「COPD」の記事一覧

ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.2(2022年6月2日号)
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.2(2022年6月2日号)
6〜11歳の子供におけるmRNA-1273Covid-19ワクチンの評価 mRNA-1273(モデルナワクチン)の小児に対する安全性、免疫原性、有効性は不明である。第2-3相試験を通して、小児(6~11歳)に対する安全性、第3相試験の若年成人(18~25歳)の免疫反応に対する非劣性、及びCOVID-19の感染頻度を確認した。The New England Journal of Medicine誌2022年5月26日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む COPDの急性増悪に対する硫酸マグネシウムの投与 硫酸マグネシウムは気管支拡張作用があり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪時の補助的な治療法として期待されている。11件のRCTを対象とし、硫酸マグネシウムの静脈内投与は、プラセボと比較して、入院数の減少、入院期間の短縮、および呼吸困難スコアの改善等に影響があるかを検討した。The Cochrane Database of Systematic Reviews誌2022年5月26日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む ヒト猿痘の臨床的特徴と管理:英国における後ろ向き観察研究 2018年から2021年の間に英国で診断されたサル痘の7人の患者における臨床的特徴、長期的なウイルス学的所見、および適応外抗ウイルス薬への反応を確認した。The Lancet. Infectious diseases誌2022年5月24日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 妊娠糖尿病と妊娠の有害事象:系統的レビューとメタアナリシス 妊娠糖尿病と、妊娠の有害転帰との関連を調べるため、1990年1月1日から2021年11月1日までの論文について、系統的レビューとメタ分析を行った。BMJ誌2022年5月25日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 2型糖尿病の第一選択薬として使用されたSGLT2阻害薬とメトホルミンの心血管系イベント比較:コホート研究 メトホルミンまたはSGLT2阻害薬の第一選択薬の使用に関連する心血管イベントリスクに関するエビデンスは限られている。米国の大規模な商業データベースとメディケアデータベースの請求データ(2013年4月から2020年3月)を用いて、コホート研究を行った。Annals of Internal Medicine誌2022年5月24日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.1(2022年5月26日号) SARS-CoV-2オミクロンBA.2株の特性評価と抗ウイルス感受性 ≫その他4本
移行期のケアと長期的な自己管理支援を組み合わせた病院主導のプログラムが慢性閉塞性肺疾患入院患者の転帰に及ぼす効果。無作為化臨床試験。
移行期のケアと長期的な自己管理支援を組み合わせた病院主導のプログラムが慢性閉塞性肺疾患入院患者の転帰に及ぼす効果。無作為化臨床試験。
Effect of a Hospital-Initiated Program Combining Transitional Care and Long-term Self-management Support on Outcomes of Patients Hospitalized With Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Randomized Clinical Trial JAMA 2019 ;322 (14):1371 -1380. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【重要性】慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪で入院した患者は、再入院率が高く、QOLが低下する。 【目的】COPDで入院した患者とその家族介護者に対する移行支援と長期自己管理支援を組み合わせた病院主導のプログラムが、転帰を改善できるかを評価する。 【デザイン、設定および参加者】240名の参加者でメリーランド州ボルチモアにて単一サイトの無作為化臨床試験を実施した。参加者はCOPDにより入院した患者であり,介入または通常ケアに無作為に割り付け,退院後6か月間フォローアップを行った。登録は2015年3月から2016年5月,追跡調査は2016年12月に終了した。 【介入】介入(n=120)は,患者とその家族介護者がCOPDの長期自己管理を行うための包括的な3ヶ月間のプログラムであった。標準化されたツールを用いてCOPD患者を支援するための特別な訓練を受けた看護師が実施した。通常ケア(n = 120)では、退院後の30日間、退院計画の遵守と外来診療への接続を確実にするための移行支援が行われた。 【主要アウトカムおよび測定法】主要アウトカムは、6ヵ月時点での参加者1人あたりのCOPD関連急性期医療イベント(入院および救急部訪問)の数であった。共同主要アウトカムは、退院後6か月におけるSt George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)で測定した参加者の健康関連QOLの変化とした(スコア、0[最高]~100[最悪]、4ポイントの差は臨床的に有意)。 【結果】無作為化された240例(平均[SD]年齢、64.9[9.8]歳;女性61.7%)において203例(85%)が試験を完了した。ベースラインの平均(SD)SGRQスコアは,介入群で62.3(18.8),通常ケア群で63.6(17.4)であった。6ヵ月時の参加者1人当たりのCOPD関連急性期イベントの平均件数は、介入群1.40(95%CI、1.01~1.79)に対して通常ケア群0.72(95%CI、0.45~0.97)だった(差、0.68[95%CI、0.22~1.15];P = 0.004)。6ヵ月時の参加者のSGRQ総スコアの平均変化は、介入群で2.81、通常ケア群で-2.69であった(調整済み差、5.18 [95% CI, -2.15 to 12.51]; P = 0.11)。研究期間中の死亡は15例(介入:8例、通常ケア:7例)、入院は339例(介入:202例、通常ケア:137例)であった。 【結論と関連性】COPDにより入院した患者の単一サイトの無作為臨床試験において、移行と長期自己管理支援を組み合わせた3ヶ月間のプログラムは、COPD関連の入院と救急部訪問が著しく多く、生活の質の改善はみられなかった。この予期せぬ知見の理由を明らかにするため、さらなる研究が必要である。 【臨床試験登録】ClinicalTrials. gov Identifier:NCT02036294。 第一人者の医師による解説 介入群に疾患活動性高の患者多く単施設での試験が影響か 真に効果的な支援について検証必要 小松 茂 神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科部長 MMJ.February 2020;16(1) 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は現在世界の死因第 4位で、2020年には3位になると予測されている疾患である(1)。COPD患者の生命予後を悪化させる原因として増悪(症状悪化により安定期治療の変更 が必要となる状態)と呼ばれる病態があり、増悪は患者の生活の質(QOL)や呼吸機能も低下させる2。 重度の増悪になると入院が必要となるが、増悪に よる入院患者は再入院率が高く、入院を繰り返すたびに次の増悪入院への期間が短くなりやすい(2)。 そのため退院後に再増悪させないことが予後改善にはきわめて重要となる。    今回の米国で実施された単施設ランダム化試験 では、COPD退院患者 240 人 をCOPD専門看護 師による3カ月間の統合プログラムが提供される介入群と一般看護師による30日間の移行支援を行う通常ケア群に割り付け、6カ月後のCOPD関連の急性期ケア(入院、救急外来受診)を要したイベント数およびQOLの変化が比較された。結果、 6カ月後の急性期ケアイベント数は介入群1.40、 通常ケア群0.72と介入群で有意に悪く、QOL指標として用いられたSt. George’s Respiratory Questionnaireの 総 ス コ ア の 平均変化 も 介入群 2.81、通常ケア群-2.69と有意差はないが介入 群の方が悪かった。   GLOBAL INITIATIVE FOR CHRONIC OBSTRUCTIVE LUNG DISEASE(GOLD) が 発行した2020 GOLD REPORTでは、系統的レビューなどの結果から、医療専門家との対話を伴う セルフマネジメント介入は健康状態を改善し、入院や救急受診を減少させる(エビデンスレベル B) としている(1)。日本のCOPDガイドラインでも増悪による入院時には、多職種チームによる在宅疾病管理プログラムの導入は再入院を減らし増悪による死亡を減らす可能性があると記載されている(2)。 今回の結果がこれらと正反対になったのは、試験が単施設で行われ、介入群に在宅酸素療法を受けている患者、現喫煙者、心不全合併者など疾患活動性が高い患者が多かったこと、介入群は医療者との連絡が密であり、さらにアクションプランにより早期に増悪の兆候をとらえることができ救急受診(およびその後の入院)が増えたことなどが考えられる。 本論文と同様に、COPDの包括的なケア管理プログ ラムはCOPD関連入院の減少につながらなかったという報告もある(3)。COPD患者にとってどのような介入が真に効果的なのか、今後さらなる検証が望まれる。 1.GOLD 2020 Report. URL:https://bit.ly/302IzTX 2. 日本呼吸器学会 COPD ガイドライン第 5 版作成委員会 . COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン 2018(第 5 版). 3. Fan VS et al. Ann Intern Med. 2012;156(10):673-683.
