ライブラリー 日本人の初発進行期CHLに対する中間PETの有用性〜日本臨床腫瘍研究グループ
公開日:2024年7月26日
Kusumoto S, et al. Cancer Sci. 2024 Jul 22. [Epub ahead of print]
初発進行期古典的ホジキンリンパ腫(CHL)に対する中間PET誘導療法の有用性を評価したリンパ腫グループJCOG1305試験の解析結果を、愛知県がんセンターの楠本 茂氏らが報告した。Cancer Science誌オンライン版2024年7月22日号の報告。
対象は、16〜60歳の新たに診断された進行期CHL日本人患者。対象患者は、ドキソルビシン+ブレオマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン(ABVD療法)2サイクル後、中間PETスキャン(PET2)により5段階のDeauvilleスケールで中央判定を受けた。PET2陰性の患者は、ABVD療法をさらに4サイクル継続した。PET2陽性の患者は、増量ブレオマイシン+エトポシド+ドキソルビシン+シクロホスファミド+ビンクリスチン+プロカルバジン+プレドニゾン(増量BEACOPP療法)の6サイクルに切り替えを行った。主要エンドポイントは、すべての適格基準を満たした患者およびPET2陽性患者における2年無増悪生存割合(PFS)とした。
主な結果は以下のとおり。
・2016〜19年に初発進行期CHL患者93例が登録された。
・1例は、診断ミスのため不適格となった。
・適格基準を満たした患者(92例)の年齢中央値は35歳(四分位範囲:28〜48)であった。
・ステージIIIが40例(43%)、ステージIVが43例(47%)であった。
・残りの9例(10%)は、リスク因子を有するIIB期であった。
・PET2陽性患者19例(21%)は増量BEACOPP療法を受け、そのうち18例は増量BEACOPP療法6サイクルを完了した。
・PET2陰性患者73例(79%)はABVD療法を継続し、そのうち70例はABVD療法の追加4サイクルを完了した。
・フォローアップ期間中央値は41.1ヵ月。
・2年PFSは、対象患者(92例)で84.8%(80%信頼区間[CI]:79.2〜88.9)、PET2陽性患者(19例)で84.2%(80%CI:69.7〜92.1)であった。
・いずれの主要エンドポイントも、事前に指定したい閾値で達成された。
著者らは「中間PET誘導療法は、初発進行期CHLの若年患者において、有用な治療選択肢であることを示唆している」としている。
(エクスメディオ 鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Kusumoto S, et al. Cancer Sci. 2024 Jul 22. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39034771
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