「高血圧」の記事一覧

#06 長期ボランティア医師として活動に参加して感じたこと
#06 長期ボランティア医師として活動に参加して感じたこと
発展途上国、日本のへき地離島、大規模災害の被災地……。世の中には「医療の届かないところ」があります。NPOジャパンハートはそんなところに、無償で医療支援を行っています。ボランティアとして参加した医療従事者が、現地での活動内容などを報告します。 長期ボランティア医師(活動地:カンボジア) 私は医師になって1年目に初めてジャパンハートの手術活動に参加し、診療に使える機器が限られた環境での医療活動を見て以来、検査に頼らずに診療できるよう初期研修医として勉強を続けてきました。医師3年目になり、今回はカンボジアで長期ボランティア医師として活動に参加しました。医師としてはもちろん人としての気付きがありました。 初期研修病院での経験は力になっていた 私は北九州市の病院で初期研修を修了しました。ただ多忙のなかで十分に勉強できず自分自身が十分に成長できなかったのでは?と感じていました。しかし日々指導を受けたこと、検査が限られる環境での診療を想定して勉強してきたので、前回参加した時よりは患者さんを深く診ることができたと思います。個人で受講した院外勉強会の知識が役に立つこともありました。知識と経験が多いほど患者さんにより良いケアを提供できます。振り返ると1年目にジャパンハートに参加して現場を見ていたことが、モチベーションになったと感じています。 カンボジアで診た疾患は、基本的には日本で診る疾患と大きな違いはないと感じました。高血圧や糖尿病は多くの患者さんが罹患しているので詳しい知識を知っておくべきです。予防の観点から生活指導もできるとより良いと感じました。 医療とお金の問題は常に付き纏います。しかし本当に必要な検査を考えることは検査前確率を高めるため日頃から必要なので、日本でも重要視できたらと思います。またお金がない患者さんにも生活の中で治療を受けることを優先してもらうために、いかに説明して継続受診につなげるかも重要だと感じました。医学知識を説明することは誰でもできます。患者背景を鑑みた上で必要な治療を提案し患者さんに医療を受けてもらうことも医師の技量、つまり広い意味で患者さんを治療することなのだと考えています。 今回、院長のC先生に出会い、内科に限らず角膜異物除去や手術も行う姿をみて、私にとって海外で働く総合内科医のロールモデルとなりました。始めからお手上げではなく、私たち医師に経験と技術があれば患者さんに手間とお金の負担なく治療ができます。専門医でなくでも専門治療の知識をもつ、手技を経験することを積み重ねていけば一人でも多くの患者さんをこの病院で助けることができます。紹介状を書くことは簡単ですが、患者さんの負担を考えるとできるだけ自分で対応できる医師になりたいと思いました。 今後も、より多くの患者さんを安全に確実に治療できるように、勉強し成長してカンボジアにもどります。カンボジア人スタッフには本当に親切にしていただきました。皆とまた会いたいと強く思います。 (ジャパンハート 2020年5月18日掲載) ジャパンハートは、ミャンマー、カンボジア、ラオスで長期ボランティアとして活動してくれる医師を募集しています。 オンライン相談会を実施中です。「医療の届かないところに医療を届ける」活動に関心のある方は、ちょっとのぞいてみてください。 〉ジャパンハート オンライン相談会ページ
さまざまな血圧値の患者に用いる心血管疾患の1次予防および2次予防を目的とした薬剤による降圧治療 個別患者データのメタ解析
さまざまな血圧値の患者に用いる心血管疾患の1次予防および2次予防を目的とした薬剤による降圧治療 個別患者データのメタ解析
Pharmacological blood pressure lowering for primary and secondary prevention of cardiovascular disease across different levels of blood pressure: an individual participant-level data meta-analysis Lancet. 2021 May 1;397(10285):1625-1636. doi: 10.1016/S0140-6736(21)00590-0. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約【背景】心血管疾患の併存を問わない正常血圧または正常高値血圧の患者に用いる薬剤による血圧降下作用は明らかになっていない。著者らは、治療前の収縮期血圧値別に、降圧治療が主要心血管事象リスクにもたらす作用を明らかにすべく、無作為化試験の個別患者データを解析した。【方法】薬剤による降圧治療をプラセボまたは他のクラスの降圧薬と比較した無作為化試験または治療の強度別に比較した無作為化試験計48件(各群の追跡期間1,000人年以上)の個別患者データのメタ解析を実施した。心不全患者、急性心筋梗塞などの急性期疾患の短期治療を対象とした試験を除外した。Blood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration(英オックスフォード大学)から1972年から2013年までに発表された51試験のデータを取得した。データを統合し、心血管疾患併存(無作為化割り付け前の脳卒中、心筋梗塞、虚血性心疾患などの報告)の有無、収縮期血圧全体および7段階の収縮期血圧値分類(120 mmHg未満から170mmHg以上まで)別に降圧治療効果を層別化した。主要評価項目は、主要心血管事象(脳卒中、心筋梗塞または虚血性心疾患、致命的または入院を要する心不全の複合と定義)とし、intention-to-treatで解析した。【結果】この解析では、48試験の参加者計344,716例のデータを対象とした。無作為化前の平均収縮期血圧および拡張期血圧は、心血管疾患既往歴がある参加者(157,728例)が146/84 mm Hg、心血管疾患既往例がない参加者(186,988例)が157/89 mmHgであった。試験前の参加者の血圧に大きなばらつきを認め、心血管疾患既往歴がある参加者31,239例(19.8%)および心血管疾患既往例がない参加者14,928例(8.0%)の収縮期血圧が130mmHg未満であった。降圧治療の相対的効果は、収縮期血圧低下の程度と比例していた。中央値で4.15年の追跡後(Q1~Q3 2.97~4.96)、42,324例(12.3%)に主要心血管事象が発生した。試験前に心血管疾患既往歴がなかった参加者の1000人年当たりの主要心血管事象発症率は、比較対照群が31.9(95%CI 31.3~32.5)、介入群が25.9(25.4~26.4)であった。試験前に心血管疾患既往歴があった参加者の発症率は、比較対照群39.7(95%CI 39.0~40.5)および介入群36.0(95%CI 35.3~36.7)であった。収縮期血圧5mmHgの低下による主要心血管事象のハザード比(HR)は、心血管疾患既往がない参加者が0.91(95%CI 0.89~0.94)、心血管疾患既往がある参加者が0.89(0.86~0.92)であった。層別解析で、試験前の心血管疾患既往歴の有無や収縮期血圧分類別による主要心血管事象に対する治療効果の異質性について、信頼性の高い科学的根拠はなかった。【解釈】この無作為化試験の大規模解析では、収縮期血圧5mmHg低下により、心血管疾患既往歴の有無とは関係なく、正常血圧や正常高値血圧でさえ主要心血管事象リスクが約10%低下した。この結果は、現在治療の対象外となる血圧値でも、薬剤による一定の血圧降下が心血管疾患の1次予防および2次予防に等しく有効であることを示唆している。降圧治療の適応について患者と話し合う医師は、血圧を下げることよりも心血管リスク低下の重要性を重視すべきである。 第一人者の医師による解説 降圧療法は心血管病が存在し 血圧が低くても有用なことを確認 平田 恭信 東京逓信病院名誉院長 MMJ. December 2021;17(6):170 世界的に高血圧者の数はこの30年間で倍増しており、降圧療法の重要性が高まっている。