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2010〜19年の世界の発がん頻度と危険因子の解析 男性50.6%、女性36.3%が危険因子起因のがんで死亡
2010〜19年の世界の発がん頻度と危険因子の解析 男性50.6%、女性36.3%が危険因子起因のがんで死亡
The global burden of cancer attributable to risk factors, 2010-19: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2019 Lancet. 2022 Aug 20;400(10352):563-591. doi: 10.1016/S0140-6736(22)01438-6. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 [背景]潜在的に修正可能な危険因子に起因するがんの負担の大きさを理解することは、効果的な予防および緩和戦略の開発に不可欠です。 2019 年の疾病、傷害、危険因子の世界的負担に関する研究(GBD)の結果を分析し、がん対策計画の取り組みを世界的に知らせました。 [方法] GBD 2019 の比較リスク評価フレームワークを使用して、行動、環境、および職業、および代謝の危険因子。世界がん研究基金の基準に基づいて、合計 82 のリスクと結果のペアが含まれていました。 2019 年の推定がん死亡数と障害調整生存年数 (DALY)、および 2010 年から 2019 年までのこれらの指標の変化が示されています。 % 不確実性区間 4.01-4.94) の死亡と 1 億 500 万 (95.0-116) の DALY を合わせて、がんによる全死亡の 44.4% (41.3-48.4) と 42.0すべての DALY の % (39·1-45·6)。男性では2.88百万(2.60-3.18)のリスクに起因する癌による死亡があり(すべての男性の癌による死亡の50.6%[47.8-54.1])、1.58百万(1. 36-1.84) 女性のリスクに起因する癌による死亡 (全女性の癌による死亡の 36.3% [32.5-41.3])。 2019 年の両性を合わせたリスクに起因するがんによる死亡と DALY について、世界で最も詳細なレベルでの主要な危険因子は喫煙であり、アルコール使用と高 BMI がそれに続きました。リスクに起因するがんの負荷は、世界の地域と社会人口統計学的指標 (SDI) によって異なり、2019 年のリスクに起因するがんの DALY が低い SDI の場所では、喫煙、危険なセックス、アルコールの使用が 3 つの主要な危険因子でした。 SDI の場所は、上位 3 つの世界的な危険因子ランキングを反映しています。 2010 年から 2019 年にかけて、世界のリスクに起因するがんによる死亡は 20.4% (12.6-28.4) 増加し、DALY は 16.8% (8.8-25.0) 増加し、代謝の増加率が最も高かったリスク (34.7% [27.9-42.8] および 33.3% [25.8-42.0]).危険因子は、2010 年から 2019 年の間に最大の増加を示しました。これらの修正可能な危険因子への曝露を減らすことで、世界中のがん死亡率と DALY 率が低下し、政策は地域のがん危険因子負担に合わせて適切に調整する必要があります。[資金提供]ビル & メリンダ ゲイツ財団。 第一人者の医師による解説 がんの半数近くは対策可能な危険因子による予防が可能なことを明示 西原 広史 慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット教授 MMJ.February 2023;19(1):22 予防医学的に対応可能な危険因子に起因するがんの発症頻度を把握しておくことは、がんの発症回避や早期発見・治療につながり、総合的ながん対策として重要である。世界の疾病・傷害・危険因子負荷研究(GBD)2019からは、204国・地域におけるがんの発症数・死亡数、障害調整生存年(DALY)(1)、危険因子(2)の2019年推計値、2010~19年の推移が報告されており、本論文はさらに、がんの発症にどのような危険因子がどの程度関わっているのかを明らかにした大変興味深い報告である。著者らは、がん発症との因果関係が証明されている危険因子(日常的な行動、生活環境・職業、代謝関連[食事、BMIなど])とアウトカム(がん死亡など)の合計82のペア(がん23種類、危険因子34種類)を対象に、危険因子、がん種、地域別に2019年のがん死亡数、がんDALYを推計し、2010年の数値との比較を行った。 その結果、全体では、何かしらの危険因子に起因するがん死亡者の割合は、男性で50.6%、女性で36.3%であった。そのうちがん死亡とDALYへの影響が最も大きい危険因子は男女ともに喫煙であり、続いてアルコールとBMI高値であった。喫煙、大気汚染、職業因子は肺がん、アルコールは男性では喉頭・咽頭がんと消化管がん、女性では乳がんと消化管がん、薬物摂取歴は肝がん、食生活は消化管がん、BMI高値は男性では肝がんと消化管がん、女性で子宮がん、乳がんと強い関連が認められた。この結果は先行疫学研究の報告を裏付けるとともに、がんの発症機序を考えれば当然のことと言える。社会人口指数(SDI:収入、教育、出生率の混合指標)の低い地域では、高い地域に比べ、がん死亡者数が多く、感染対策なしの性交渉が高い危険因子となっているのはヒトパピローマウイルス(HPV)感染による子宮頸がんやヒト免疫不全ウイルス(HIV)による発がんが考えられる。2010~19年にかけて、危険因子に起因するがん死亡者数は20.4%、DALYは16.8%増加した。特に代謝関連リスクの上昇が顕著なのは世界的な生活レベル上昇とそれに伴う肥満や糖尿病者の増加に起因すると考えられる。 本研究は、がんの半数近くは対策が可能な危険因子によるものであり、がんは予防が可能であることを明示している。日本は年間約100万人の新規発症がん患者を抱える国3であり、がん予防対策は喫緊の課題である。近年は喫煙者が減っている一方で、肥満や糖尿病などの代謝関連疾患患者が増えており、こうした部分に対する集中的な対策が重要だと考えられる。 1. Global Burden of Disease 2019 Cancer Collaboration. JAMA Oncol.2022;8(3):420-444. 2. GBD 2019 Risk Factors Collaborators. Lancet. 2020;396(10258):1223-1249. 3. 最新がん統計(がん情報サービス)https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html