「PTSD」の記事一覧

自然災害後の経済的弱者における社会サービスの改善と心的外傷後ストレス障害の負担:モデル化研究.
自然災害後の経済的弱者における社会サービスの改善と心的外傷後ストレス障害の負担:モデル化研究.
Improved social services and the burden of post-traumatic stress disorder among economically vulnerable people after a natural disaster: a modelling study Lancet Planet Health 2019 ;3: e93 –101 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】ハリケーンなどの自然災害は、公衆衛生や経済的な影響をもたらし、その直後よりもずっと長く続く。資源の喪失は、大規模な心的外傷イベント後の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の中核的な推進力である。我々は、災害後の文脈における住宅および住宅関連財源の回復がPTSDからの回復に及ぼす効果を調べた。 【方法】我々は、有病率と持続性によって測定されるPTSD回復に対する異なる医療サービスアプローチの効果を検証するために、観察および実験データで経験化したエージェントベースモデルを構築した。心理的ファーストエイドに類似した社会サービスケースマネジメント(SSCM)アプローチを検証し、避難所ベースの社会サービス提供と、避難し所得を失った人々へのメンタルヘルス治療への連携を特徴とし、通常のケアのみ、SSCM付き通常のケア、ステップケアのみ、SSCM付きステップケアの治療効果を比較した。 【結果】大規模自然災害後に住居を失い、所得を失った人々に対して、住居を回復し、メンタルヘルスサービスへの連携を提供するSSCMアプローチは、1年目終了時に、SSCMを行わない状態に比べて1-56(95%CI 1-55-1-57)倍から5-73(5-04-6-91)倍の寛解PTSD症例をもたらし、2年目終了時には1-16(1-16-1-17)倍から2-28(2-25-2-32)倍の寛解症例をもたらすことが示された。 【解釈】自然災害の影響を受けた集団に経済的・住宅的資源を回復させることは、災害後の集団、特に資源喪失者の精神衛生負担を著しく減少させるであろう。 【資金】米国保健社会福祉省. 第一人者の医師による解説 災害後のPTSDの予防と回復 心理療法・精神療法だけでなく住居確保の支援が重要 岩井 圭司 兵庫教育大学大学院人間発達教育専攻教授 MMJ.April 2020;16(2) 人間は生きていくうえで常にさまざまな要求 (demanding)に対応しなければならない。資源維持(Conservation of Resources;COR)理論(1)によると、我々はふだん多様な資源を駆使してそれらに応じているが、そういった資源が減少ないし喪失すると要求に応えることができなくなり、ストレスが生じる。さしずめ自然災害の被災者における住居の喪失と収入の減少は、資源喪失の最たるものであろう。 本研究は、社会福祉的ケースマネジメント(social services care management;SSCM)が、米国のハリケーン災害被災者の精神健康に及ぼす効果を検討したものである。なお、ケースマネジメントとは、生活に困難さを抱える人々の支援にあたり、さまざまな資源を組み合わせ結びつけて提供することであり、ケアマネジメントやケースコーディネーションとほぼ同義である。ここでは、恒久的住居への帰住の援助と精神保健機関に直接接続することを目指して、SSCMが実施された。また、被災者の精神健康の指標としては、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発生率と持続期間が用いられた。 まず、ハリケーン・サンディ(2012年)によって住居をなくし減収を余儀なくされた被災者は、「通常ケア群」と「段階的ケア群」に分けられた。前者にはサイコロジカル・リカバリースキル(skills for psychological recovery;SPR)(2)が適用され、 後者はスクリーニングによってさらに非 PTSDと PTSDに分けられ、それぞれSPRと認知行動療法が施行された。 そこにSSCMを適用したところ、「通常ケア群」においても「段階的ケア群」においてもPTSDの発生率は低くなり、PTSDを発症したケースでも罹病期間が短くなることが明らかになった。SSCMを適用した場合のPTSD の寛解率は、しなかった場合に比べて1年後では1.56 ~ 5.73倍、2年後では1.16 ~ 2.28倍であった。 以上から、住居資源ないし経済的資源の回復は、自然災害の被災者、特に災害によって資源を喪失した者の精神健康上の負担を有意に軽減すると考えられた。 災害後の被災者に対する心のケアは、狭義の心 理療法・精神療法に限ることなく、住居確保などの経済的支援を織り込んでいくことが必要であり有効であると、本研究は実証したといえる。 1. Hobfoll SE. Am Psychol. 1989;44(3):513-524. 2. 兵庫県こころのケアセンター.http://www.j-hits.org/spr/
産後うつ病~BIBGRAPH SEARCH(2022年10月7日号)
産後うつ病~BIBGRAPH SEARCH(2022年10月7日号)
産後うつ病に関連する最近の論文を紹介します。「妊娠中に一緒に暮らすペットは犬と猫どちらが産後うつ病予防に効果的か」「2019年、FADより承認された産後うつ病治療薬の有効性は」やCOVID-19や震災による産後うつ病リスクへの影響など、興味深い論文です。この機会にぜひご覧ください。(エクスメディオ 鷹野 敦夫) 『BIBGRAPH SEARCH』では、エクスメディオが提供する文献検索サービス「Bibgraph」より、注目キーワードで検索された最新論文をまとめてご紹介しています。 妊娠中に一緒に暮らしているペットの種類が産後のメンタルヘルスに影響~富山大学 エコチル調査 Matsumura K, et al. Soc Sci Med. 2022; 309: 115216. ≫Bibgraphを読む FDAで初めて承認された産後うつ病治療薬brexanolone、その効果とは Epperson CN, et al. J Affect Disord. 2022 Sep 30. [Online ahead of print] ≫Bibgraphを読む 産後うつ病とCOVID-19パンデミックとの関連~メタ分析 Lin C, et al. J Affect Disord. 2022 Oct 1. [Online ahead of print] ≫Bibgraphを読む 東日本大震災のトラウマ体験と産後うつ病との関連~東北メディカル・メガバンク機構 Murakami K, et al. J Affect Disord. 2022 Sep 30. [Online ahead of print] ≫Bibgraphを読む 出産に関連するPTSDは乳児の転帰に影響するか~システマティックレビュー Van Sieleghem S, et al. Early Hum Dev. 2022 Sep 16. [Online ahead of print] ≫Bibgraphを読む 参考:国立大学法人富山大学 医学部内 エコチル調査富山ユニットセンター    東北大学東北メディカル・メガバンク機構 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら