「産婦」の記事一覧

男性パートナーの総精子数および精子運動率が正常な不妊カップルに用いる卵細胞質内精子注入法と標準体外受精の比較:非盲検無作為化比較試験
男性パートナーの総精子数および精子運動率が正常な不妊カップルに用いる卵細胞質内精子注入法と標準体外受精の比較:非盲検無作為化比較試験
Intracytoplasmic sperm injection versus conventional in-vitro fertilisation in couples with infertility in whom the male partner has normal total sperm count and motility: an open-label, randomised controlled trial Lancet. 2021 Apr 24;397(10284):1554-1563. doi: 10.1016/S0140-6736(21)00535-3. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【背景】卵細胞質内精子注入法の使用は世界で大幅に増加している。しかし、このアプローチを標準体外受精(IVF)と比較した無作為化比較試験のデータが不足している。そこで、卵細胞質内精子注入法が標準IVFと比較して生産率が高いかを明らかにすることを目的とした。 【方法】この非盲検多施設共同無作為化試験は、ベトナム・ホーチミン市のIVFセンター2施設(IVFMD、My Duc HospitalおよびIVFAS、An Sinh Hospital)で実施された。男性パートナーの精子数および精子運動率(直進運動)が2010年のWHO基準から見て正常な18歳以上のカップルを適格とした。標準IVFまたは卵細胞質内精子注入法による治療歴が2回以下であり、卵巣刺激にアンタゴニスト法を用いており、胚移植数が2個以下であることとした。ブロックサイズが2、4または8のブロック置換法および電話による中央無作為化法を用いて、カップルを卵細胞質内精子注入法と標準IVFに(1対1の割合で)割り付けた。コンピュータ生成無作為化リストは、試験に関与していない独立の統計家が用意した。介入法および病院での支払いに差があるため、胚培養士およびカップルに試験群を伏せなかったが、胚移植を実施する臨床医には試験群の割り付けを伏せた。主要評価項目は、初回採卵周期で得た初回胚移植後の生産率とした。intention-to-treat集団で解析した。この試験はClinicalTrials.gov,にNCT03428919として登録されている。 【結果】2018年3月16日から2019年8月12日までの間に、1,064組を卵細胞質内精子注入法(532組)と標準IVF(532組)に割り付けた。卵細胞質内精子注入法に割り付けたカップル532組中284組(35%)および標準IVFに割り付けたカップル532組中166組(31%)が初回採卵周期で得た初回胚移植後に生児を出生した(絶対差3.4%、95%CI -2.4~9.2、リスク比[RR]1.11、95%CI 0.93~1.32;P=0.27)。卵細胞質内精子注入法群の29組(5%)と標準IVF群の34組(6%)で受精が失敗した(絶対差-0.9%、RR 0.85、95%CI 0.53~1.28;P=0.60)。 【解釈】男性パートナーの総精子数および運動率が正常な不妊カップルで、卵細胞質内精子注入法の生産率に標準IVFと比べて改善が見られなかった。この結果は、この集団に用いる生殖補助技術として卵細胞質内精子注入法のルーチンの使用を再考する必要性を示すものである。 第一人者の医師による解説 男性不妊因子のないカップルへの顕微授精は再考が必要 通常の体外受精で対応可 丸山 哲夫 慶應義塾大学医学部産婦人科学教室准教授 MMJ. October 2021;17(5):155 健常と思われる単一の精子を卵子に注入して受精卵を作成する顕微授精(ICSI)は、精液所見が不良のために通常の体外受精(cIVF)では妊娠が困難な不妊カップルを治療する目的で1990年代に開発された。本技術はこの約20年間世界中で広く用いられ、精液所見による男性不妊因子の割合はほぼ一定であるにもかかわらず、ICSI実施件数は増加の一途をたどっている(1)。この増加は、男性不妊因子のない不妊カップルに実施される割合が大幅に高まっていることに起因し、米国では1996年の15.4%から2012年には66.9%へと上昇した(2)。このような本来の目的以外でICSIが用いられる背景には、確実に受精させることで受精卵を効率的に増やし、生児が得られる確率を高めるという考えがある。しかし、その考えを裏付ける確かなエビデンスはこれまで得られていない。男性不妊因子のない不妊カップルを対象にICSIとcIVFを比較したランダム化試験(3)は報告されている。主要評価項目である着床率はcIVFの方が高かったが(30%対22%)、統計学的検出力が不十分であり、不妊カップルにとって最も重要な関心事である生児獲得率(生産率)のデータがないことから、これらの諸問題を解決する新たなランダム化試験が望まれていた。 今回のランダム化非盲検対照試験は、2018〜19年にベトナムのIVFセンター2施設で行われた。世界保健機関(WHO)2010基準で総精子数および精子運動率が正常、過去のcIVFまたはICSIの治療歴は2回以下などを組み入れ条件とし、卵巣刺激はアンタゴニスト法で移植胚数は2個以下と設定した。cIVFとICSIの介入方法と治療コストは両者で明らかに異なるので、胚培養士および対象カップルへの盲検化は不可のため非盲検となった。主要評価項目は、初回採卵周期で得られた最初の胚の移植での生産率とされた。6,440組の不妊カップルを絞り込んでいった結果、最終的にICSI群に532組、cIVF群に532組が割り当てられた。その結果、生産率は、ICSI群で35%、cIVF群で31%で、両群間に有意差は認められなかった。受精失敗率についても両群間で有意差はなかった(5%対6%)。 本研究の結果から、男性不妊因子のない不妊カップルにICSIを行っても生産率が向上することはなく、昨今の男性不妊因子を考慮しないICSIのルーチン的な使用については再考する必要性が示された。 1. Zagadailov P, et al. Obstet Gynecol. 2018;132(2):310-320. 2. Boulet SL, et al. JAMA. 2015;313(3):255-263. 3. Bhattacharya S, et al. Lancet. 2001;357(9274):2075-2079.
カリフォルニア州の病院の質改善介入、州の政策イニシアティブおよび初産正期産単胎頭位分娩の帝王切開率
カリフォルニア州の病院の質改善介入、州の政策イニシアティブおよび初産正期産単胎頭位分娩の帝王切開率
Hospital Quality Improvement Interventions, Statewide Policy Initiatives, and Rates of Cesarean Delivery for Nulliparous, Term, Singleton, Vertex Births in California JAMA. 2021 Apr 27;325(16):1631-1639. doi: 10.1001/jama.2021.3816. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【重要性】帝王切開率の安全な低下が国家の優先事項である。 【目的】帝王切開率低下を目的とした多角的介入策を実施するカリフォルニア州の初産正期産単胎頭位(NTSV)分娩の帝王切開率 【デザイン、設定および参加者】2014~2019年の米国およびカリフォルニア州産院施設238箇所のNTSV分娩757万4,889件の帝王切開率を検討した観察研究。2016~2019年にかけて、California Maternal Quality Care CollaborativeがSmart Care Californiaと協同して、帝王切開率を下げるため多数の対策を導入した。NTSV分娩の帝王切開率が23.9%を超える病院に対して、2016年7月から2019年6月までの18カ月間にわたる質改善プログラムへの参加を呼びかけ、3つのコホートに振り分けた。 【曝露】この共同研究では、集学的チームがメンター制度、知識の共有および迅速なデータのフィードバックなどで支援する多数の戦略を導入した。非営利団体、州政府機関、購買者および医療制度間の協力関係によって、透明性、報奨プログラムおよび報酬を通じて外部環境に対処した。 【主要評価項目】主要評価項目は、カリフォルニア州のNTSV分娩の帝王切開率に見られる変化とし、差の差分析でカリフォルニア州の帝王切開率を米国のその他の州と比較した。このほか、患者別、病院別の交絡因子で調節したmixed multivariable logistic regression modelを用いて、共同研究および外部の州全体の取り組みを評価した。共同研究参加病院のNTSV分娩の帝王切開率は、非参加病院の帝王切開率および参加病院の共同研究参加前の帝王切開率と比較した。 【結果】2014年から2019年までの間に、米国でNTSV分娩757万4,889件が発生し、そのうち91万4,283件がカリフォルニア州の病院238施設で発生したものであった。カリフォルニア州の全病院は、NTSV分娩の帝王切開率が23.9%を超える149施設を含め、帝王切開率低下を目標とする州の取り組みの影響下にあり、そのうち91施設(61%)が質改善共同研究に参加した。カリフォルニア州のNTSV分娩の帝王切開率は、2014年の26.0%(95%CI、25.8%~26.2%)から2019には22.8%(95%CI、22.6%~23.1%)に低下した(相対リスク、0.88;95%CI、0.87~0.89)。(カリフォルニア州を除く)米国のNTSV分娩の帝王切開率は、2014年、2019年ともに26.0%であった(相対リスク、1.00、95%CI、0.996~1.005)。差の差分析からは、カリフォルニア州のNTSV分娩の帝王切開率低下度は(カリフォルニア州を除く)米国より3.2%(95%CI、1.7~3.5%)高いことが明らかになった。病院間や共同研究参加前の期間と比較すると、modified stepped-wedg解析を用いて患者データや期間で補正後、共同研究活動への曝露にNTSV分娩の帝王切開率オッズ低下との関連が認められた(24.4% vs 24.6%;調整オッズ比、0.87[95%CI、0.85~0.89])。 【結論および意義】2014~2019年のカリフォルニア州のNTSV分娩を検討したこの観察研究では、病院全体で取り組む共同研究の導入および経腟分娩を支援する州のイニシアティブによって、時間の経過と共に帝王切開率が低下した。 第一人者の医師による解説 初産低リスクの帝王切開率データのない日本 同様の取り組みの是非は不明 板橋 家頭夫 愛正会記念茨城福祉医療センターセンター長・昭和大学名誉教授 MMJ. October 2021;17(5):154 帝王切開(CS)は、リスクの高い分娩において母子の救命に寄与してきた。一方で、安易なCSの導入が母子にリスクを負わせていることも事実である。CSは経腟分娩に比べ母体の死亡率や合併症発症率が高く、さらに回数に応じて以後の分娩で子宮破裂、胎盤異常、子宮外妊娠、死産、早産などのリスクを高める(1)。CSによって娩出された児は、ホルモン環境や細菌学的環境、物理的環境などが経腟分娩の児とは異なっており、これが新生児の生理機能を変化させる可能性が高いと考えられている(1)。短期的な影響として、免疫系の発達の変化によるアレルギー疾患(アトピー、気管支喘息、食物アレルギーなど)、肥満のリスク、腸内細菌叢の多様性の低下などが挙げられている(1)。加えてエピゲノムの変化による将来的な健康への影響も懸念されている(1)。したがって、いかに不必要なCSを回避するかが世界的な課題となっており、世界保健機関(WHO)はCS率の目標を10~15%としている。 本論文は、米国カリフォルニア州においてステークホルダー組織 California Maternal Quality Care Collaborative(CMQCC)主導による介入がCS率に与えた影響に関する観察研究の報告である。本研究では、2016~19年に、初産、正期産、単胎、頭位(nulliparous、term、singleton、vertex;NTSV)の4条件を満たす分娩(NTSV分娩)のCS率が23.9%以上の施設に対しコホート研究の参加を呼びかけ、メンターシップや学習の共有、迅速なデータフィードバックなど複数の戦略を州政府の政策のもとで実施し、NTSV分娩におけるCS率低下の有無を評価した。その結果、同州におけるNTSV分娩のCS率は、2014年の26.0%から19年には22.8%に低下した(相対リスク,0.88;95%信頼区間[CI], 0.87~0.89)。一方、カリフォルニア州を除いた米国におけるNTSV分娩のCS率は、2014年、19年ともに26.0%で、同州よりも絶対差で3.2%(95% CI, 1.7~3.5%)高かった。また、CMQCCの取り組みに参加した施設は、参加しなかった施設に比べCS率が有意に低下した。以上より、著者らは、カリフォルニア州の政策の下に実施されたこのような取り組みがNTSV分娩のCS率低下に寄与したと結論付けている。日本では2013年の特定健診や保険レセプトのデータからは、国内全体のCS率が18.5%と推測されており(2)、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均28%に比べ明らかに低い。しかしながら、NTSV分娩のCS率のデータはなく、カリフォルニア州のような取り組みの是非については明らかでない。 1. Sandall J, et al. Lancet. 2018 ;392(10155):1349-1357. 2. Maeda E, et al. J Obstet Gynaecol Res. 2018;44(2):208-216.
