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再生不良性貧血患者におけるallo-HSCT前の好中球絶対数の意義
再生不良性貧血患者におけるallo-HSCT前の好中球絶対数の意義
公開日:2024年5月30日 Nakamura Y, et al. Ann Hematol. 2024 May 16. [Epub ahead of print]  同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)前の好中球絶対数(ANC)が再生不良性貧血(AA)患者のアウトカムに及ぼす影響は、依然として不明なままである。山口大学の中邑 幸伸氏らは、初回移植としてallo-HSCTを行った成人AA患者を対象に、移植前のANCと患者アウトカムとの関係をレトロスペクティブに評価した。Annals of Hematology誌オンライン版2024年5月16日号の報告。  対象は、2008〜20年に初回移植としてallo-HSCTを行った成人AA患者883例。移植前のANCと患者アウトカムとの関係をレトロスペクティブに評価した。ANCに基づき、0/μL(116例)、1〜199/μL(210例)、200/μL以上(557例)の3群に分類した。 主な結果は以下のとおり。 ・低ANC群(ANC 200/μL未満)では、患者がより高齢、抗胸腺細胞免疫グロブリン(ATG)治療歴が低頻度、診断から移植までが短期間、造血細胞移植特異的併存疾患指数(HCT-CI)が高かった。ATGベースのコンディショニングはあまり使用されず、血縁ドナーからの末梢血幹細胞および臍帯血の頻度が高かった。 ・多変量解析では、5年全生存(OS)率と有意な関連が認められた因子は、患者の年齢、ATG治療歴、HCT-CI、幹細胞ソース、移植前のANCであった。 【ANC 200/μL以上】OS:80.3% 【ANC 1〜199/μL】OS:71.7% 【ANC 0/μL】OS:64.4% ・細菌感染、深在性真菌症、生着前の早期死亡の累積発生率は、低ANC群で有意に高かった。 ・ANC 0/μL群において、OSの向上と有意な関連が認められた因子は、患者がより若年、診断から移植までが短期間、HCT-CIが0、幹細胞ソースが関連ドナーからの骨髄移植であった。  著者らは「allo-HSCT前のANCは、成人AA患者の重要な予後決定因子であることから、移植前にはANCに注意を払う必要がある」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nakamura Y, et al. Ann Hematol. 2024 May 16. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38750374 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら