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クローン病における標準インフリキシマブとバイオシミラーの有効性・安全性。フランスにおける同等性試験
クローン病における標準インフリキシマブとバイオシミラーの有効性・安全性。フランスにおける同等性試験
Effectiveness and Safety of Reference Infliximab and Biosimilar in Crohn Disease: A French Equivalence Study Ann Intern Med 2019 Jan 15 ;170 (2 ):99 -107 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】CT-P13は、一部の炎症性関節炎に対する有効性と安全性が確認されたリファレンス製品(RP)であるインフリキシマブのバイオシミラーである。それに基づいてクローン病(CD)の治療薬として承認されたが、CDにおける効果を検討する特別な試験は行われていない。 【目的】インフリキシマブ未使用のCD患者におけるCT-P13とRPの有効性と安全性を比較する。 【デザイン】比較同等コホート試験。 【設定】フランス全国の健康行政データベースSynds(Système National des Données de Santé)(2015年3月1日から2017年6月30日)。[患者]15歳以上で、RP(n=2551)またはCT-P13(n=2499)による治療を開始し、他にインフリキシマブの適応がないCD患者5050例。 【測定】主要評価項目は、死亡、CD関連手術、全原因入院、他の生物学的療法の払い戻しによる複合エンドポイントとした。同等性は、多変量限界CoxモデルにおけるCT-P13とRPのハザード比(HR)の95%CIが事前に指定したマージン(0.80~1.25)内に位置することと定義した。 【結果】全体で、RP群1147例とCT-P13群952例が複合エンドポイントを達成した(それぞれ838例と719例の入院を含む)。主要評価項目の多変量解析では、CT-P13はRPと同等であった(HR、0.92[95%CI、0.85~0.99])。安全性アウトカムでは、重篤な感染症(HR、0.82[CI、0.61~1.11])、結核(HR、1.10[CI、0.36~3.34])、固体または血液がん(HR、0.66[CI、0.33~1.32])は2群間差なしとされた。 【Limitation】SNDSには、関連するすべての臨床データ(例えば、疾患活動性)が含まれていない。 【結論】このリアルワールドデータの解析は、インフリキシマブ未使用のCD患者に対するCT-P13の有効性がRPの有効性と同等であることを示すものであった。安全性については差が認められなかった。 第一人者の医師による解説 バイオシミラーの普及 医療費縮小に寄与 日本人での研究に期待 日比 紀文 北里大学北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター特任教授 MMJ.June 2019;15(3) 炎症性腸疾患(IBD)と総称される潰瘍性大腸炎およびクローン病(CD)は、以前日本では希少な難治性疾患であったが、現在の患者数は両疾患合わせて27万人超と一般的な疾患となった。根本治療はなく、治療の中心は炎症抑制に加え免疫異常の是正で、寛解導入療法に加え長期の寛解維持療法が求められる(1)。生物学的製剤抗 TNF-α抗体は、慢性炎症性疾患治療のパラダイムシフトを起こしたが、高分子のため低分子ジェネリック薬のような同等な抗体製剤の作製は困難とされていた。しかし技術進歩により、抗体製剤でもオリジナル製品とほとんど違いのないバイオシミラーが実現し、種々の分野で応用されている。IBDでの抗 TNF-α抗体バ イオシミラーは、関節リウマチの臨床試験(2)から外挿されたもので、IBDにおける同等性/同質性に関する本格的な臨床試験はなかった。 本論文は、フランスの全国的な健康行政データベース(SNDS)を用いて、CDにおける有効性と安全性について抗 TNF-α抗体バイオシミラー(CTP13;患者952人)と同オリジナル製品(インフリ キシマブ;1,147人)を比較したコホート研究の報告である。有効性の主要評価項目「死亡・CD関連 手術・入院・他の生物学的製剤の払い戻し」について多変量解析で差がなく、安全性についても「重症 感染症・結核・固形/血液悪性腫瘍」で差はなく、リアルワールドでの成績として両者の同等性を証明した貴重な報告である。 一方、本研究は詳細な臨床データに欠け、選択基準がまったく偏っていないわけではないことから、 ランダム化二重盲検試験が求められる。最近、国際的なランダム化二重盲検試験の結果が報告され(3)、 6週での寛解導入において差はなく、30週後にオリジナル製品継続またはバイオシミラーへのスイッチ、バイオシミラー継続またはオリジナル製品へスイッチの4群でも治療効果に差がなかった。安全性の差もなく、同等性が裏付けられた。 生物学的製剤は今後も使用が増加する傾向にあるが、価格が高価であることより医療経済的には問題視されている。同等性をもつバイオシミラーの普及は医療費の縮小に寄与することが考えられ、今後大いに期待される。IBDでもすでに北欧や英国を中心に欧州の多くの国でバイオシミラーが汎用されるようになってきている。 一方、日本ではIBDに対して医療費支援があり、 バイオシミラー使用による患者側および医療提供側への利点が少なく、現状では欧米に比べてどれだけ利用されうるか判然としていない。しかし、厚生労働省でもジェネリック薬と同様に今後バイオシミラー使用を勧めており、日本人でのオリジナル製品との同等性が証明されれば徐々に使用が増加するものと考えられる。 1. 日比紀文、他.日本臨床 2017;75(3):364-369 2. Yoo DH, et al. Ann Rheum Dis. 2013;72(10):1613-1620. 3. Ye BD, et al. Lancet. 2019;393(10182):1699-1707.