高齢者のdysanapsisと慢性閉塞性呼吸器疾患の関連
高齢者のdysanapsisと慢性閉塞性呼吸器疾患の関連
Association of Dysanapsis With Chronic Obstructive Pulmonary Disease Among Older Adults JAMA . 2020 Jun 9;323(22):2268-2280. doi: 10.1001/jama.2020.6918. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【重要性】喫煙が慢性閉塞性呼吸器疾患(COPD)の大きな危険因子であるが、COPDのリスクの多くはいまだに説明できていない。 【目的】CT画像で評価したdysanapsis(気道内径と肺の大きさが不釣り合いな状態)が、高齢者のCOPD発症およびCOPDの肺機能低下と関連があるかを明らかにすること。 【デザイン、設定および参加者】2531例を検討したMulti-Ethnic Study of Atherosclerosis(MESA)Lung Study(米6都市、2010-2018年)と1272例を検討したCanadian Cohort of Obstructive Lung Disease(CanCOLD、カナダ9都市、2010-2018年)の地域住民標本2件の後向きコホート研究およびCOPDの症例対照研究Subpopulations and Intermediate Outcome Measures in COPD研究(SPIROMICS、米12都市、2011-2016年)。 【曝露】肺気量の立方根で分割した標準的な解剖学的部位19箇所で測定した気道内径の幾何平均として、CT画像上でdysanapsisを定量化した(気道の肺に対する比率)。 【主要評価項目】主要評価項目は、気管支拡張薬吸入後の1秒率(FEV1:FVC)0.70未満と定義したCOPDとした。長期肺機能を副次評価項目とした。全解析を患者背景とCOPD危険因子(喫煙および受動喫煙、職業的および環境的汚染、喘息)。 【結果】MESA Lung標本(平均[SD]年齢69[9]歳、1334例[52.7%]が女性)では、参加者2531例中237例(9.4%)にCOPDがあり、気道の肺に対する比率の平均(SD)は0.033(0.004)、平均(SD)FEV1低下量は-33mL/y(31 mL/y)であった。COPDがないMESA Lungの参加者2294例のうち、98例(4.3%)が中央値6.2年時にCOPDを発症した。気道の肺に対する比率の最高四分位範囲の参加者と比べると、最低四分位範囲の参加者はCOPD発症率が有意に高かった(1000人年当たり9.8 vs 1.2例、率比[RR]8.121、95%CI 3.81-17.27、1000人年当たりの率差8.6例、95%CI 7.1-9.2、P<0.001)が、FEV1低下量に有意差はなかった(-31 vs. -33mL/y、差2mL/y、95%CI -2-5、P=0.30)。CanCOLD参加者(平均[SD]年齢67[10]歳、564例[44.3%]が女性)、752例中113例(15.0%)が中央値3.1年時にCOPDを発症し、平均(SD)FEV1低下量は-36mL/y(75 mL/y)であった。気道の肺に対する比率最低四分位範囲の参加者のCOPD発症率は、最低四分位範囲の参加者よりも有意に高かった(1000人年当たり80.6 vs. 24.2例、RR 3.33、95%CI 1.89-5.85、1000人年当たりの率差 56.4例、95%CI 38.0-66.8、P<0.001)が、FEV1低下量に有意差はなかった(-34 vs. -36mL/y、差 1 mL/y、95%CI -15-16、P=0.97)。