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日本人患者におけるポサコナゾールの薬物動態モデリング
日本人患者におけるポサコナゾールの薬物動態モデリング
公開日:2024年5月8日 Sugimoto M, et al. Ther Drug Monit. 2024 Apr 4. [Epub ahead of print]  ポサコナゾールは、深在性真菌感染症の治療と予防に不可欠な薬剤の1つである。ポサコナゾールの薬物動態には、性別、体重、総血清タンパク質、食事摂取量、重度の粘膜炎など、いくつかの因子が影響を及ぼす。しかし、造血幹細胞移植(HSCT)におけるポサコナゾールの薬物胴体に影響を及ぼすさまざまな因子との関連性は、よくわかっていなかった。京都大学の杉本 充弘氏らは、HSCTレシピエントおよび非移植例の血液疾患患者におけるポサコナゾールの薬物動態に影響を及ぼす因子を調査した。Therapeutic Drug Monitoring誌オンライン版2024年4月4日号の報告。  本研究は、単一施設レトロスペクティブ研究として実施された。対象は、真菌感染症の予防薬として経口ポサコナゾールを投与した日本人入院患者42例。構造薬物動態モデルとして、1次吸収を伴う1-コンポーネントモデルを用いた。集団薬物動態分析には、非線形混合モデル、相互作用を伴う1次条件付き推定法を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・ポサコナゾールの血中濃度が0.5μg/mL(有効範囲)未満の患者の割合は、29%であった。 ・集団薬物動態分析では、見かけのクリアランス(CL/F)に影響を及ぼす因子として、1年以内のHSCT実施、下痢が5回/日以上、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼが特定された。 ・ポサコナゾールのCL/Fは、HCST後では1.43倍、下痢中では1.26倍高かった。  著者らは「ポサコナゾールのCL/Fには、HSCT、下痢、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼが関連しており、このような場合、ポサコナゾールのトラフ濃度が治療範囲を下回る可能性がある。血液疾患患者における深在性真菌感染症は、生命を脅かす可能性があるため、注意深くモニタリングを行う必要がある」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Sugimoto M, et al. Ther Drug Monit. 2024 Apr 4. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38648638 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら