「日本泌尿器科学会」の記事一覧

第88回日本泌尿器科学会東部総会 高校生参加企画密着レポート
第88回日本泌尿器科学会東部総会 高校生参加企画密着レポート
掲載日:2023年10月20日 はじめに  さる2023年10月5~7日(於:札幌)の日程で開催された第88回日本泌尿器科学会東部総会において、 これまでには出会ったことがない、先進的な企画が実施されました。 その名も「アカデミックチャレンジ」。企画内容は地元の高校生に《医師とは?》《学会とは?》そして《泌尿器科医とは?》を学会参加を通して体感してもらうというもの。 企画担当の千葉博基先生(北海道大学)は「やってみないとわからないですが、まずはやってみることが大事」とアカデミックチャレンジを未知の企画としながらも、年明けから準備を重ねていらっしゃいました。 学会に高校生を招待するという前例のない企画でしたが、密着して見えたのは、熱い想いを持った医師たちが未来の日本医療界のため、次世代に期待を寄せる姿でした。 学会とは?  朝一番、集合した高校生たちの顔は緊張でかなり強張っているように見えました。 それもそのはず。周りは医師ばかりで、これまでに体感したことがない空気に包まれていたので無理もありません。傍から見ても制服姿の高校生が受付に集まっている様子はとても珍しい光景で、参加する高校生からも「楽しみですが、それよりも緊張が・・・」という言葉が漏れていました。 最初のプログラムはオリエンテーション。千葉先生から今回の企画主旨や学術集会、泌尿器科医とは何かという視点でお話がありました。 そもそも「学会とは?」という医療関係者にとっては「そんなこと考えたことなかったなぁ」と思わず口から漏れてしまうテーマから、研究することの意義などが高校生たちに伝えられました。 「この機械はいくらしますか?」  次に一行が向かったのは企業展示スペース。数々のメーカー企業が展示している医療機器、特に内視鏡機器を中心に見学し、最新技術に触れることでメーカーの役割や「医学の進歩=技術の進歩」であるということを身に染みて感じている高校生たちの背中が印象的でした。 とあるメーカー担当者に「この機械はいくらしますか?」と聞いた高校生が答えを聞いて、目を丸くしていた姿もあった一方で、硬性鏡を手に取った高校生が「これじゃ出血しちゃいませんか?」と先生に質問。先生も「鋭い!」と驚きの表情をされていたのは、この企画ならではの場面だったと思います。 好奇心を持ち続けることの大切さ  いよいよ、メインとなる演題聴講に向かった一行。 招請講演で腎移植に関するお話を聞いたとある高校が「全然わからなかったです」と率直に感想を述べていましたが、知的好奇心がくすぐられていたのか、わからないことが悔しいと感じているようにも見え、未知のものに触れる重要性を感じた一瞬でした。 その後は一般演題を聴講、質疑応答の時間では何が起きているんだとばかりに座長席と演者席を交互に目で追う姿がとても可愛らしく、高校生らしさが溢れていました。お昼の講演では、朝触れた内視鏡を使った処置の実映像を視聴。実際に触れたものがどうやって使われているのかわかり、すごく勉強になりましたと先生に感想を伝えている様子も見られました。 この日最後の聴講は恐竜学に関するものでした。「恐竜学」という医学とは関係のないところにあるようにも見えるテーマでしたが、高校生たちと同様に聴講している医師たちが大きく頷き、感心されている姿に、好奇心を持ち続けることの大切さを垣間見たプログラムとなりました。 次世代への期待  一日の終わりに、プログラムに参加した理由を高校生に聞いてみると「学校でチラシが配られたから」「主治医の先生に誘われたから」「医師という職業に興味があったから」と答えは様々でした。それぞれの背景がありながらも、参加した高校生全員が最後に口を揃えて述べていたのは、貴重な体験が出来たことへの感謝の言葉でした。解散後、高校生たちを見送った千葉先生は「参加した理由は色々あると思うけど、医師になるきっかけは本当に人それぞれ。この企画への参加がきっかけで、一人でも医師になってくれる人がいたら、次世代のための学会企画として、非常に大きな功績になります」と仰っていました。 「やってみないとわからない」という言葉とともに始動された企画でしたが、本総会のテーマ『次世代への期待』にも表れているように「期待=望みをかけて待ち受けること」であり、すぐに目に見える成果が得られるわけではありません。そう考えると「やってみないとわからない」ことを実践することが、これからの日本医療、医学界に大きな何かをもたらすことに繋がるのかもしれません。そんな期待を抱かせていただいたアカデミックチャレンジでした。  最後に、本取材をご快諾いただきました、大会長の篠原信雄先生、企画担当の千葉博基先生に改めて感謝申し上げます。誠にありがとうございました。 文責:ヒポクラ学会担当 カワウソくん ヒポクラ × マイナビ無料会員登録はこちら ▶https://www.marketing.hpcr.jp/hpcr 第88回日本泌尿器科学会東部総会HP ▶https://site2.convention.co.jp/88ejua 日本泌尿器科学会HP ▶https://www.urol.or.jp/