ライブラリー 成人の大うつ病エピソードの急性治療における非外科的脳刺激の有効性と受容性の比較:システマティックレビューとネットワークメタアナリシス。
Comparative efficacy and acceptability of non-surgical brain stimulation for the acute treatment of major depressive episodes in adults: systematic review and network meta-analysis
BMJ 2019 Mar 27 ;364:l1079 .
上記論文のアブストラクト日本語訳
※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。
【目的】成人の大うつ病エピソードの急性治療における非外科的脳刺激の比較臨床効果と受容性を推定すること
【デザイン】ペアワイズメタアナリシスとネットワークメタアナリシスを含むシステマティックレビュー
【データ入手元】2018年5月8日までのEmbase、PubMed/Medline、PsycINFOの電子検索、いくつかのレビュー(2009年から2018年の間に発表された)の書誌検索と含まれる試験の手動検索で補足。ELIGIBILITY CRITERIA FOR SELECTING STUDIES]電気けいれん療法(ECT)、経頭蓋磁気刺激(反復型(rTMS)、加速型、プライミング型、深層型、同期型)、シータバースト刺激、磁気発作療法、経頭蓋直流刺激(tDCS)、または偽薬療法に無作為に割り付けられた臨床試験。
【主要アウトカム評価項目】主要アウトカムは、反応(有効性)と全原因による中止(何らかの理由での治療中止)(受容性)であり、95%信頼区間のオッズ比で示されています。
【結果】大うつ病性障害または双極性うつ病の患者6750人(平均年齢47.9歳、女性59%)を無作為化した113試験(262の治療群)が包含基準を満たしていた。最も研究された治療法の比較は、高頻度左rTMSとtDCS対偽薬療法であったが、最近の治療法はまだ十分に研究されていない。エビデンスの質は一般的にバイアスのリスクが低いか不明瞭であり(113試験中94試験、83%)、治療効果の要約推定の精度にはかなりのばらつきがあった。ネットワークメタアナリシスでは、18の治療戦略のうち10の治療戦略が偽薬治療と比較して高い奏効率と関連していた:ビテンポラールECT(要約オッズ比8.91、95%信頼区間2.57~30.91)、高用量右片側ECT(7.27、1.90~27.78)、プライミング経頭蓋磁気刺激(6.02、2.21~16.38)、磁気発作療法(6.02、2.21~16.38)。38)、磁気発作療法(5.55、1.06~28.99)、両側rTMS(4.92、2.93~8.25)、両側シータバースト刺激(4.44、1.47~13.41)、低周波右rTMS(3.65、2.13~6.78)、プライミング経頭蓋磁気刺激(6.02、2.21~16.38)、磁気発作療法(5.55、1.06~28.99)、両側rTMS(4.92、2.93~8.25)、両側シータバースト刺激(4.44、1.47~13.41)、低周波右rTMS(3.65、2.13~2.13)。65、2.13~6.24)、間欠的シータバースト刺激(3.20、1.45~7.08)、高周波数左rTMS(3.17、2.29~4.37)、tDCS(2.65、1.55~4.55)。別の能動的治療と対比された能動的介入のネットワークメタ解析的推定から、ビテンポラールECTと高用量右片側ECTが応答の増加と関連していることが示された。結論]これらの知見は、大うつ病エピソードを持つ成人の代替治療または追加治療として、非外科的な脳刺激法を検討するための証拠を提供する。また、これらの知見は、新しい治療法を比較するために、さらによく設計された無作為化比較試験や、磁気発作療法を調査する偽薬比較試験の必要性など、脳刺激の専門分野における重要な研究の優先順位を浮き彫りにした。
第一人者の医師による解説
連続・維持療法としての長期効果 今後の検討必要
鬼頭 伸輔 東京慈恵会医科大学精神医学講座准教授
MMJ.August 2019;15(4)
うつ病はありふれた疾患であり自殺や休職の誘因となるため、その社会的損失は大きい。また、うつ病は再燃・再発率が高く慢性化しやすい。うつ病の治療では、薬物療法と精神療法が中心となる。しかし、約3分の1の患者は薬物療法に反応しないことが知られる。電気けいれん療法(ECT)や反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)などの非外科的脳刺激は第3 の治療法に位置づけられる。日本でも、2019年6 月からrTMSが保険診療として新たに導入された。
本論文では成人の大うつ病エピソードへの非外 科的脳刺激の急性期の有効性と安全性を比較するため に、Embase、PubMed/Medline、PsycINFO を用いて、2018年5月までのランダム化試験を 抽出しネットワークメタアナリシスを行った。非 外科的脳刺激には、ECT、rTMS、accelerated TMS (aTMS)、priming TMS(pTMS)、深部経頭蓋磁気刺激(dTMS)、synchronized TMS(sTMS)、シー タバースト刺激(TBS)、磁気けいれん療法(MST)、 経頭蓋直流刺激(tDCS)が含まれた。さらに、ECT は電極の位置と電気量、rTMSとTBSはコイルの 位置 と 刺激頻度に基づき、各治療 プ ロト コール は区別された。主要評価項目である有効性は反応 (response)とし、忍容性はあらゆる原因による中 止とした。
113試験、6,750人の大うつ病エピソードの患者が対象となり、18種類の治療プロトコールの相対的な有効性および忍容性がネットワークメタア ナリシスにより推定された。ネットワークメタアナリシスでは、10種類の治療プロトコールの有効性(反応)が偽(sham)療法と比較し優れていた。 そのオッズ比と95%信頼区間はそれぞれ、両側側頭 ECT(8.91, 2.57 ~30.91)、高用量右片側 ECT(7.27, 1.90~27.78)、pTMS(6.02, 2.21 ~16.38)、MST(5.55, 1.06~28.99)、両側 rTMS(4.92, 2.93~8.25)、両側 TBS(4.44, 1.47~13.41)、低頻度右側 rTMS(3.65, 2.13 ~6.24)、間欠的 TBS(3.20, 1.45~7.08)、 高頻度左側 rTMS(3.17, 2.29~4.37)、tDCS (2.65, 1.55~4.55)であった。あらゆる原因による中止(忍容性)は、すべての治療プロトコール で偽療法と同程度であった。
本研究の限界として、治療プロトコールに応じて対象となる患者が異なること(例、ECTとrTMS)、 一部の脳刺激では対象となる試験が少ないことにも留意すべきである。また、連続・維持療法としての長期効果については、今後さらなる検討が必要である。