高血圧の治療法については降圧薬の使用方法などにまだ改善の余地があるが、その恩恵については議論の余地は少ない。しかし未解決の重要な問題も残っており、そのうち(1)すでに心血管病を有する高血圧者と有さない高血圧者の間で降圧療法の効果は異なるのか否か(2)その効果は投与前の血圧値によって差があるのか、特に正常~正常高値の血圧レベルでどうか──という2つの疑問を本研究では解明しようとしている。それに答えるには相当数の対象者が必要である。というのは血圧レベルが正常に近いほど、降圧治療によるリスク低減効果は小さくなることが知られているからである。臨床上のエビデンスレベルとしては関連研究のメタアナリシスが最上位に置かれているのは周知のことであるが、メタアナリシスにも弱点はあり、どの論文を解析対象とするかの選択バイアスがありうること、対象者数が他より圧倒的に多い論文が含まれると結論がそれに引っ張られてしまうことである。その点、著者であるBloodPressureLoweringTrialists’Collaborationグループはあらかじめ質の保証された降圧療法に関する臨床研究を結果の出る前から組み入れることを表明しておき、それを徐々に積み上げてきた。このことによって少なくとも論文の選択バイアスは避けられる。さらに研究対象者の個々のデータ(individualparticipant-leveldata)も解析可能なシステムを構築した。これまでも同グループにより降圧療法による合併症の抑制効果は到達した血圧値に依存し、降圧薬の種類によらないことが示されてきた。本研究でも約34万人の解析により、収縮期血圧が5mmHg低下すると心血管合併症(イベント)の発生リスクが約10%低下し、この効果は投与前に心血管病のある場合(2次予防)、未罹患の場合(1次予防)のいずれでも同様に認められた。また心血管合併症の発症リスクも脳卒中で13%、心不全で13%ならびに虚血性心疾患で8%抑制された。さらにこの効果は投与前の血圧値を7段階に分けて解析しても各レベル間の差は明らかでなく、収縮期血圧が120mmHg未満や120~129mmHgであっても認められた。このことはいわゆる治療効果のJカーブ現象は一般的には心配はないことを示している。降圧療法の目的は心血管合併症の予防にあることより、心血管病が存在して、血圧が低めであっても治療が有用なことが確認された。
若年成人の高血圧と長期心血管イベントの関連 系統的レビューとメタ解析
若年成人の高血圧と長期心血管イベントの関連 系統的レビューとメタ解析
Association between high blood pressure and long term cardiovascular events in young adults: systematic review and meta-analysis BMJ. 2020 Sep 9;370:m3222. doi: 10.1136/bmj.m3222. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【目的】高血圧がある若年成人の後の心血管イベントリスクを評価し、定量化すること。 【デザイン】系統的レビューとメタ解析。 【データ入手元】開始からの2020年3月6日までMedline、EmbaseおよびWeb of Scienceを検索した。ランダム効果モデルを用いて相対リスクを統合し、95%CIを推定した。絶対リスク差を計算した。制限3次スプラインモデルで血圧と個々の転帰の間の用量反応関係を評価した。 【試験の適格基準】血圧上昇が認められる18~45歳の成人患者の有害転帰を調査した試験を適格とした。主要転帰は、全心血管イベントの複合とした。副次転帰として、冠動脈疾患、脳卒中および全死因死亡を調べた。 【結果】若年成人約450万例から成る観察研究17件を解析の対象とした。平均追跡期間は14.7年であった。至適血圧の若年成人と比べると、正常血圧の若年成人の心血管イベントリスクが高かった(相対リスク1.19、95%CI 1.08~1.31、1000人年当たりのリスク差0.37、95%CI 0.16~0.61)。血圧分類と心血管イベントリスク上昇との間に、段階的かつ漸進的な関連が認められた(正常高値血圧:相対リスク、95%CI 1.22~1.49、1000人年当たりのリスク差0.69、95%CI 0.43~0.97、第1度高血圧:1.92、1.68~2.19、1.81、1.34~2.34、第2度高血圧:3.15、2.31~4.29、4.24、2.58~6.48)。冠動脈疾患および脳卒中でほぼ同じ結果が得られた。血圧上昇による心血管イベントの人口寄与割合は、全体で23.8%(95%CI 17.9~28.8%)であった。心血管イベント1件を予防するための1年間の必要治療数は、正常血圧で2672(95%CI 1639-6250)、正常高値血圧で1450(1031~2326)、第1度高血圧で552(427~746)、第2度高血圧で236(154~388)と推定された。 【結論】若年成人の血圧が上昇すると、後の心血管イベントリスクがわずかに上昇すると思われる。血圧低下療法の便益の根拠は少ないため、積極的な介入に慎重になるべきであり、さらに詳細な調査が求められる。 第一人者の医師による解説 治療必要数が多く介入には検討が必要 一般的な運動・生活指導が重要 山岸 敬幸 慶應義塾大学医学部小児科教授 MMJ. April 2021;17(2):48 高血圧と心血管イベントリスクの関連は以前から指摘されているが、先行研究の大多数は中高年以上を対象としている。若年成人の高血圧の有病率が上昇している昨今、高い血圧に経年的に曝されることにより、その後の人生における心血管イベントのリスクが上昇するかどうかを知るために、若年層を対象とした研究が必要である。 そこで本研究では、血圧上昇を有する18~45歳の若年成人の有害事象を調査した候補論文57,519編から17件の観察コホート研究が選択されメタ解析が行われた。対象人数は計4,533,292人(1研究あたり3,490人~2,488,101人)、男女の割合は17試験の平均でそれぞれ72.5%、27.5%(研究8件は対象が男性のみ)、平均追跡期間は14.7年(4.3~56.3年)だった。血圧は2018年の欧州ガイドラインを基準として、以下の5カテゴリーに層別化された:最適血圧(収縮期血圧120mmHg未満、拡張期血圧80mmHg未満)、正常血圧(120~129、80~84mmHg)、正常高めの血圧(130~139、85~89mmHg)、グレード1の高血圧(140~159、90~99mmHg)、グレード2の高血圧(160mmHg以上、100mmHg以上)。 本研究の成果として、第1に血圧の層別化と心血管イベントリスクの間に段階的・連続的な関連が観察された。すなわち、血圧の段階が上がるごとに、連続的に主要評価項目である心血管イベント、ならびに副次評価項目である冠動脈疾患と脳卒中、全死亡のリスクが上昇していた。地域差はなかったが、年齢は30歳超でより顕著だった。第2に高血圧の人口寄与危険割合は高く、若年成人の心血管イベント全体の約4分の1を占めていた。一方、解析された研究17件のデザインには無視できない異質性が認められ、血圧の測定方法も統一されていなかった。母集団の年齢層、治療の状態、高血糖、高尿酸血症、脂質異常症の有無などを含めて、層別化および感度分析では統計学的な異質性を減らすことはできなかった。また、対象がすべて男性の研究と男女混合の研究の結果を合わせて解析したため、偏りが生じたおそれもある。ただし、性別の層別分析により、血圧上昇と心血管イベントリスク上昇の関連に男女差がないことは確かめられた。 重要な点として、心血管イベントリスクは正常血圧でも上昇することが判明した。比較的低いリスクではあるが、最適血圧と比較すると正常血圧のリスクも無視することはできない。また、収縮期血圧と拡張期血圧は独立して心血管イベントリスクに関連するため、若年成人では両方に注意する必要がある。臨床的意義として介入の是非については、治療必要数(NNT)が中高年層に比べ多いことから、慎重に検討すべきであると結論している。一般的な運動・生活指導が重要と思われる。