帝王切開術を受ける肥満女性に用いる局所陰圧閉鎖療法と標準的創傷被覆の比較:多施設共同並行群間無作為化対照試験
帝王切開術を受ける肥満女性に用いる局所陰圧閉鎖療法と標準的創傷被覆の比較:多施設共同並行群間無作為化対照試験
Closed incision negative pressure wound therapy versus standard dressings in obese women undergoing caesarean section: multicentre parallel group randomised controlled trial BMJ. 2021 May 5;373:n893. doi: 10.1136/bmj.n893. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【目的】帝王切開術を受ける肥満女性で、創部陰圧療法(NPWT)の手術部位感染(SSI)予防効果を標準的創傷被覆と比較すること。 【デザイン】多施設共同、実用的、無作為化、並行群間対照、優越性試験。 【設定】2015年10月から2019年11月、オーストラリアの三次病院4施設。 【参加者】妊娠前のBMIが30以上で、選択的または準緊急の帝王切開術を受けて出産した女性を適格とした。 【介入】同意を得た女性2035例を帝王切開術施行前に閉鎖切開創NPWT群(1,017例)と標準的ドレッシング群(1,018例)に無作為化により割り付けた。皮膚が閉鎖するまで割り付けを秘匿した。 【主要評価項目】主要評価項目はSSIの累積発生率とした。SSIの深度(表層、深部、臓器・体腔)、創部合併症(離開、血腫、漿液種、出血、皮下出血)発現率、入院期間、被覆関連の有害事象発現率を副次評価項目とした。参加女性と医師は盲検化しなかったが、評価者と統計家には治療の割り付けを盲検化した。事前に定めたintention to treat主解析は、データが欠落している症例(28例)にSSIが発生しなかったとする保守的な仮定に基づくこととした。事後感度分析に最良症例分析と完全症例分析を用いた。 【結果】主解析では、NPWT群の75例(7.4%)、標準的創傷被覆群の99例(9.7%)にSSIが発生した(リスク比0.76、95%CI 0.57~1.01;P=0.06)。欠落データの影響を探索する事後感度分析で、同方向の効果(NPWTによるSSIの予防効果)が統計的有意性をもって認められた。NPWT群996例中40例(4.0%)、標準的創傷被覆群983例中23例(2.3%)に皮膚水疱形成が見られた(リスク比1.72、1.04~2.85;P=0.03)。 【結論】帝王切開術後の肥満女性に用いる予防的閉鎖切開創NPWTで、標準的創傷被覆よりもSSIリスクが24%低下した(絶対リスク3%低下)。この差は統計的有意性には届かなかったが、この集団でのNPWTの有効性を過小評価していると思われる。保守的な主解析、多変量調整解析および事後感度分析の結果を検討する際は、閉鎖切開創NPWTの便益に関する科学的根拠が蓄積されつつあることや、世界で帝王切開術を受ける肥満女性の数を考慮に入れる必要がある。NPWTの使用は、皮膚水疱形成の増加や経済的配慮との兼ね合いも考え、患者との共有意思決定に基づき決定しなければならない。 第一人者の医師による解説 帝王切開後の予防的局所陰圧閉鎖療法 経済的効果と併せて有害事象も検討する必要あり 渡邉 学 東邦大学医学部医学科外科学講座 一般・消化器外科学分野教授 MMJ. October 2021;17(5):153 手術部位感染(surgical site infection;SSI)とは手術操作が直接及ぶ部位の感染症であり、一旦発症すると患者の予後に影響を及ぼすだけでなく、入院期間の延長や経済的負担の増加をもたらす。日本外科感染症学会による調査研究(1)では、腹部手術におけるSSI発症患者では術後平均在院日数が18日延長し、術後平均医療費は658,801円高額になることが報告され、SSI対策の医療経済的な重要性が示された。 一方、世界における帝王切開実施率は地域によって大きく異なり、北欧諸国と比較し、オーストラリア、カナダ、英国、米国などの西側諸国では実施率が高いと報告されている(15~17% 対 25~32%)(2)。また、オーストラリアでは女性の50%以上が妊娠に入ると肥満になると報告されている。 本論文は、オーストラリアの4つの病院で実施された多施設ランダム化対照試験の報告である。2015年10月~19年11月に、世界保健機関(WHO)の定義による体格指数(BMI)30.0以上の肥満患者で帝王切開にて出産した女性2,035人を対象とし、創閉鎖後の創処置としてランダムに割り付けた局所陰圧閉鎖療法(NPWT)群(n = 1,017)と対照群(n = 1,018)の間でSSI発生率の比較を行った。NPWT群は80 mmHgの連続的な負圧を適用し、対照群は通常使用している標準的創傷被覆(ドレッシング)材を使用し、両群とも5?7日間そのままとした。その結果、手術後30日までのSSI発生率は、全体で8.6%、NPWT群7.4%、対照群9.7%であった。対照群と比較し、NPWT群のSSI発生の相対リスクは24%低下し、統計学的に有意ではなかったが絶対リスクは3%低下することが示された。一方、ドレッシング関連の有害事象として、NPWT群では対照群と比較し皮膚水疱発生の相対リスクが72%上昇し、絶対リスクは有意に2%上昇していた。 本研究にて、帝王切開後の予防的 NPWTはSSI発生低減に効果的である可能性が示された。しかし、世界で約2,970万人の出生が帝王切開であることを考えると、この有害事象発生結果は臨床的に重要であり、予防的 NPWTの実施については経済的効果と併せて検討する必要がある。 日本でも帝王切開を含む腹部手術創に対する予防的 NPWTが保険収載されたが、集中治療室(ICU)管理が必要である切開創 SSI高リスク患者で、BMI30 以上の肥満患者や糖尿病などの全身疾患を有する患者などが対象であり、現状では適応症例は限定されている。 1. 草地信也ら . 日本外科感染症学会雑誌 . 2010;7: 185-190. 2. OECD (2019), Health at a Glance 2019: OECD Indicators, OECD Publishing, Paris, https://doi.org/10.1787/4dd50c09-en.
重度 SGA児の陣痛発来前の介入的分娩 学業成績を悪化させる恐れ
重度 SGA児の陣痛発来前の介入的分娩 学業成績を悪化させる恐れ
Association Between Iatrogenic Delivery for Suspected Fetal Growth Restriction and Childhood School Outcomes JAMA. 2021 Jul 13;326(2):145-153. doi: 10.1001/jama.2021.8608. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【重要】胎児発育制限(FGR)が疑われる乳児の適時分娩は、死産防止と未熟児の最小化のバランスが重要であり、特にFGRが疑われる乳児の多くは正常に成長しているため。 【目的】FGRの疑いによる異所性出産と小児期の学校でのアウトカムとの関連について検討する。 【デザイン、設定および参加者】オーストラリア・ビクトリア州の2003年1月1日から2013年12月31日までの妊娠32週以上の出生の周産期データと、準備校、学校3・5・7年生での発達・教育テストのスコアを関連付けた後向き全人口コホート研究である。フォローアップは2019年に終了した。 【曝露】FGRの疑い有無、FGRの疑いに対する異所性分娩(分娩前の早期誘発または帝王切開と定義)の有無、妊娠年齢に対する小児の有無(SGA)であった。 【主要評および測定法】副次的アウトカムは,学校入学時に5つの発達領域のうち2つ以上が下位10パーセンタイルであること,3,5,7年生において5つの教育領域のうち2つ以上が国の最低基準以下であることとした。 【結果】出生集団705 937人の乳児において,出生時の平均妊娠期間は39.1週(SD,1.5),平均出生体重は3426(SD,517)gであった。出生集団は、発達の結果が181 902人、教育の結果が425 717人の子どもにつながった。FGRが疑われない重症SGA児(出生時体重3%未満)と比較して、FGRが疑われて出産した重症SGA児は早く生まれていた(平均妊娠週数37.9週 vs 39.4週)。また,就学時の発達不良のリスクも有意に高かった(16.2% vs 12.7%,絶対差 3.5%[95% CI,0.5%-6.5]); 調整オッズ比[aOR],1.5%[0.5%]).36 [95% CI, 1.07-1.74] )および3,5,7年生での教育的アウトカム不良(例えば,7年生では:13.4% vs 10.5%; 絶対差は2.9% [95% CI, 0.4%-5.5%]; aOR, 1.33 [95% CI, 1.04-1.70] )であった.)FGR の疑いで分娩された正常な成長(出生時体重≧10 パーセンタイル)の乳児と FGR の疑いがない乳児の間には,発達の結果において有意差はなかった(8.6% 対 8.1%; 絶対差 0.5% [95% CI, -1.1% ~ 2.0%] ); aOR, 1.17 [95% CI, 0.95 ~ 1.70])。45])または第3学年、第5学年、第7学年の教育的アウトカムが、早生まれ(平均妊娠週数、38.0週 vs 39.1週)であるにもかかわらず、低下した。 【結論と関連性】オーストラリアのビクトリア州で実施したこの探索的研究では、FGRの疑いがある重症SGA児の異所性出産は、FGRの疑いがない重症SGA児と比較してより悪い学校アウトカムと関連していた。FGRが疑われる正常な発育の乳児の異所性分娩は、FGRが疑われない正常な発育の乳児と比較して、より悪い学校での転帰とは関連しなかった。 第一人者の医師による解説 日本でも新生児集中治療後の児の中長期的なデータベースの構築が必要 飛彈 麻里子 慶應義塾大学医学部小児科准教授 MMJ. April 2022;18(2):52 子宮内胎児発育遅延(fetal growth restriction;FGR)と児の出生体重が10パーセンタイル未満(small for gestational age;SGA)は 混同されやすいが、出生時体重で明確に定義されるSGAと異なり、FGRは定義や診断基準、適正な管理方法が確立していない(1)。日本産科婦人科学会の診療ガイドライン(産科編)2020では、FGRを超音波検査で算出される胎児推定体重およびその経時的変化、羊水過少の有無や胎児腹囲計測値などから、総合的かつ臨床的に診断する、としている(2)。 FGRの原因は、胎児因子、母体因子、胎児付属物因子と多様だが、原因に関わらず、出生児がSGAだった場合は、周産期死亡や成長後の精神発達遅滞、生活習慣病罹患との関連が示唆されている。胎児の状態を慎重に評価し、臍帯血流や胎児頭囲成長の異常出現時には医療的介入による分娩とし、胎外での児の治療を適切な時期に始めることが、児の予後改善に寄与するとされている。一方で、在胎期間はすべての病態において、児の予後に最も強い影響を与える因子であり、臨床の場では産科と小児科との総合的な判断で分娩の時期を決定することになる(2)。 本論文は、FGRを指摘されていたSGAでは計画的分娩(陣痛発来前の分娩誘導による経腟分娩や帝王切開分娩)が学業成績不良と関連する可能性を報告した。この結果は、欧州の大規模無作為化比較試験(3)など既存の報告とは反対の結果である。著者らも認めているように、本研究には複数の重要な限界があり、この結果をそのまま臨床に応用することはできない。しかし、1つの州という医療や教育の条件が統一されている環境下での、10年間にわたる母集団70万人以上を背景とする42万人以上の学業評価の結果という膨大なコホート研究であり、今後さらに洗練された報告が期待される。 一方で、本論文は日本の新生児医療の課題を改めて浮き彫りにする。国際的に高く評価され、多くの重症 SGAを救命している我が国の新生児医療だが、新生児集中治療室退院後のフォローアップデータは限られている。特に学業成果については標準化された評価指標がなく、国内の施設間比較ですら困難である。本論文の結論に疑問を持つ日本の小児科医は多いと思うが、反論するための国内のデータは乏しい。すでに関係者間では認識されている課題だが、子どもたちによりよい医療を提供するためにも、日本の中長期的なフォローアップデータベースの構築が必要である。 1. Fetal Growth Restriction: ACOG Practice Bulletin, Number 227. Obstet Gynecol. 2021;137(2):e16-e28. 2. 産婦人科診療ガイドライン産科編(2020).「CQ307-1: 胎児発育不全(FGR)のスクリーニングは?」「CQ307-2:胎児発育不全(FGR)の取り扱いは?」https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2020.pdf(2022 年 2 月閲覧) 3. Walker DM, et al. Am J Obstet Gynecol. 2011;204(1):34.e1-9.
メトホルミン内服が早産期の妊娠高血圧腎症に有効な可能性
メトホルミン内服が早産期の妊娠高血圧腎症に有効な可能性
Use of metformin to prolong gestation in preterm pre-eclampsia: randomised, double blind, placebo controlled trial BMJ. 2021 Sep 22;374:n2103. doi: 10.1136/bmj.n2103. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【デザイン】無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験 【設定】南アフリカ共和国、ケープタウンの紹介病院。 【参加者】妊娠26+0週から31+6週の妊娠早期の子癇の女性180人:90人がメトホルミン徐放型、90人がプラセボにランダムに割り付けられた。 【主要評価項目】主要アウトカムは妊娠期間の延長であった 【結果】180人中、1人が試験薬服用前に出産した。無作為化から出産までの期間の中央値は、メトホルミン群で17.7日(四分位範囲5.4-29.4日、n=89)、プラセボ群で10.1日(3.7-24.1、n=90)、中央値の違いは7.6日(幾何平均比1.39、95%信頼区間0.99-1.95、P=0.057)であった。試験薬を任意の用量で継続投与した群では、妊娠期間延長の中央値がメトホルミン群で17.5日(四分位範囲5.4~28.7、n=76)であるのに対し、プラセボ群では7.9日(3.0~22.2、n=74)と、9.6日(幾何平均値 1.67, 95%信頼区間 1.16~2.42 )差が生じました。また、全用量投与群における妊娠期間延長の中央値は、メトホルミン群16.3日(四分位範囲4.8-28.8、n=40)に対してプラセボ群4.8日(2.5-15.4、n=61)、その差11.5日(幾何平均値 1.85 信頼区間 1.14-2.88 )となりました。母体、胎児、新生児の複合アウトカムと可溶性fms様チロシンキナーゼ-1、胎盤成長因子、可溶性エンドグリンの循環血中濃度に差はなかった。メトホルミン群では、出生時体重は有意差なく増加し、新生児室での滞在期間は短縮した。メトホルミン群では下痢が多かったが、試験薬に関連する重篤な有害事象は認められなかった。 【結論】この試験は、さらなる試験が必要であるが、メトホルミン徐放製剤が早産性子癇前症の女性において妊娠期間を延長できることを示唆している。TRIAL REGISTRATION:Pan African Clinical Trial Registry PACTR201608001752102 https://pactr.samrc.ac.za/. 第一人者の医師による解説 血管内皮機能障害を引き起こす蛋白濃度に有意差なし 今後さらなる研究必要 後藤 美希 虎の門病院産婦人科 MMJ. April 2022;18(2):53 妊娠高血圧腎症(pre-eclampsia)とは、妊娠20週以降に初めて高血圧を発症し、かつ蛋白尿を伴う病態、または高血圧と妊娠高血圧症候群関連疾患(子癇やHELLP症候群など)の両方を伴う病態の総称である。日本では20人に1人の割合で発症する比較的よく遭遇する疾患であるが、根本的治療は妊娠の終結しかない(1)。実際の医療現場では母児の命を守るために妊娠の終結を選ぶことになるが、児の予後を考えると少しでも長く妊娠を継続したいというジレンマに遭遇する。特に妊娠32週未満では在胎日数を数日延長できるだけでも児の予後は変わってくる。 本論文は早産期の妊娠高血圧腎症に対してメトホルミンが妊娠期間の延長に寄与するか否かを調べる目的で南アフリカ共和国の病院で実施された、無作為化二重盲検プラセボ対照試験の報告である。妊娠26週から妊娠31週6日に妊娠高血圧腎症と診断された180人を、メトホルミン群とプラセボ群に1:1に割り付けて比較した。メトホルミン群では徐放性メトホルミン 3g/日を1日3回にわけて分娩まで服用を継続した。 メトホルミン 3g/日の服用を継続した群における服用開始から分娩(妊娠の終結)までの期間中央値は16.3日で、プラセボ群の4.8日に比べ延長していた(幾何平均比1.85;95%信頼区間[CI],1.14 ~ 2.88)。服用量を問わずメトホルミンを継続した群の場合、上記期間の中央値は17.5日で、プラセボ群の7.9日に比べ延長していた(幾何平均比1.67;95% CI, 1.16 ~ 2.42)。一方で、妊娠高血圧腎症の病因(2)と考えられている可溶性 fms様チロシンキナーゼ 1、胎盤成長因子(placental growth factor)、可溶性エンドグリンの値は両群間で有意差を認めなかった。児の出生時体重に関して両群間に有意差はなかったが、新生児集中治療室(NICU)入院期間はメトホルミン群で有意に短かった。有害事象はメトホルミン群で下痢が高頻度に発現したが(33% 対6%[プラセボ群])、治験薬に関連する重篤な有害事象は両群ともにみられなかった。著者らの結論としては、メトホルミンは早産期の妊娠高血圧腎症において、妊娠期間の延長に寄与する可能性があるとしている。 今回の報告は現時点では妊娠の終結しか主な治療法がない妊娠高血圧腎症に対して、治療の可能性があることを示唆している。一方で妊娠高血圧腎症に関連する、血管内皮機能障害を引き起こす蛋白の濃度は両群で有意差を認めておらず、今後さらなる研究が必要と思われる。 * HELLP=hemolysis, elevated liver enzymes, and low platelet count 1. 日本産科婦人科学会ウエブサイト:産科・婦人科の病気 / 妊娠高血圧症候群  (https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=6) 2. Levine RJ, et al. N Engl J Med. 2004;350(7):672-683.
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.2(2022年6月2日号)
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.2(2022年6月2日号)
6〜11歳の子供におけるmRNA-1273Covid-19ワクチンの評価 mRNA-1273(モデルナワクチン)の小児に対する安全性、免疫原性、有効性は不明である。第2-3相試験を通して、小児(6~11歳)に対する安全性、第3相試験の若年成人(18~25歳)の免疫反応に対する非劣性、及びCOVID-19の感染頻度を確認した。The New England Journal of Medicine誌2022年5月26日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む COPDの急性増悪に対する硫酸マグネシウムの投与 硫酸マグネシウムは気管支拡張作用があり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪時の補助的な治療法として期待されている。11件のRCTを対象とし、硫酸マグネシウムの静脈内投与は、プラセボと比較して、入院数の減少、入院期間の短縮、および呼吸困難スコアの改善等に影響があるかを検討した。The Cochrane Database of Systematic Reviews誌2022年5月26日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む ヒト猿痘の臨床的特徴と管理:英国における後ろ向き観察研究 2018年から2021年の間に英国で診断されたサル痘の7人の患者における臨床的特徴、長期的なウイルス学的所見、および適応外抗ウイルス薬への反応を確認した。The Lancet. Infectious diseases誌2022年5月24日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 妊娠糖尿病と妊娠の有害事象:系統的レビューとメタアナリシス 妊娠糖尿病と、妊娠の有害転帰との関連を調べるため、1990年1月1日から2021年11月1日までの論文について、系統的レビューとメタ分析を行った。BMJ誌2022年5月25日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 2型糖尿病の第一選択薬として使用されたSGLT2阻害薬とメトホルミンの心血管系イベント比較:コホート研究 メトホルミンまたはSGLT2阻害薬の第一選択薬の使用に関連する心血管イベントリスクに関するエビデンスは限られている。米国の大規模な商業データベースとメディケアデータベースの請求データ(2013年4月から2020年3月)を用いて、コホート研究を行った。Annals of Internal Medicine誌2022年5月24日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.1(2022年5月26日号) SARS-CoV-2オミクロンBA.2株の特性評価と抗ウイルス感受性 ≫その他4本
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.3(2022年6月9日号)
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.3(2022年6月9日号)
運動は脳内RNAメチル化を改善し、ストレス誘発性不安を予防する 身体運動はシナプス伝達の改善により精神障害の緩和に有効であるが、身体持久力トレーニングと神経順応の関連はまだ完全に解明されていない。本研究では、新たなエピジェネティック機構であるRNAのN6メチルアデノシン(m6A)修飾が、慢性拘束ストレスに対する回復力の向上に果たす役割について検討した。Advanced Science誌オンライン版6月1日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 妊娠中のCOVID-19ワクチン接種と乳児におけるSARS-CoV-2感染の発生率との関連性 妊娠中のCOVID-19ワクチン接種が、デルタ株・オミクロン株流行下(2021年9月1日~2022年4月1日)の生後4ヵ月までの乳児のCOVID-19リスク低減と関連しているかどうか、2021年9月~2022年2月にノルウェーで生まれたすべての出生児を対象にコホート研究が行われた。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2022年6月1日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 砂糖入り、人工甘味料入り、無糖のコーヒー摂取と全死亡率・癌関連死亡率・CVF関連死亡率の比較:大規模前向きコホート研究 これまでの観察研究では、コーヒー摂取と死亡リスク低下との関連が示唆されているが、これらの研究では、砂糖や人工甘味料を含むコーヒー摂取と含まないコーヒー摂取を区別していない。添加物の有無による影響を検討するため、17万1,616人を対象とした前向きコホート研究が行われた。Annals of Internal Medicine誌2022年5月31日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 性的接触を介したサル痘感染4例の疫学的、臨床的、ウイルス学的特徴 2022年5月以降、非流行国においてもサル痘の認められている。2022年5月17日~22日の間にイタリアで観察された、コンドームなしの性交を報告した若年成人男性のサル痘陽性者4例について、疫学的、臨床的、ウイルス学的特徴の報告が行われた。Eurosurveillance誌2022年6月号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 糖尿病予備軍・2型糖尿病患者におけるケトジェニックダイエットと地中海食のHbA1cに対する効果:無作為化クロスオーバー試験 ケトジェニックダイエットと地中海食は、3つの共通点(非でんぷん性野菜を接種し、添加糖・精製穀物を避ける)と3つの違い(豆類、果物、全粒粉の摂取有無)を有する低炭水化物食である。糖尿病予備軍・2型糖尿病患者の血糖コントロールおよび心臓代謝リスク因子への影響を比較した。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2022年5月31日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.2(2022年6月2日号) 6〜11歳の子供におけるmRNA-1273Covid-19ワクチンの評価 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.1(2022年5月26日号) SARS-CoV-2オミクロンBA.2株の特性評価と抗ウイルス感受性 ≫その他4本
妊娠中のβ-ブロッカー使用と先天性奇形のリスク。国際コホート研究
妊娠中のβ-ブロッカー使用と先天性奇形のリスク。国際コホート研究
β-Blocker Use in Pregnancy and the Risk for Congenital Malformations: An International Cohort Study Ann Intern Med 2018 Nov 20 ;169 (10 ):665 -673 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】β-ブロッカーは、妊娠中によく使用される降圧薬の一種である。 【目的】β-ブロッカーへの第1期曝露に関連する主要な先天奇形のリスクを推定する。 【デザイン】コホート研究 【設定】北欧5か国の健康登録および米国のメディケイドデータベース 【患者】高血圧の診断を受けた妊婦およびその子孫。 【測定】ベータブロッカーの第1期への曝露が評価された。アウトカムは、主要な先天性奇形、心奇形、唇裂または口蓋裂、中枢神経系(CNS)奇形とした。 【結果】北欧コホートでは高血圧性妊娠の女性3577人,米国コホートでは14900人のうち,それぞれ682人(19.1%),1668人(11.2%)が第1期にβブロッカーに曝露されていた。β遮断薬に関連するプールされた調整相対リスク(RR)および1000人曝露あたりのリスク差(RD1000)は、1.07(95%CI、0.89から1.30)および3.0(CI、-6.6から12.6)であった。6)、心奇形では1.12(CI, 0.83~1.51) と2.1(CI, -4.3~8.4) 、唇裂または口蓋裂では1.97(CI, 0.74~5.25) と1.0(CI, -0.9~3.0) であった。中枢神経系奇形については,調整済みRRは1.37(CI,0.58~3.25),RD1000は1.0(CI,-2.0~4.0)であった(米国のコホートデータのみによる) 【Limitation】解析対象が生児に限られており,曝露が調剤に基づいており,唇または口蓋裂と中枢神経系奇形はアウトカム数が少ないことが示された。 【結論】母親の妊娠第1期におけるβ遮断薬の使用は、測定された交絡因子とは無関係に、奇形全体や心奇形のリスクの大きな上昇と関連しないことが示唆された。 【Primary funding source】Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human DevelopmentおよびSöderström König Foundation。 第一人者の医師による解説 大規模データによる国際コホート研究ならではの重要な知見 犬塚 亮 東京大学医学部附属病院小児科講師(外来医長) MMJ.April 2019;15(2) 高血圧合併妊娠の頻度は全妊婦の0.5~5%とされるが(1)、加重型妊娠高血圧腎症・常位胎盤早期 剥離・早産・胎児発育不全の増加などのさまざまな周産期リスクと関連することが知られているため、 適切な降圧薬治療により高血圧の重症化を防止することが重要である。β遮断薬は、Ca拮抗薬やメチルドパと並び妊娠中に使用される頻度が高い降圧薬であるが、妊婦への投与に関する安全性のデータはまだ十分でない。 妊娠中のβ遮断薬投与の影響に関して、現在得られているヒトのデータの多くは観察研究によるもので、β遮断薬への曝露の有無でリスクを比較すると、高血圧などの背景疾患の有病率が異なるため、 β遮断薬の投与による影響と背景疾患の違いによる影響を区別することができない。特に著者らの先行研究において、高血圧の合併自体が先天奇形のリスク上昇に関係することが示されており、β遮断薬への曝露の影響を知るためには、「高血圧」と いう交絡因子を除く必要がある。 本研究は、高血圧合併妊婦 を対象にした 北欧・ 米国6カ国の国際コホート研究である。北欧では 3,577人中682人(19.1%)、米国では14,900 人中1,668人(11.2%)で妊娠第1期にβ遮断薬 が使用されていた。β遮断薬投与群と降圧薬無投与 群で傾向スコアを用いてマッチングして比較したところ、先天奇形全般、先天性心疾患、口唇口蓋裂、 中枢神経異常のいずれの発生率においても、有意差を認めなかった。 本研究では、大規模データを用いることで、高血圧合併妊娠のみを解析対象とすることができ、重 要な交絡因子である「高血圧」の有無に関して、2群 の背景をそろえることができている。また、傾向スコアを用いることで、β遮断薬を実際に使用された群と、使用されてもおかしくなかった(が実際に は投与されなかった)群を比較することで、その他の背景因子についても補正している。医療習慣の 異なる北欧と米国で同様の結果が得られたことも 研究結果の正しさを支持している。一方で、研究の限界として、収集されていない背景因子については補正ができていないこと、妊娠中のβ遮断薬の使用に関して臨床的により問題になる胎児発育不全に関する解析が行われていないこと、などが挙げられる。しかし、本研究の結果は倫理的にランダム化比較試験を行うことが困難である妊娠という状況において、β遮断薬の安全性を支持する非常に重要な知見である。 1. 妊娠高血圧症候群の診療指針 2015̶Best Practice Guide̶日本妊娠高血圧学会