COPDがあり、中央値2.1年追跡したSPIROMICS参加者1206例(平均[SD]年齢65[8]歳、542例[44.9%]が女性)のうち気道の肺に対する比率が最低四分位範囲の参加者は平均FEV1低下量が-37 mL/y(15mL/y)で、MESA Lung参加者の低下量を有意差がなかった(P=0.98)が、最高四分位範囲の参加者ではMESA Lung参加者よりも有意に速く低下した(-55mL/y[16 mL/y]、差-17mL/y、95%CI -32--3、P=0.004)。 【結論および意義】高齢者で、dysanapsisにCOPDと有意な関連があり、気道内径が肺の大きさよりも狭いとCOPDリスクが高くなった。DysanapsisはCOPDの危険因子であると思われる。 第一人者の医師による解説 気道の発育障害は 喫煙とは独立したCOPD発症要因 永井 厚志 新百合ヶ丘総合病院呼吸器疾患研究所所長 MMJ. December 2020;16(6):162 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発症要因としては喫煙が主因とみなされているが、非喫煙者でもCOPDの病態となる高齢者が少なくなく、今日なおCOPD発症リスクの多くは未解決である。本研究では、2つの前向きコホート研究(MESA、CanCOPD)および症例対照研究(SPIROMICS)の参加者を対象に、CT画像(19画像/肺)により計測された気道径と肺胞容積の比率を算出することにより、肺胞に対する気道発育の不均衡(dysanapsis)を評価し、COPD病態の発症との関連性について後ろ向きの検討が行われた。なお、これらの検討では喫煙や環境汚染への曝露、喘息など既知のCOPD発症要因について補正がなされた。結果は、肺胞に比べ気道径の発育が低値を示す群では、COPD(気管支拡張薬吸入後の1秒率70%未満と定義)の発症頻度がいずれのコホート研究でも高値を示した。呼吸機能(FEV1)の経年的低下に関して、それぞれの研究観察期間内では気道肺胞容積の不均衡とは関連性がみられなかった。以上の結果から、高齢者においては、肺胞に比べ気道の発育が低下を示すdysanapsisはCOPDの重要な危険因子であることが示唆される、と結論づけられている。また、重喫煙者でありながらCOPDとしての気流閉塞がみられない一因として、気道の発育がより高度である可能性にも触れている。  従来から、成人期の気流閉塞には幼小児期における肺の発育過程で生じた気道と肺の発達の不均衡が関与しており、20~30歳代に成熟する呼気流量が健常者に比べ低値にとどまることで、その後、加齢とともに低下する高齢者においてCOPD病態に至る可能性が指摘されていた(1),(2)。事実、これまでの研究では、中等度以上の気流閉塞を示すCOPD患者の約半数に肺の発育障害がみられると報告されている(3)。本研究では、COPD患者の30%近くが非喫煙者であることへの疑問に対して肺の発育障害が関与している可能性を示している。しかしながら、対象者は肺の発育期ではない成人であり、CTでの気道計測がCOPD病態の主病変である末梢気道ではなく比較的中枢気道であること、COPDは多因子により形成されるが本研究では質の異なった3研究が統合解析されていることなど、多くの指摘されるべき点がみられる。本研究に限界はあるにせよ、肺の発育と高齢に至り発症するCOPDに密接な関連があるという指摘は注目すべきであり、今後の課題として気道と肺の不均衡な発育(dysanaptic lung growth)の詳細な原因を解明することが求められる。 1. Stern DA, et al. Lancet. 2007;370(9589):758-764. 2. Svanes C, et al. Thorax. 2010;65(1):14-20. 3. Lange P, et al. N Engl J Med. 2015;373(2):111-122.
COPDの疾病負荷は減少傾向だが 世界的には依然大きな問題
COPDの疾病負荷は減少傾向だが 世界的には依然大きな問題
Burden of chronic obstructive pulmonary disease and its attributable risk factors in 204 countries and territories, 1990-2019: results from the Global Burden of Disease Study 2019 BMJ. 2022 Jul 27;378:e069679. doi: 10.1136/bmj-2021-069679. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 [目的] 1990 年から 2019 年までの慢性閉塞性肺疾患 (COPD) の世界的、地域的、および全国的な負担と、それに起因する危険因子を、年齢、性別、および社会人口統計学的指標別に報告すること。 [設計] 系統的分析。 [データ ソース] Global Burden of Disease Study 2019. [MAIN OUTCOME MEASURES] COPD の有病率、死亡率、障害調整生存年数 (DALY)、およびそれに起因する危険因子に関するデータは、204 か国を対象とした Global Burden of Disease 2019 プロジェクトから取得され、 1990 年から 2019 年までの地域。人口 100,000 人あたりの数と割合、および 95% の不確実性区間が各推定値について提示されました。 100 万人の死者と 7,440 万人の DALY。 COPD の世界的な年齢標準化ポイント有病率、死亡率、および DALY 率は、人口 10 万人あたり 2638.2 (95% 不確実性区間 2492.2 から 2796.1)、42.5 (37.6 から 46.3)、および 926.1 (848.8 から 997.7) であり、これらは 8.7% でした。 1990 年よりそれぞれ 41.7% と 39.8% 低い。 2019 年には、デンマーク (4299.5)、ミャンマー (3963.7)、およびベルギー (3927.7) で、COPD の年齢標準化ポイント有病率が最も高かった。エジプト (62.0%)、ジョージア (54.9%)、およびニカラグア (51.6%) は、研究期間全体で年齢標準化されたポイントの有病率の最大の増加を示しました。 2019 年には、ネパール (182.5) と日本 (7.4) が 10 万人あたりの年齢標準化死亡率がそれぞれ最高と最低で、ネパール (3318.4) とバルバドス (177.7) が 10 万人あたりの年齢標準化 DALY 率が最高と最低でした。それぞれ。男性では、COPD の世界的な DALY 率は 85 ~ 89 歳まで増加し、その後年齢が上がるにつれて減少しましたが、女性では、その率は最も古い年齢層 (95 歳以上) まで増加しました。地域的には、社会人口学的指標と COPD の年齢標準化 DALY 率との間に、全体的に逆 V 字型の関連性が見られました。 COPD の DALYs 率に最も寄与する要因は、喫煙 (46.0%)、周囲の粒子状物質による汚染 (20.7%)、および粒子状物質、ガス、煙霧への職業的曝露 (15.6%) でした。 COPD、この疾患は、特に社会人口統計学的指数が低い国では、依然として主要な公衆衛生上の問題です。予防プログラムは、COPD の負担をさらに軽減するために、禁煙、空気の質の改善、および職業曝露の削減に焦点を当てるべきです。 第一人者の医師による解説 世界疾病負荷研究(GBD)に基づく COPDの最新情報を提供する重要な報告 玉岡 明洋 虎の門病院呼吸器センター内科部長 MMJ.February 2023;19(1):23 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、世界保健機関(WHO)の報告によると、2019年に世界の死亡原因の第3位であった。日本では厚生労働省の統計によるとCOPDは2010年以降、男女合計での死因の第9位に位置していたが、2014年からは順位を下げている。世界疾病負荷研究(GBD)は、米国ワシントン大学保健指標・保健評価研究所(IHME)を中心に、156超の国・地域の大学、研究所、政府機関が参加する共同研究である。本論文では、GBD2019のデータに基づいて、204の国・地域別に1990年~19年におけるCOPDの有病率、死亡率、障害調整生存年(DALY)についての最新の動向を提供している。DALYは、損失生存年(YLL)+障害生存年(YLD)で算出され、1 DALYは、本来健康な状態で過ごすはずだった人生を1年失うことを意味する。 解析の結果、2019年では、COPDによる10万人当たりの年齢調整死亡率が最も高かったのはネパールで、最も低かったのは日本だった。10万人当たりの年齢標準化 DALYもネパールで3318.4と最も高かった。ネパールでは急速な都市化の進行による自動車数の増加などが大きな影響を及ぼしていると思われる。また社会経済指標とDALY の関係を国別にみると、社会経済指標が中程度の国までDALYは上昇傾向を示し、それ以上になると減少傾向に転じる逆 V字型を呈していた。中程度の国には中国やインドのような急速な工業化が進んでいる国が含まれPM2.5の増加がCOPDによる死亡に大きな影響を及ぼしている可能性がある(1)。一方、社会経済指標の高い国ほど喫煙率が低下してきており、それがこれらの国・地域でのDALY低下に関与しているだろう。 COPDの最も大きな危険因子は喫煙であるが、特に社会経済指標の低い国では大気汚染の影響が大きく関与しており今後の環境対策が必須と考えられる(2)。COPDによる疾病負荷は数値の上では世界的には減少傾向であるが、依然大きな問題である。国ごとのCOPDの診断の正確性の問題などはあるかもしれないが、本研究は世界のCOPDの疾病負荷の最新の情報を提供する重要な報告と言えるだろう。 1. Yang X, et al. Sci Total Environ. 2021;796:148819. 2. GBD 2019 Risk Factors Collaborators. Lancet. 2020;396(10258):1223-1249.
気流閉塞のない喫煙曝露者のうち 長期経過でCOPDに進展は約3割
気流閉塞のない喫煙曝露者のうち 長期経過でCOPDに進展は約3割
Longitudinal Follow-Up of Participants With Tobacco Exposure and Preserved Spirometry JAMA. 2023 Aug 1;330(5):442-453. doi: 10.1001/jama.2023.11676. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【重要性】タバコを吸った人は、蒸発気流閉塞なしに呼吸症状を経験する可能性があります。これらの個人は通常、慢性閉塞性肺疾患(COPD)試験から除外されており、証拠に基づいた治療法を欠いています。 【目的】タバコ曝露と保存された肺活量測定(TEPS)と症状(症状TEPS)のある人の自然史を定義する。 【デザイン、設定、および参加者】Spiromics IIは、Spiromics Iの延長であり、40〜80歳の人の多施設研究であり、COPDの有無にかかわらずタバコ曝露や空気流閉塞なしのコントロールを除いてタバコ(20パック年以上)を吸っています。参加者は、2010年11月10日から2015年7月31日までSpiRomics IおよびIIに登録され、2021年7月31日までフォローアップされました。 【曝露】スピロミクスIの参加者は、スピロメトリ、6分間の歩行距離テスト、呼吸器症状の評価、および年間3〜4年間の訪問時に胸部のコンピューター断層撮影を受けました。Spiromics IIの参加者は、Spiromics Iに登録してから5〜7年後に1人の追加対面訪問を受けました。呼吸器症状はCOPD評価テストで評価されました(範囲、0〜40;スコアが高いほど、より重度の症状を示します)。症候性TEPSの参加者は、最初の2秒[FEV1]に対する強制呼気量の強制呼気量のブレンチラチレーター比> 0.70> 0.70)および10以上のCOPD評価テストスコアを有していました。無症候性TEPを有する参加者は、10未満の正常なスピロメトリとCOPD評価テストスコアを有していました。 【主な結果と尺度】主な結果は、症候性TEPと無症候性TEPの参加者における肺機能の減少(FEV1)の加速の評価でした。二次的な結果には、肺活量測定、呼吸器症状、呼吸器増悪の速度、およびコンピューター断層撮影の気道壁肥厚または肺気腫の進行によって定義されたCOPDの開発が含まれていました。 【結果】1397人の研究参加者のうち、226人が症候性TEP(平均年齢、60.1 [SD、9.8]年、134人が女性[59%])、269人は無症候性TEP(平均年齢、63.1 [SD、9.1]; 134人がいた。女性[50%])。フォローアップの中央値5。76年で、FEV1の減少は、症候性TEPSの参加者で-38.8 mL/Yで、無症候性TEPSを持つ人の-38.8 mL/Yでした(グループ間差、-7.5 mL/Y [95%CI、-16.6〜1.6 mL/Y])。COPDの累積発生率は、症候性TEPSの参加者の33.0%であり、無症候性TEPSを持つ従業員の31.6%でした(ハザード比、1.05 [95%CI、0.76〜1.46])。症候性TEPSの参加者は、無症候性TEPS(それぞれ0.23対0.08の悪化を患っている人よりも有意に多くの呼吸器の悪化がありました。レート比、2.38 [95%CI、1.71〜3.31]、p <.001)。 【結論と関連性】症候性TEPを持つ参加者は、FEV1の減少率または無症候性TEPの発生率の増加率を加速していませんでしたが、症候性TEPの参加者は5。8年の中央値の追跡期間にわたって呼吸器の悪化を著しく経験しました。 第一人者の医師による解説 喫煙リスク集団中のCOPD発症 感受性関連・規定因子の探求が望まれる 中村 守男 国立病院機構神奈川病院 院長 MMJ.April 2024;20(1):13 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断基準は、①長期喫煙などの曝露②気管支拡張薬吸入後スパイロメトリーで1秒率(1秒量[FEV1]/努力肺活量[FVC])0.70未満③気流閉塞を来す他疾患の除外、となっている(1)。この基準未満の「非 COPD例」でも呼吸器症状を有する群は存在し、COPDの臨床試験からの除外により、エビデンスに基づく治療が提示されていない。 本論文は、喫煙曝露ありも肺機能が維持されている(TEPS;tobacco exposure and preservedspirometry)人の自然経過を検討した前向きコホート研究、SPIROMICS I試験(2)の追跡期間を5~7年に延長した同 II試験の報告である。登録対象は40~80歳の20箱・年超の現・元喫煙者で、気管支拡張薬吸入後の1秒率0.70超、COPD AssessmentTestスコア 10以上を症候性 TEPS群(226人)、同スコア10未満を無症候性 TEPS群(269人 )とした。追跡期間中央値5.76年において、症候性TEPS群では無症候性 TEPS群と比較し、FEV1低下速度(-31.3 対 -38.8mL/年)やCOPD発症率(33.0 対 31.6%)に有意差なく、呼吸器症状増悪(0.23 対 0.08回 /人・年;P<0.001)は頻回であった。また登録前に症候性 TEPS群の39%に気管支拡張薬、23%に吸入ステロイド薬が処方され、「エビデンスのない」薬物治療を受けていた。実際、最近の無作為化試験において、症候性 TEPS患者の呼吸器症状は、長時間作用性吸入β2刺激薬/長時間作用型抗コリン吸入薬でも軽快せずとの報告がある(3)。 喫煙はそれ自体がCOPDリスクの最重要因子であるが、病態発症への感受性に遺伝的素因、喫煙の量・内容・期間、栄養状態、運動習慣などの個人差が影響するであろう。禁煙指導のみでなく、症候性 TEPS群の病状増悪の際はCOPD以外の病因の可能性も鑑みた診療を要する。かつてGlobal Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease(GOLD)Reportで提唱された“at risk for COPD(stage 0)”のカテゴリーは、すべてがCOPDに進行せず除外された。昨今“pre-disease”、すなわち疾患発症を意味せず、高リスク集団を特定して綿密な経過観察とリスク管理を行い、発症防止を目的とする概念が提唱されている。COPDではGOLD 2023 Report(4)においてPre-COPDという分類で再び提示された。喫煙というリスク集団の中でCOPD発症の感受性規定因子の探求が、発症の予防から早期診断そして迅速適切な治療介入のために望まれる。 1. 日本呼吸器学会 . COPD 診断と治療のためのガイドライン 2022[第 6 版] 2. Woodru PG, et al. N Engl J Med. 2016;374(19):1811-1821. 3. Han MK, et al. N Engl J Med. 2022;387(13):1173-1184. 4. GOLD ウエブサイト(https://goldcopd.org/2023-gold-report-2/)2024 年1 月 9 日確認