「ソラフェニブ(ネクサバール)」の記事一覧

FLT3-ITD変異陽性AMLの特徴と臨床アウトカム、同種HSCTの有効性を評価
FLT3-ITD変異陽性AMLの特徴と臨床アウトカム、同種HSCTの有効性を評価
公開日:2024年11月20日 Li H, et al. Clin Lab. 2024; 70.  FLT3遺伝子変異はAMLで最も多く認められる遺伝子変異であり傍膜貫通ドメインの一部に生じる縦列重複配列(ITD)変異を認めるFLT3-ITD変異陽性AMLは、予後不良因子である。中国のHong Li氏らは、FLT3-ITD変異陽性AMLの臨床的特徴、寛解率、再発率、臨床アウトカムを評価し、あわせて同種造血幹細胞移植(HSCT)およびソラフェニブの有効性の評価を行った。Clinical Laboratory誌2024年11月1日号の報告。  対象は、2018〜23年6月にレトロスペクティブに登録した、新たにFLT3-ITD変異陽性AMLと診断された患者55例。AML診断では、複数の融合遺伝子および遺伝子変異により特定した。生存曲線の算出には、カプランマイヤー法を用い、ログランク検定(Mantel-Cox)により評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・同種HSCTを行った患者は27例(49.1%)。 ・同種HSCTを行った患者は、行わなかった患者と比較し、フォローアップ期間の有意な延長が認められた(p<0.001)。 ・NPM1およびFLT3-ITDの両方に変異が認められた患者は18例(32.7%)。 ・ソラフェニブと化学療法併用による導入療法を行った患者は11例、化学療法単独を行った患者は44例。 ・移植を行った患者は、行わなかった患者と比較し、全生存(OS)率(p<0.001)、無再発生存(RFS)率(p=0.0017)が有意に良好であった。 ・ソラフェニブ+化学療法併用と化学療法単独との比較では、OS率とRFS率に有意な差は認められなかった(p>0.05)。 ・FLT3-ITD陽性AML患者は、NPM1変異の有無に関わらず、OS率、RFS率に有意な違いは認められなかった(p>0.05)。  著者らは「完全寛解後の同種HSCTは、FLT3-ITD陽性AML患者の臨床アウトカムを改善する可能性が示唆された」としたうえで「ソラフェニブ+化学療法併用と化学療法単独との間で、全奏効率と臨床アウトカムに違いが認められなかった」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Li H, et al. Clin Lab. 2024; 70.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39506591 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら