ライブラリー COPDの疾病負荷は減少傾向だが 世界的には依然大きな問題
Burden of chronic obstructive pulmonary disease and its attributable risk factors in 204 countries and territories, 1990-2019: results from the Global Burden of Disease Study 2019
BMJ. 2022 Jul 27;378:e069679. doi: 10.1136/bmj-2021-069679.
上記論文のアブストラクト日本語訳
※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。
[目的] 1990 年から 2019 年までの慢性閉塞性肺疾患 (COPD) の世界的、地域的、および全国的な負担と、それに起因する危険因子を、年齢、性別、および社会人口統計学的指標別に報告すること。
[設計] 系統的分析。
[データ ソース] Global Burden of Disease Study 2019.
[MAIN OUTCOME MEASURES] COPD の有病率、死亡率、障害調整生存年数 (DALY)、およびそれに起因する危険因子に関するデータは、204 か国を対象とした Global Burden of Disease 2019 プロジェクトから取得され、 1990 年から 2019 年までの地域。人口 100,000 人あたりの数と割合、および 95% の不確実性区間が各推定値について提示されました。 100 万人の死者と 7,440 万人の DALY。 COPD の世界的な年齢標準化ポイント有病率、死亡率、および DALY 率は、人口 10 万人あたり 2638.2 (95% 不確実性区間 2492.2 から 2796.1)、42.5 (37.6 から 46.3)、および 926.1 (848.8 から 997.7) であり、これらは 8.7% でした。 1990 年よりそれぞれ 41.7% と 39.8% 低い。 2019 年には、デンマーク (4299.5)、ミャンマー (3963.7)、およびベルギー (3927.7) で、COPD の年齢標準化ポイント有病率が最も高かった。エジプト (62.0%)、ジョージア (54.9%)、およびニカラグア (51.6%) は、研究期間全体で年齢標準化されたポイントの有病率の最大の増加を示しました。 2019 年には、ネパール (182.5) と日本 (7.4) が 10 万人あたりの年齢標準化死亡率がそれぞれ最高と最低で、ネパール (3318.4) とバルバドス (177.7) が 10 万人あたりの年齢標準化 DALY 率が最高と最低でした。それぞれ。男性では、COPD の世界的な DALY 率は 85 ~ 89 歳まで増加し、その後年齢が上がるにつれて減少しましたが、女性では、その率は最も古い年齢層 (95 歳以上) まで増加しました。地域的には、社会人口学的指標と COPD の年齢標準化 DALY 率との間に、全体的に逆 V 字型の関連性が見られました。 COPD の DALYs 率に最も寄与する要因は、喫煙 (46.0%)、周囲の粒子状物質による汚染 (20.7%)、および粒子状物質、ガス、煙霧への職業的曝露 (15.6%) でした。 COPD、この疾患は、特に社会人口統計学的指数が低い国では、依然として主要な公衆衛生上の問題です。予防プログラムは、COPD の負担をさらに軽減するために、禁煙、空気の質の改善、および職業曝露の削減に焦点を当てるべきです。
第一人者の医師による解説
世界疾病負荷研究(GBD)に基づく COPDの最新情報を提供する重要な報告
玉岡 明洋 虎の門病院呼吸器センター内科部長
MMJ.February 2023;19(1):23
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、世界保健機関(WHO)の報告によると、2019年に世界の死亡原因の第3位であった。日本では厚生労働省の統計によるとCOPDは2010年以降、男女合計での死因の第9位に位置していたが、2014年からは順位を下げている。世界疾病負荷研究(GBD)は、米国ワシントン大学保健指標・保健評価研究所(IHME)を中心に、156超の国・地域の大学、研究所、政府機関が参加する共同研究である。本論文では、GBD2019のデータに基づいて、204の国・地域別に1990年~19年におけるCOPDの有病率、死亡率、障害調整生存年(DALY)についての最新の動向を提供している。DALYは、損失生存年(YLL)+障害生存年(YLD)で算出され、1 DALYは、本来健康な状態で過ごすはずだった人生を1年失うことを意味する。
解析の結果、2019年では、COPDによる10万人当たりの年齢調整死亡率が最も高かったのはネパールで、最も低かったのは日本だった。10万人当たりの年齢標準化 DALYもネパールで3318.4と最も高かった。ネパールでは急速な都市化の進行による自動車数の増加などが大きな影響を及ぼしていると思われる。また社会経済指標とDALY
の関係を国別にみると、社会経済指標が中程度の国までDALYは上昇傾向を示し、それ以上になると減少傾向に転じる逆 V字型を呈していた。中程度の国には中国やインドのような急速な工業化が進んでいる国が含まれPM2.5の増加がCOPDによる死亡に大きな影響を及ぼしている可能性がある(1)。一方、社会経済指標の高い国ほど喫煙率が低下してきており、それがこれらの国・地域でのDALY低下に関与しているだろう。
COPDの最も大きな危険因子は喫煙であるが、特に社会経済指標の低い国では大気汚染の影響が大きく関与しており今後の環境対策が必須と考えられる(2)。COPDによる疾病負荷は数値の上では世界的には減少傾向であるが、依然大きな問題である。国ごとのCOPDの診断の正確性の問題などはあるかもしれないが、本研究は世界のCOPDの疾病負荷の最新の情報を提供する重要な報告と言えるだろう。
1. Yang X, et al. Sci Total Environ. 2021;796:148819.
2. GBD 2019 Risk Factors Collaborators. Lancet. 2020;396(10258):1223-1249.