ライブラリー ボスチニブの低用量開始は中止リスクをどの程度改善するか〜国内第II相BOGI試験
公開日:2024年8月15日
Ureshino H, et al. Int J Hematol. 2024 Aug 13. [Epub ahead of print]
ボスチニブは、一般的に安全性および有効性が良好な薬剤であるが、下痢や肝トランスアミナーゼ値上昇などの薬剤関連毒性により治療中止に至るケースも少なくない。広島大学の嬉野 博志氏(現在、佐賀大学)らは、ボスチニブの初回投与量を減量することで、薬剤関連毒性による治療中止率が低下するかを検討するため、慢性骨髄性白血病(CML)患者を対象に2〜3次治療におけるボスチニブ漸増レジメンによる第II相試験(BOGI試験)を実施した。International Journal of Hematology誌オンライン版2024年8月13日号の報告。
対象は、2019年2月4日〜2022年5月24日に登録された治療抵抗性/不耐性のCML患者35例。ボスチニブは、200mgから開始し、有害事象をモニタリングしながら500mgになるまで漸増した。主要アウトカムは、治療開始12ヵ月後における有害事象による治療中止率とした。
主な結果は以下のとおり。
・12ヵ月時点でのボスチニブ中止率は28.2%であった(国内第I /II相臨床試験:35.9%、p=0.102)。
・薬剤関連毒性によるボスチニブ中止率は11.4%であり、臨床試験の28.2%と比較し、有意に低かった(p=0.015)。
・グレード3〜4のトランスアミナーゼ値上昇の発生率は、20% vs. 29%(p=0.427)、下痢の発生率は、3% vs. 25%(p=0.009)であった。
・ボスチニブの平均用量強度は、ボスチニブの初回投与量を減量することで高くなった(391.7mg/日 vs. 353.9mg/日)。
・ボスチニブの薬物動態解析では、主要な分子反応を達成した患者においてトラフ濃度が高い傾向にあることが確認された。
著者らは「ボスチニブの初回投与量を減量した上で、その後漸増していくことで、用量強度と有効性を維持しながら、重篤な薬剤関連毒性による中止率を低下させることができる」としている。
(エクスメディオ 鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Ureshino H, et al. Int J Hematol. 2024 Aug 13. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39136895
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