年齢および民族別の高血圧1次薬物治療と血圧低下 英国プライマリケアのコホート研究
年齢および民族別の高血圧1次薬物治療と血圧低下 英国プライマリケアのコホート研究
First line drug treatment for hypertension and reductions in blood pressure according to age and ethnicity: cohort study in UK primary care BMJ. 2020 Nov 18;371:m4080. doi: 10.1136/bmj.m4080. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【目的】英国(UK)高血圧臨床ガイドラインで年齢と民族性に基づき推奨される治療を現在日常診療で実施される降圧治療にそのまま置き換えることができるかを検討すること。 【デザイン】観察コホート研究。 【設定】2007年1月1日から2017年12月31日までの英国のプライマリケア。 【参加者】アンジオテンシン変換酵素阻害薬・アンジオテンシン受容体遮断薬(ACEI/ARB)、カルシウム拮抗薬(CCB)、チアジド系薬の新規使用者。 【主要評価項目】年齢(55歳未満と55歳以上)、民族性(黒人と非黒人)で層別化したACEI/ARBとCCBの新規使用者で、追跡12、26、52週時の拡張期血圧の変化量を比較。CCB新規使用者とチアジド系薬新規使用者の比較を副次的解析とした。負の転帰(帯状疱疹)を用いて残存交絡を検出し、一連の正の転帰(期待される薬剤の効果)を用いて、予想した関連がこの試験デザインで特定できるかを明らかにした。 【結果】追跡調査の最初の1年間で、ACEI/ARB新規使用者8万7440例、CCB新規使用者6万7274例、チアジド系薬新規使用者2万2040例を組み入れた(1例当たりの血圧測定回数中央値4回[四分位範囲2~6回])。糖尿病がない非黒人では、55歳未満で、CCB使用によって12週時の拡張期血圧がACEI/ARB使用よりも1.69mmHg低下し(99%信頼区間-2.52~-0.86)、55歳以上では0.40mmHg低下した(-0.98~0.18)。糖尿病がない非黒人の年齢をさらに細かく6つに分類した下位集団解析では、75歳以上でのみ、CCB使用による拡張期血圧低下度がACEI/ARB使用よりも大きかった。糖尿病がない患者のうち、黒人ではCCB使用による拡張期血圧低下度がACEI/ARB使用よりも大きく(低下量の差2.15mmHg[-6.17~1.87])、これに対応する非黒人の低下血圧値の差は0.98mmHg(-1.49~-0.47)だった。 【結論】糖尿病がない非黒人では55歳未満と55歳以上ともに、CCM新規使用とACEI/ARB新規使用で同等の血圧低下が得られた。糖尿病がない黒人では、CCB新規使用者の方がACEI/ARB新規使用者よりも数値的に血圧が大きく低下したが、両年齢群ともに信頼区間の重複が見られた。この結果から、現在英国で高血圧の1次治療に用いられているアルゴリズム法からは、十分な血圧低下が得られないと思われる。治療推奨に特定の適応を設けることを考慮できるであろう。 第一人者の医師による解説 生活習慣が血圧に大きく影響 降圧薬の選択に年齢や人種は重要視されなくなる 平和 伸仁 横浜市立大学附属市民総合医療センター腎臓・高血圧内科部長 MMJ. June 2021;17(3):82 高血圧は、脳心血管病死亡の最大の危険因子である。そこで、脳心血管病を予防するため高血圧治療ガイドラインが作成されているが、各国のエビデンスや重視するポイントにより、異なった推奨がなされる場合がある。英国のガイドラインでは、(2型)糖尿病でない高血圧患者の第1選択薬として、黒人では年齢に関係なくCa拮抗薬(CCB)を推奨している。一方、非黒人では55歳未満でアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬 (ACEI)またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を、55歳以上ではCCBを推奨している。 本研究は、英国のプライマリケアにおける新規に降圧薬(CCB、ACEI、ARB、サイアザイド系利尿薬 )を開始する高血圧患者を対象として、降圧薬による治療前、治療12、26、52週間後の収縮期血圧を確認し、英国ガイドラインによる第1選択薬の推奨が適切かどうかについて同国の臨床データベースを用いたコホート研究である。 87,440人のACEI/ARB、67,274人のCCB、22,040人のサイアザイド新規使用者が抽出され1年間観察された。降圧効果の比較は、傾向スコアマッチング法を用いて検討された。まず、年齢基準が妥当かについての検討がなされた。非糖尿病で55歳未満の患者では、治療12週でACEI/ARBよりもCCBによる治療の方が降圧効果が高く、収縮期血圧の低下が大きかった(―1.69 mmHg;95% CI, ―2.52~―0.86)。しかし、26週および52週後には、両群間で差を認めていない。55歳以上においても、ACEI/ARBとCCBの間で降圧効果の差を認めていない。年齢をカテゴリー化して検討すると、75歳以上の後期高齢者でのみ、CCBがACEI/ARBよりも全経過を通じて降圧効果が高かった。次いで、人種に関する検討がなされ、CCBとACEI/ARBの降圧度は、黒人において12週でCCBの方が大きかったが、その後は消失している。なお、黒人において、12週および26週でCCBの降圧効果はサイアザイドよりも高かったが、52週後には同等となっている。 2004年から英国のガイドラインでは55歳を年齢の「しきい値」としていたが、世界のガイドラインではあまり採用されていない考え方である。今回の研究結果もこの「しきい値」を支持しない結果であった。また、人種による差もあまり大きな影響を与えていないことが示された。現代ではさまざまな人種が混じり合っていること、そして、生活習慣が血圧に大きく影響を与えることから、降圧薬を選択する際に、年齢や人種はあまり重要視されなくなる可能性がある。日本における積極的適応疾患のない高血圧患者への第1選択薬は、CCB、ARB、ACEIに加えて、少量のサイアザイド系利尿薬であることを再確認しておいていただきたい。
制御不良の高血圧にデジタル介入を用いた家庭でのオンラインの血圧管理と評価(HOME BP) 無作為化対照試験
制御不良の高血圧にデジタル介入を用いた家庭でのオンラインの血圧管理と評価(HOME BP) 無作為化対照試験
Home and Online Management and Evaluation of Blood Pressure (HOME BP) using a digital intervention in poorly controlled hypertension: randomised controlled trial BMJ. 2021 Jan 19;372:m4858. doi: 10.1136/bmj.m4858. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【目的】HOME BP(Home and Online Management and Evaluation of Blood Pressure)試験は、プライマリケアでの高血圧管理に用いる血圧の自己監視と自己管理指導を組み合わせたデジタル介入を検証することを目的とした。 【デザイン】主要評価項目の自動確認による非盲検無作為化対照試験 【設定】英国の一般診療所76施設。 【参加者】治療しても高血圧制御が不良(140/90mmHg超)でインターネットが利用できる患者622例。 【介入】最小化アルゴリズムを用いて、参加者をデジタル介入を併用した血圧の自己監視(305例)と標準治療(ルーチンの高血圧治療+受診と診療医の裁量による薬剤変更、317例)に割り付けた。デジタル介入によって、患者と医療従事者に血圧結果のフィードバックが送られ、任意で生活様式の助言と動機付けの支援が利用できるようにした。高血圧患者、糖尿病患者、80歳以上の患者の目標血圧値は英国ガイドラインに従った。 【主要評価項目】主要評価項目は、試験開始時の血圧、目標血圧値、年齢および診療所で調整した1年後の収縮期血圧の差(2回目と3回目の測定値の平均)とし、欠損値に多重代入法を用いた。 【結果】1年後、552例(88.6%)からデータが入手でき、残りの70例(11.4%)は補完した。介入群では平均血圧値が151.7/86.4mmHgから138.4/80.2mmHgに、標準治療群では151.7/86.4mmHgから138.4/80.2mmHgに低下し、収縮期血圧の平均差が-3.4mmHg(95%CI -6.1~-0.8mmHg)、拡張期血圧の平均差が-0.5mmHg(同-1.9~0.9mmHg)であった。完全ケース分析では結果が同等であり、両群間の有害事象がほぼ同じであった。試験期間中にかかった費用から、1mmHg低下当たり増分費用効果比が11ポンド(15ドル、12ユーロ、95%CI 6~29ポンド)となった。 【結論】血圧の自己監視を用いた高血圧管理のHOME BPデジタル介入は、標準治療よりも1年後の収縮期血圧制御が良好で、増分費用もわずかであった。プライマリケアで導入するには、臨床現場のワークフローへの統合およびインターネットを利用しない人々がいることを考慮する必要がある。 第一人者の医師による解説 リモート自己血圧モニタに基づく降圧薬治療の呈示で クリニカルイナーシャを改善 石光 俊彦 獨協医科大学腎臓・高血圧内科教授 MMJ. June 2021;17(3):81 高血圧治療において近年のガイドラインでは疾患や病態などに応じた厳格な降圧目標が推奨されているが、英国の成人の30%近く、65歳以上では50%以上が140/90mmHg以上である。一方、さまざまな分野で医療のデジタル化が進められており、高血圧診療においても、インターネットを利用した血圧モニター、生活習慣指導や服薬管理を普 及させることにより、治療成績の向上が期待される。 英国で行われた本論文の研究(HOME BP)では、一般の実地診療医師と血圧コントロール不良(140/90mmHg超)の高血圧患者を対象として、 通常診療とオンラインによるデジタル介入を行った診療による治療効果が比較された。介入群では、オンラインで収集した患者の家庭血圧のデータを アルゴリズムにより評価し、その情報を患者と担当医師にフィードバックするとともに、それに基づいた降圧薬治療の提案や食事、運動、適正体重などの生活指導や服薬指導がインターネットを介して行われた。 12カ月後、通常治療群では平均血圧が151.6/85.3から141.8/79.8mmHgに低下したのに対し、介入群では151.7/86.4から138.3/80.2mmHgと通常治療群に比べ、−3.4/−0.5mmHg降圧が大きかった。サブグループ解析では、デジタル介入による降圧は、67歳未満の群および糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、心血管病などの合併症がない群において大きかった。質問票によると副作用の発現、服薬アドヒアランス、生活の質(QOL)は両群で有意差がなかった。介入に要した費用は患者1人あたり平均38ポンドで、収縮期血圧1mmHgの降圧増加につき11ポンドになった。 日本でも高血圧患者の73%が血圧140/90mmHg以上であり、患者および医療スタッフにおけるクリニカルイナーシャを改善する必要性が認識されている。本研究で試みられた家庭血圧モニターを中心とするオンラインの介入は、特に世界的に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行している状況において医療サービスの提供を改善する方策として有用である可能性がある。本研究でも12カ月後の継続率は89%と高く、降圧効果の増強により脳卒中が10〜15%、冠動脈疾患は5〜10%の減少が期待されるとしているが、対象者の大多数が白人であったことや67歳以上の高齢者では有意な降圧効果の増強が認められなかったことなどが、介入の適応を拡大する際に課題となると思われる。今後は、公的データベースを利用した医療費の評価やより長期の検討を行い、ガイドラインや診療報酬の算定に取り入れる方向で進められることが期待される。
心不全と危険因子の年齢依存的な関連:統合集団ベースコホート研究
心不全と危険因子の年齢依存的な関連:統合集団ベースコホート研究
Age dependent associations of risk factors with heart failure: pooled population based cohort study BMJ. 2021 Mar 23;372:n461. doi: 10.1136/bmj.n461. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【目的】一般集団には心不全発症の危険因子に年齢による差があるかを評価すること。 【デザイン】集団ベースの統合コホート研究。 【設定】Framingham Heart Study、Prevention of Renal and Vascular End-stage Disease StudyおよびMulti-Ethnic Study of Atherosclerosis。 【参加者】若年者(55歳未満、1万1,599例)、中年者(55~64歳、5,587例)、前期高齢者(65~74歳、5,190例)、後期高齢者(75歳以上、2,299例)で層別化した心不全既往歴のない参加者計2万4,675例。 【主要評価項目】心不全発症率。 【結果】追跡調査期間中央値12.7年間にわたり、若年者138例(1%)、中年者293例(5%)、前期高齢者538例(10%)、後期高齢者412例(18%)が心不全を発症した。若年者では、心不全発症例の32%(44例)が駆出率が保たれた心不全に分類されたのに対して、後期高齢者では43%(179例)であった。若年者では高齢者と比べて、高血圧、糖尿病、現在の喫煙、心筋梗塞の既往歴などの危険因子があると相対リスクが高かった(全体の交互作用のP<0.05)。例えば、高血圧があると、若年者では心不全リスクが3倍になり(ハザード比3.02、95%CI 2.10~4.34;P<0.001)、それに対して後期高齢者ではリスクが1.4倍になった(1.43、1.13~1.81、P=0.003)。心不全発症の絶対リスクは、危険因子の有無に関係なく、若年者の方が高齢者よりも低かった。若年者の方が高齢者よりも危険因子の人口寄与危険割合が高く(75% v 53%)、モデル適合度も良好であった(C index 0.79 v 0.64)。同様に、肥満(21% v 13%)、高血圧(35% v 23%)、糖尿病(14% v 7%)、現在の喫煙(32% v 1%)の集団寄与危険割合は高齢者よりも若年者の方が高かった。 【結論】若年者の方が高齢者よりも心不全の発症率と絶対リスクが低いが、修正可能な危険因子との関連が強く寄与危険度が大きいことから、成人期にわたる予防努力の重要性が浮き彫りになった。 第一人者の医師による解説 心不全予防には生涯にわたるリスク管理が重要 ハザード比は診療に有用 諸井 雅男 東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野(大橋)教授 MMJ. October 2021;17(5):142 若年者は高齢者に比べ心不全発症率が低いことは知られているが、年齢別に心不全発症と肥満、高血圧および糖尿病などの危険因子との関係は検討されていなかった。先行研究では、電子健康記録を用いた研究で、若年者では心不全を含む心血管疾患発症や血圧上昇の相対リスク低下が認められたことや、心不全患者を対象とした研究で、若年患者は肥満、男性、糖尿病既往者で多くみられることは報告されていた(1),(2)。 本論文は、一般集団における心不全の年齢別危険因子を評価するため、米国のFramingham Heart Study、オランダのPrevention of Renal and Vascular End-stage Disease(PREVEND)研究、米国のMulti-Ethnic Study of Atherosclerosis(MESA)のデータを統合解析したコホート研究の報告である。対象者は心不全歴のない24,675人で、若年者(55歳未満、11,599人)、中年者(55~64歳、5,587人)、前期高齢者(65~74歳、5,190人)、後期高齢者(75歳以上、2,299人)に層別化し、心不全の発症について追跡期間中央値12.7年において評価した。 その結果、高血圧、糖尿病、現在の喫煙、および心筋梗塞の既往といった危険因子は、高齢者と比較し、若年者でその相対的寄与が大きかった。例えば高血圧は、若年者の将来的心不全リスクを3倍上昇させたのに対し、後期高齢者では1.4倍の上昇であった。心不全発症の絶対リスクは、危険因子にかかわらず、高齢者より若年者のほうが低かった。 心不全患者が増加し続けている中で、その年齢に応じて具体的なリスクの数字を示したことは診療に有用である。50歳の男性が健診で高血圧を指摘されて受診した場合に、我々医療者は単に生活習慣の是正と降圧薬の服用を考慮するだけではなく、「高血圧者は正常血圧者に比べ12年後には3倍の心不全発症リスクがある」ことを患者に伝えることができる。一方、75歳ではそのリスクは1.4倍である。このことは、患者の価値観や希望と併せて、医療者はその介入の程度を考慮する際の1つの情報となり、その上での治療は生活の質(QOL)を高めることにつながる。人生100年時代を迎え、生命予後のみならず若年から年齢を重ねた時のQOLを考慮しそのリスク管理により心不全を予防することは、医療者には極めて重要と考える。 1. Rosengren A, et al. Eur Heart J. 2017;38(24):1926-1933. 2. Christiansen MN, et al. Circulation. 2017;135(13):1214-1223.
世界の高血圧有病率、治療率、コントロール率の傾向(地域住民研究1201件のプール解析 ; 1990-2019年)
世界の高血圧有病率、治療率、コントロール率の傾向(地域住民研究1201件のプール解析 ; 1990-2019年)
Worldwide trends in hypertension prevalence and progress in treatment and control from 1990 to 2019: a pooled analysis of 1201 population-representative studies with 104 million participants Lancet. 2021 Sep 11;398(10304):957-980. doi: 10.1016/S0140-6736(21)01330-1. Epub 2021 Aug 24. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】高血圧はプライマリーヘルスケアレベルで発見することができ、低コストの治療で効果的に高血圧をコントロールすることができる。我々は,200の国と地域について,1990年から2019年までの高血圧の有病率とその発見,治療,コントロールの進展を測定することを目的とした。 【方法】我々は,血圧の測定と血圧治療に関するデータを有する人口代表研究からの30~79歳の人々に関する1990年から2019年のデータを使用した。収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上、または高血圧の薬を服用していることを高血圧と定義しました。ベイズ型階層モデルを適用して,高血圧の有病率と,高血圧の診断歴があり(検出),高血圧の治療を受けており(治療),高血圧が140/90 mm Hg未満にコントロールされている(コントロール)人の比率を推定した.モデルは,経時的な傾向が非線形であり,年齢によって異なることを許容した。 発 見】高血圧を有する30~79歳の人々の数は,世界の年齢標準化有病率が安定しているにもかかわらず,1990年の女性331(95%信頼区間306~359)万人と男性317(292~344)万人から2019年には女性626(584~668)万人と男性652(604~698)万人に倍加している。2019 年の年齢標準化高血圧有病率は,男女ともカナダとペルーで最も低く,女性は台湾,韓国,日本,スイス,スペイン,英国など西ヨーロッパの一部の国で,男性はエリトリア,バングラデシュ,エチオピア,ソロモン諸島などいくつかの低所得国および中所得国で低かった.高血圧の有病率は、女性では2カ国、男性では中・東欧、中央アジア、オセアニア、ラテンアメリカの9カ国で50%を超えています。世界的に見ると、2019年に高血圧の女性の59%(55~62人)と男性の49%(46~52人)が高血圧の診断歴を報告し、女性の47%(43~51人)と男性の38%(35~41人)が治療を受けていた。2019年の高血圧の人のコントロール率は、女性が23%(20-27)、男性が18%(16-21)でした。2019年の治療率およびコントロール率は、韓国、カナダ、アイスランドが最も高く(治療率70%以上、コントロール率50%以上)、米国、コスタリカ、ドイツ、ポルトガル、台湾がそれに続いていた。ネパール,インドネシア,サハラ以南のアフリカとオセアニアの一部の国では,治療率は女性で25%未満,男性で20%未満であった。これらの国の女性と男性、および北アフリカ、中央・南アジア、東ヨーロッパの一部の国の男性では、コントロール率が10%を下回っていました。1990年以降,ほとんどの国で治療率とコントロール率が向上しているが,サハラ以南のアフリカとオセアニアのほとんどの国では,ほとんど変化がないことがわかった.高所得国,中央ヨーロッパ,およびコスタリカ,台湾,カザフスタン,南アフリカ,ブラジル,チリ,トルコ,イランなどの一部の上位中所得国や最近の高所得国での改善が最も大きかった。 【解釈】高血圧の発見,治療,管理における改善は国によって大きく異なり,一部の中所得国は現在ほとんどの高所得国を凌駕している。一次予防による高血圧の有病率の低下と治療およびコントロールの強化という二重のアプローチは、高所得国だけでなく低所得国や中所得国の環境でも達成可能である。 第一人者の医師による解説 世界の高血圧人口はこの30年でほぼ倍増し、国ごとのばらつきが極めて大きい 苅尾 七臣 自治医科大学循環器内科学部門教授 MMJ. April 2022;18(2):41 本論文は、世界184カ国の地域住民データをプール解析したNCD Risk Factor Collaborationの報告である。今回の報告でまず驚くことは、高血圧人口(30 ~ 79歳)はこの30年でほぼ倍増したことである。次に、国ごとのばらつきが極めて大きい点である。人口増加の偏りもあり、2019年の高血圧人口の82%は低・中所得国の住民が占めていた。高血圧有病率も、低・中所得国で上昇、高所得国で低下する傾向にあるが、状況は国ごとにばらつきが大きく、高所得国でも有病率を抑制できていない国がある一方で、低・中所得国の中にも高血圧有病率の低い国がみられた。有病率に関与する因子としては、地域の風土、食文化、高血圧制圧に向けた国家の取り組みなどが考えられるが、これらを積極的に同定し、各国でいっそう取り組む必要がある。 また、高血圧コントロール率(降圧薬服用下 で140/90 mmHg未満)の上昇が高血圧人口の増加に追い付いていないことも明らかになった。2019年の世界のコントロール率は女性23%、男性18%であった。アジアでは韓国で治療率・コントロール率が高く、ネパールやインドネシアでは低かった。アジア・パシフィックで高所得国に分類される3カ国に比べ、その他の東アジア・東南アジア地域の国(低・中所得国)では血圧が高いにもかかわらず高血圧と診断されていない住民の割合が高く(29 ~ 34% vs 46 ~ 55%)、コントロール率は低かった(31 ~ 38% vs 13 ~ 17%)。これは南アジアでも同様であった(高血圧だが診断歴なし55 ~ 67%、コントロール率11 ~ 17%)。アジアの高血圧治療・コントロール状況を改善するには、まず血圧測定機会を増やし、高血圧を早期に発見し、適切に治療を行うことが重要である。ちなみに日本の高血圧有病率、治療率、コントロール率は女性でそれぞれ23、51、30%、男性でそれぞれ40、46、24%であり、アジア・パシフィック地域で高所得国に分類される3カ国中、治療率・コントロール率ともに最下位であり、決して優等生とは言い難い。 これまで、我々はアジア各国の高血圧専門家有志で作るHOPE Asia Networkで同一の家庭血圧計を用いて、アジア 11カ国・地域、15施設で家庭血圧コントロール状況を調査するAsiaBP@Home研究を行った。家庭血圧コントロール状況は36〜84%とばらつきが大きいものの、コントロール状況は比較的良好であった(1)。したがって、欧米と比較し、日本を含むアジアには早朝・夜間高血圧が多いという特徴があるが(2)、コントロール率は改善できると思われる。 1. Kario K, et al. J Clin Hypertens. 2018;20(12):1686-1695. 2. Kario K. Essential Manual of 24-Hour Blood Pressure Management: From Morning to Nocturnal Hypertension, 2nd Edition. pp. 1-384. 2022 (WileyBlackwell; ISBN 978-1-119-79936-8400)
メトホルミン内服が早産期の妊娠高血圧腎症に有効な可能性
メトホルミン内服が早産期の妊娠高血圧腎症に有効な可能性
Use of metformin to prolong gestation in preterm pre-eclampsia: randomised, double blind, placebo controlled trial BMJ. 2021 Sep 22;374:n2103. doi: 10.1136/bmj.n2103. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【デザイン】無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験 【設定】南アフリカ共和国、ケープタウンの紹介病院。 【参加者】妊娠26+0週から31+6週の妊娠早期の子癇の女性180人:90人がメトホルミン徐放型、90人がプラセボにランダムに割り付けられた。 【主要評価項目】主要アウトカムは妊娠期間の延長であった 【結果】180人中、1人が試験薬服用前に出産した。無作為化から出産までの期間の中央値は、メトホルミン群で17.7日(四分位範囲5.4-29.4日、n=89)、プラセボ群で10.1日(3.7-24.1、n=90)、中央値の違いは7.6日(幾何平均比1.39、95%信頼区間0.99-1.95、P=0.057)であった。試験薬を任意の用量で継続投与した群では、妊娠期間延長の中央値がメトホルミン群で17.5日(四分位範囲5.4~28.7、n=76)であるのに対し、プラセボ群では7.9日(3.0~22.2、n=74)と、9.6日(幾何平均値 1.67, 95%信頼区間 1.16~2.42 )差が生じました。また、全用量投与群における妊娠期間延長の中央値は、メトホルミン群16.3日(四分位範囲4.8-28.8、n=40)に対してプラセボ群4.8日(2.5-15.4、n=61)、その差11.5日(幾何平均値 1.85 信頼区間 1.14-2.88 )となりました。母体、胎児、新生児の複合アウトカムと可溶性fms様チロシンキナーゼ-1、胎盤成長因子、可溶性エンドグリンの循環血中濃度に差はなかった。メトホルミン群では、出生時体重は有意差なく増加し、新生児室での滞在期間は短縮した。メトホルミン群では下痢が多かったが、試験薬に関連する重篤な有害事象は認められなかった。 【結論】この試験は、さらなる試験が必要であるが、メトホルミン徐放製剤が早産性子癇前症の女性において妊娠期間を延長できることを示唆している。TRIAL REGISTRATION:Pan African Clinical Trial Registry PACTR201608001752102 https://pactr.samrc.ac.za/. 第一人者の医師による解説 血管内皮機能障害を引き起こす蛋白濃度に有意差なし 今後さらなる研究必要 後藤 美希 虎の門病院産婦人科 MMJ. April 2022;18(2):53 妊娠高血圧腎症(pre-eclampsia)とは、妊娠20週以降に初めて高血圧を発症し、かつ蛋白尿を伴う病態、または高血圧と妊娠高血圧症候群関連疾患(子癇やHELLP症候群など)の両方を伴う病態の総称である。日本では20人に1人の割合で発症する比較的よく遭遇する疾患であるが、根本的治療は妊娠の終結しかない(1)。実際の医療現場では母児の命を守るために妊娠の終結を選ぶことになるが、児の予後を考えると少しでも長く妊娠を継続したいというジレンマに遭遇する。特に妊娠32週未満では在胎日数を数日延長できるだけでも児の予後は変わってくる。 本論文は早産期の妊娠高血圧腎症に対してメトホルミンが妊娠期間の延長に寄与するか否かを調べる目的で南アフリカ共和国の病院で実施された、無作為化二重盲検プラセボ対照試験の報告である。妊娠26週から妊娠31週6日に妊娠高血圧腎症と診断された180人を、メトホルミン群とプラセボ群に1:1に割り付けて比較した。メトホルミン群では徐放性メトホルミン 3g/日を1日3回にわけて分娩まで服用を継続した。 メトホルミン 3g/日の服用を継続した群における服用開始から分娩(妊娠の終結)までの期間中央値は16.3日で、プラセボ群の4.8日に比べ延長していた(幾何平均比1.85;95%信頼区間[CI],1.14 ~ 2.88)。服用量を問わずメトホルミンを継続した群の場合、上記期間の中央値は17.5日で、プラセボ群の7.9日に比べ延長していた(幾何平均比1.67;95% CI, 1.16 ~ 2.42)。一方で、妊娠高血圧腎症の病因(2)と考えられている可溶性 fms様チロシンキナーゼ 1、胎盤成長因子(placental growth factor)、可溶性エンドグリンの値は両群間で有意差を認めなかった。児の出生時体重に関して両群間に有意差はなかったが、新生児集中治療室(NICU)入院期間はメトホルミン群で有意に短かった。有害事象はメトホルミン群で下痢が高頻度に発現したが(33% 対6%[プラセボ群])、治験薬に関連する重篤な有害事象は両群ともにみられなかった。著者らの結論としては、メトホルミンは早産期の妊娠高血圧腎症において、妊娠期間の延長に寄与する可能性があるとしている。 今回の報告は現時点では妊娠の終結しか主な治療法がない妊娠高血圧腎症に対して、治療の可能性があることを示唆している。一方で妊娠高血圧腎症に関連する、血管内皮機能障害を引き起こす蛋白の濃度は両群で有意差を認めておらず、今後さらなる研究が必要と思われる。 * HELLP=hemolysis, elevated liver enzymes, and low platelet count 1. 日本産科婦人科学会ウエブサイト:産科・婦人科の病気 / 妊娠高血圧症候群  (https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=6) 2. Levine RJ, et al. N Engl J Med. 2004;350(7):672-683.
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.11(2022年8月4日号)
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.11(2022年8月4日号)
サル痘の臨床的特徴~最新症例報告 南ロンドンのプライマリケアおよびセカンダリケアからの紹介を伴う地域の重篤な感染症センターおよび関連する性的健康センターにおける、2022年5月~7月に確認されたサル痘患者197症例について、その臨床的特徴と症状についてのケースレポートは発表された。 BMJ誌2022年7月28日の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 2型糖尿病患者に対する最適な運動タイミングは? 運動の代謝効果は、運動が行われる時間帯に依存する可能性があるといわれている。運動のタイミングは、2 型糖尿病男性の多組織メタボロームおよび骨格筋プロテオーム プロファイルに影響を及ぼすという仮説について検証が行われた。Metabolism誌オンライン版2022年7月28日の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 老齢マウスの血液を若齢マウスに投与すると… 加齢は多くの慢性疾患における最大のリスク因子である。本研究では、雄マウスによる単一異時性血液交換法を用いて、老化マウスの血液が若齢マウスの細胞・組織の老化を誘導するか観察した。Nature Metabolism誌オンライン版2022年7月28日の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む ”超加工食品”は認知症リスクを上げるか? 超加工食品(Ultra-Processed Foods:糖分や塩分、脂肪を多く含む加工済みの食品。 保存料などを添加し、常温で保存できたり、日持ちを良くしてある食品)の消費と、うつ病、心血管疾患、全死亡などの健康上の有害な転帰とを関連付ける証拠が増えつつある。しかし、超加工食品と認知症との関連については、これまでよくわかっていなかった。英国バイオバンクにおいて超加工食品と認知症発症との関連が調査された。Neurology誌オンライン版2022年7月27日の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 睡眠と高血圧・虚血性脳卒中との関連 英国バイオバンクに登録された高血圧症または脳卒中のない35万8,451名を対象に、日中の仮眠頻度と本態性高血圧症または脳卒中の発症率との関連を調査するとともに、この因果関係を検証するため、前向きコホート研究が実施された。Hypertension誌オンライン版2022年7月25日の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.10(2022年7月28日号) 小児におけるオミクロンに対するファイザー社製COVID-19ワクチンの有効性 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.9(2022年7月21日号) 慢性便秘症に効果的な食物繊維摂取量は?:RCTの系統的レビュー&メタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.8(2022年7月14日号) COVID-19後遺症の有病率、その危険因子とは ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.7(2022年7月7日号) 糖尿病の有無が影響するか、心不全に対するエンパグリフロジンの臨床転帰 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.6(2022年6月30日号) 老化をあざむく方法は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.5(2022年6月23日号) 座位時間と死亡率および心血管イベントとの関連性:低~高所得国での違いはあるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.4(2022年6月16日号) 乳製品やカルシウム摂取量と前立腺がんの発症リスクの関連性:前向きコホート研究 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.3(2022年6月9日号) 運動は脳内RNAメチル化を改善し、ストレス誘発性不安を予防する ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.2(2022年6月2日号) 6〜11歳の子供におけるmRNA-1273Covid-19ワクチンの評価 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.1(2022年5月26日号) SARS-CoV-2オミクロンBA.2株の特性評価と抗ウイルス感受性 ≫その他4本
2017年米国心臓病学会/米国心臓協会血圧ガイドラインを用いた若年成人における血圧分類とその後の心血管イベントとの関連性
2017年米国心臓病学会/米国心臓協会血圧ガイドラインを用いた若年成人における血圧分類とその後の心血管イベントとの関連性
Association of Blood Pressure Classification in Young Adults Using the 2017 American College of Cardiology/American Heart Association Blood Pressure Guideline With Cardiovascular Events Later in Life JAMA 2018 Nov 6 ;320 (17 ):1774 -1782. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【重要】若年成人期の血圧(BP)レベルと中年期までの心血管疾患(CVD)イベントとの関連についてはほとんど知られていない。 【目的】2017年米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)BPガイドラインで定義された高血圧を40歳前に発症した若年成人は、正常血圧維持者と比較してCVDイベントリスクが高くなるかどうかを評価することである。 【デザイン、設定および参加者】1985年3月に開始された前向きコホート研究Coronary Artery Risk Development in Young Adults(CARDIA)研究において解析を実施した。CARDIAでは,米国の4つのフィールドセンター(アラバマ州バーミンガム,イリノイ州シカゴ,ミネソタ州ミネアポリス,カリフォルニア州オークランド)から18~30歳のアフリカ系米国人と白人5115人が登録された。アウトカムは2015年8月まで入手可能であった。 【曝露】初診から40歳以降に最も近い検査までに測定された最高血圧を用いて,各参加者を正常血圧(未治療収縮期血圧[SBP]<120mmHg,拡張期血圧[DBP]<80mmHg:n=2574)に分類した。)BP上昇(未治療のSBP 120-129 mm HgおよびDBP <80 mm Hg;n = 445)、ステージ1高血圧(未治療のSBP 130-139 mm HgまたはDBP 80-89 mm Hg;n = 1194)、またはステージ2高血圧(SBP ≥140 mm Hg, DBP≥90 mm Hg, または降圧剤を服用;n = 638)であった。 【主要評および測定法】CVDイベント:致死性および非致死性の冠動脈性心疾患(CHD),心不全,脳卒中,一過性脳虚血発作,末梢動脈疾患(PAD)への介入。 