アメリカ人のための身体活動ガイドライン。
アメリカ人のための身体活動ガイドライン。
The Physical Activity Guidelines for Americans JAMA 2018 Nov 20 ;320 (19 ):2020 -2028 . 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【重要】米国の成人および青年の約80%は、十分な活動をしていない。身体活動は正常な成長と発達を促進し、人々の気分、機能、睡眠を良くし、多くの慢性疾患のリスクを減らすことができる。 【目的】アメリカ人のための身体活動ガイドライン第2版(PAG)の主要ガイドラインを要約する。 プロセスと証拠の統合】2018年身体活動ガイドライン諮問委員会は、身体活動と健康を支える科学について系統的レビューを実施した。委員会は38の質問と104のサブ質問に取り組み、研究の一貫性と質に基づいてエビデンスを評定した。強いまたは中程度と評価されたエビデンスが、主要なガイドラインの基礎となった。保健福祉省(HHS)は、2018年の身体活動ガイドライン諮問委員会科学報告書に基づき、PAGを作成しました。 【推奨事項】PAGは、複数の人口集団のさまざまな健康上の成果を改善するための身体活動の種類と量に関する情報とガイダンスを提供します。就学前の子ども(3歳から5歳)は、成長と発達を高めるために、一日を通して身体活動を行うべきである。6歳から17歳の子供と青年は、毎日60分以上の中等度から強度の身体活動を行う必要があります。成人は、少なくとも週に150分から300分の中強度の有酸素運動、または週に75分から150分の強度の有酸素運動、あるいは中強度と強度の有酸素運動の同等の組み合わせを行う必要があります。また、週に2日以上、筋肉を強化する活動を行う必要があります。高齢者は、有酸素運動や筋力強化の活動だけでなく、バランストレーニングを含む多成分の身体活動を行う必要があります。妊娠中および出産後の女性は、週に少なくとも150分、中強度の有酸素運動を行うべきです。慢性疾患や障害を持つ成人は、可能であれば、成人の主要なガイドラインに従い、有酸素運動と筋力強化の両方の活動を行う必要があります。勧告では、より多く動き、より少なく座ることが、ほぼすべての人に利益をもたらすことを強調しています。身体活動が最も少ない人は、中等度から高度の身体活動を適度に増やすことで最も恩恵を受ける。さらに、身体活動を増やすと、さらなる効果が得られます。 【結論と関連性】『アメリカ人のための身体活動ガイドライン第2版』は、実質的な健康上の利益をもたらす身体活動の種類と量に関する情報とガイダンスを提供している。医療専門家や政策立案者は、ガイドラインの認知を促進し、身体活動の健康上の利点を宣伝し、身体活動の増加を促進し、米国人口の健康を向上させるためのプログラム、実践、政策を実施する努力を支援する必要がある。 第一人者の医師による解説 日本人に対しても推奨される内容 岩田 慎平/野村 政壽(主任教授) 久留米大学医学部内科学講座内分泌代謝内科部門 MMJ.April 2019;15(2) 身体活動は正常な成長と発達を促進し、精神・身体機能、睡眠を改善し、多くの慢性疾患を予防する(1)。 その効果は男女問わず、小児から高齢者まで認められ、さらに周産期の女性や慢性疾患患者にも認められる。多くの米国人が十分な身体活動をしていない現状を踏まえ、今回、米国人に対してエビデンスに基づく推奨度の高い身体活動のガイドライ ン(第2版)がまとめられた。本ガイドラインでは、 以下に示す各人口集団に対して、種々の健康アウト カムを改善するための身体活動の種類と量に関する情報と指針を提示している。 ・未就学児(3~5歳)では、成長発達を促進するため1日を通して身体的に活発であるべきであり、 保護者が支援していくことが必要である。 ・ 6~17歳の就学児・青少年では、運動能力の向上や運動習慣の形成、そして生涯にわたる健康の基盤づくりとして身体活動が重要である。未就学児と同様に保護者の支援が必要であり、骨強 化や筋力増強のために週3日以上の運動が推奨 される。就学児・青少年では慢性疾患の基盤となる肥満やインスリン抵抗性、脂質や血圧の異常が進行する可能性があり、運動習慣はそれらの 危険因子を減らし、将来の慢性疾患の発症抑制につながる。 ・ 成人 では、中等度 の身体活動であれば150~ 300分 /週、高強度であれば75~150分 /週 の有酸素運動が推奨され、さらに週2日以上の筋力トレーニングを加えるべきである。 ・ 高齢者では身体機能の維持を目的に、有酸素運動や筋力トレーニングに加えて転倒予防のための バランストレーニングを含む複数の身体活動を行う。また、身体活動の種類は個々の状態に合わせて設定する必要がある。 ・ 妊娠中および産後の女性は、周産期合併症の予防を目的に少なくとも150分 /週の中等度の有酸素運動を行うべきである。 ・ 慢性疾患や障害のある患者も可能な限り成人の ガイドラインに沿って身体活動を行うことが望ましく、有酸素運動と筋力トレーニングの両方を行うことが推奨される。ただし、個々の病状や身体能力を踏まえ、専門家の指導の下に運動の質や量を設定する。 ガイドラインでは、移動を多くし座位を少なくすることがすべての人に有益であること、身体活 動が少ない人ほど身体活動によるベネフィットが 多く得られることも強調している。このことは我々日本人に対しても推奨されるものと言える。また、 医療専門家や行政に対してこのガイドラインを活用して身体活動による健康改善の取り組みを支援することを訴えている。 1. Lee IM, et al. Lancet. 2012;380(9838):219-229.