「ニロチニブ(タシグナ)」の記事一覧

慢性期CMLに対するニロチニブ vs. ダサチニブ〜国内第III相CML212試験
慢性期CMLに対するニロチニブ vs. ダサチニブ〜国内第III相CML212試験
公開日:2024年7月8日 Matsumura I, et al. Blood Adv. 2024 Jul 5. [Epub ahead of print]  近年、慢性期の慢性骨髄性白血病(CML)の治療では、無治療寛解(Treatment-free remission:TFR)が目標になってきている。このTFRの必須条件として、分子遺伝学的に深い奏効(DMR)が求められる。近畿大学の松村 到氏らは、初発慢性期CMLに対するニロチニブとダサチニブを比較した、成人白血病治療共同研究機構(JALSG)による多施設プロスペクティブランダム化第III相CML212試験の結果を報告した。Blood Advances誌オンライン版2024年7月5日号の報告。  初発慢性期CML患者454例を対象に、ニロチニブ群(300mg、1日2回)227例、ダサチニブ群(100mg、1日1回)227例にランダムに割り付けた。主要エンドポイントは、18ヵ月までのニロチニブとダサチニブにおけるMR4.5(BCR::ABL1IS≦0.0032%)累積達成率とし、BCR::ABL1 mRNAレベルのモニタリングは、3ヵ月ごとに行った。European LekemiaNetによるCMLガイドライン2009年版基準に基づき失敗または不耐性を示した場合、治療中止とした。 主な結果は以下のとおり。 ・18ヵ月までのMR4.5累積達成率は、ニロチニブ群で32.6%(95%信頼区間[CI]:26.5〜39.1)、ダサチニブ群で30.8%(95%CI:24.9〜37.3)であり、統計学的に有意な差は認められなかった(p=0.66)。 ・12、18、24、36ヵ月までの早期分子遺伝学的奏効、細胞遺伝学的完全奏効(CCyR)、分子遺伝学的大奏効(MMR)、MR4.0累積達成率は、両群ともに同様であった。 ・36ヵ月時点の治療継続率は、ニロチニブ群66.5%、ダサチニブ群65.0%であった(p=0.76)。 ・log-rank検定では、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)に両群間で有意な差は認められなかった(PFS:p=0.58、OS:p=0.64)。  著者らは「初発慢性期CMLに対し、ニロチニブとダサチニブは、同等の継続性、有効性を有することが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Matsumura I, et al. Blood Adv. 2024 Jul 5. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38968156 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら