚の回復に関連する予後因子も明らかになっていない。本論文は、これらの疑問について系統的レビューとメタ解析により検討した研究の報告である。文献検索により、COVID-19に関連する嗅覚・味覚障害を有する成人の観察研究を選択し、研究の偏りやエビデンスの質を評価し、主要評価項目である嗅覚・味覚障害が残存する患者の割合、副次評価項目である嗅覚・味覚の回復に関連する予後因子について解析した。 その結果、18件の研究(患者3,699人)がtimeto-event individual patient data(IPD)のメタ解析、68の論文が集計データの系統的レビューとメタ解析の対象とされた。バイアスのリスクは低~中程度で、リスクの高い4件の研究を除外しても結論は変わらなかった。エビデンスの質は中~高程度であった。モデリング解析の結果では、持続的な嗅覚障害は5.6%(95%信頼区間[CI], 2.7~ 11.0%)、味覚障害は4.4%(1.2 ~ 14.6%)の患者に発症すると推定された。嗅覚の回復率は、30、60、90、180日時点でそれぞれ74.1%(95% CI, 64.0 ~ 81.3%)、85.8%(77.6 ~90.9%)、90.0%(83.3~94.0%)、95.7%(89.5~ 98.3%)であった。味覚の回復率は各時点でそれぞ れ78.8%(95% CI, 70.5 ~ 84.7%)、87.7 %(82.0 ~ 91.6 %)、90.3 %(83.5 ~94.3%)、98.0%(92.2 ~ 95.5%)であった。女性は男性に比べて嗅覚(オッズ比[OR], 0.52;95% CI, 0.37 ~ 0.72)と味覚(0.31;0.13 ~0.72)の回復率が低く、機能障害の初期重症度が高い患者(OR, 0. 48;95% CI, 0.31 ~ 0.73)と鼻づまり(0.42;0.18 ~ 0.97)を有する患者は嗅覚の回復が悪かった。 本研究が明らかにした長期の嗅覚・味覚障害の推定発症率、そして回復の予後因子は、今後の“long COVID”に関する研究を進めるうえで大変貴重なデータである。ただし、文献検索期間が2021年10月までとなっており、主にデルタ株までのデータである点に留意すべきである。2022年以降流行の主流を占めているオミクロン株についてのデータは含まれていない。各国からの暫定的なオミクロン株流行以降の嗅覚・味覚障害のデータも一定の見解は未だ得られていない。BA.1系統では嗅覚・味覚障害の頻度は低下し、BA.5系統では再び上昇しているとの知見もあり、今後発表される論文にも注意を払う必要がある。