【結果】最終コホートには成人4851人(アウトカム追跡開始時の平均年齢,35.7歳[SD,3.6];女性2657人[55%];アフリカ系アメリカ人2441人[50%];降圧剤服用206人[4%])を含める。中央値18.8年の追跡期間中に,228件のCVDイベントが発生した(CHD,109件,脳卒中,63件,心不全,48件,PAD,8件)。正常血圧,血圧上昇,ステージ1高血圧,ステージ2高血圧のCVD発生率は,それぞれ1000人年当たり1.37(95%CI,1.07-1.75),2.74(95%CI,1.78-4.20),3.15(95%CI, 2.47-4.02),8.04(95% CI,6.45-10.03 )であった。多変量調整後,BP上昇,ステージ1高血圧,ステージ2高血圧のCVDイベントのハザード比は,正常BPに対してそれぞれ1.67(95%CI,1.01-2.77),1.75(95%CI,1.22-2.53)および3.49(95%CI,2.42-5.05)であった。 【結論と関連性】若年成人において,2017年米国心臓病学会/米国心臓協会(ACC/AHA)ガイドラインの血圧分類で定義された40歳前の血圧上昇,ステージ1高血圧,ステージ2高血圧の者は,40歳前の血圧が正常の者と比較してその後の心血管疾患イベントリスクが有意に高かった。ACC/AHA血圧分類システムは、心血管疾患イベントのリスクが高い若年成人を特定するのに役立つ可能性があります。 第一人者の医師による解説 若年成人の血圧異常への介入と、さらに若い年齢層での研究が必要 粟津 緑 慶應義塾大学医学部小児科非常勤講師 MMJ.April 2019;15(2) 2017年に発表された米国高血圧ガイドラインは、従来の高血圧前症(prehypertension、収縮期血圧 120 ~ 139 /拡張期血圧 80 ~ 89 mmHg) という分類を廃止し、120~129/80mmHg未満を 血圧上昇(elevated blood pressure)、130 ~ 139 /80 ~ 89 mmHgをstage 1 高血圧、 140/90mmHg以上をstage 2高血圧とした。 高血圧の基準が下がったため若年成人の患者数は 2~3倍に増加した。しかしすぐ薬物療法を行うのではなく、まず生活習慣の改善を指導し、その後も改善しなければ、心血管疾患の既往があるか、10 年間の動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスクスコアが10%以上である場合に薬物療法を行うよう推奨されている。これにより降圧薬が必要な患者数はわずかな増加にとどまる。一方、ASCVDリスクスコアは40~79歳を対象に設定されたものであるため、若年成人(40歳未満)の多くはリスクが低く薬物療法の適応にならないという問題がある。 本研究は登録時18~30歳の米国人を対象としたCARDIA研究データに2017年基準を適用し検討した。血圧上昇群およびstage 1高血圧群の心 血管疾患発症リスクは 正常血圧群(120mmHg未 満 /80mmHg未満)に比べて有意にそれぞれ1.67、 1.75倍高かった。 本研究と同様の研究が韓国でも行われ、血圧異常者(血圧上昇と高血圧)の正常血圧者に対するハザード比は米国と同様に有意に上昇していた(1)。中年・老年層における同様の研究は多いがこの2研究は若年成人を対象とした初めての研究である。 両研究に共通した点がいくつかある。まず対象の半数以上が血圧異常に分類された。この理由として血圧測定法が適切でなかった可能性が考えられる。信頼性のある24時間血圧測定は行われていない。若年者では高血圧のレッテルを貼る前に真の高血圧であるか否かを確認することがより望ましい。また血圧上昇群とstage 1高血圧群は正常血圧群に比べBMIが大きく、糖・脂質代謝異常合併も多かった。したがってこれらが心血管疾患発症へ関与した可能性もある。若年血圧異常者には生活習慣の改善指導、糖・脂質代謝異常の是正も重要である。 今後、以上の点を考慮した介入研究が必要である。 また本研究の対象は18~30歳であるが、結果を外挿すると小児・思春期の軽度血圧上昇が将来の心血管リスクになる可能性もある。血圧はトラッキングするからである。小児の血圧基準はパーセ ンタイル値で定義されている。心血管疾患との関係が不明であるため便宜的に定義しているのであるが、本研究を発展させ、臓器障害マーカー(左室 肥大など)を盛り込みつつ成人のように心血管リスクとなる血圧値を設定することが望まれる。 1. Son JS1, et al. JAMA. 2018 Nov 6;320(17):1783-1792.
血圧降下治療の4つの戦略の適格性とその後の心血管疾患の負担:レトロスペクティブ・コホート研究。
血圧降下治療の4つの戦略の適格性とその後の心血管疾患の負担:レトロスペクティブ・コホート研究。
Eligibility and subsequent burden of cardiovascular disease of four strategies for blood pressure-lowering treatment: a retrospective cohort study Lancet 2019 ;394 (10199):663 -671. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】血圧を下げるための世界的な治療勧告は,血圧の閾値によって主に導かれ続けているが,血圧を下げることの利点は血圧スペクトル全体にわたる患者に観察されるという強い証拠があるにもかかわらず,このようなことはない。本研究では,英国を例に,血圧治療の代替戦略の意味を検討することを目的とした。 【方法】心血管疾患を持たない30~79歳のプライマリケア患者を対象に,Hospital Episode StatisticsとOffice for National Statistics死亡率にリンクした英国のClinical Practice Research Datalinkからのデータを用いて,レトロスペクティブ・コホート研究を実施した。治療対象者を決定するための4つの異なる戦略を評価・比較した:2011年英国国立医療技術評価機構(NICE)ガイドライン、または2019年NICEガイドライン案、または血圧のみ(閾値≧140/90mmHg)、または10年予測心血管リスクのみ(QRISK2スコア≧10%)、を使用した。患者は、心血管疾患の診断、死亡、またはフォローアップ期間の終了(2016年3月31日)のうち最も早い発生までフォローアップされた。各戦略について、治療対象となる患者の割合と、治療により予防できる心血管イベント数を推定した。次に,英国の一般集団における10年間に発生するであろう適格性とイベント数を推定した。 【FINDINGS】2011年1月1日から2016年3月31日の間に,コホート内の1 222 670例が中央値4-3年(IQR 2-5-5-2)フォローアップされた。2011年のNICEガイドラインでは271 963例(22-2%)、2019年のNICEガイドライン案では327 429例(26-8%)、血圧閾値140/90mmHg以上基準では481 859例(39-4%)、QRISK2閾値10%以上基準では357 840例(29-3%)が治療対象であった。追跡期間中に32 183人の患者が心血管疾患と診断された(全体の割合:1000人年当たり7-1、95%CI:7-0-7-2)。各戦略の対象患者における心血管イベント発生率は、2011年NICEガイドラインでは1000人年当たり15-2(95%CI 15-0-15-5)、2019年NICEガイドライン案では14-9(14-7-15-1)、血圧閾値のみでは11-4(11-3-11-6)、QRISK2閾値のみでは16-9(16-7-17-1)であった。英国人口に換算すると、2011年NICEガイドラインでは233 152イベント(1イベントを回避するために10年間治療する必要がある患者は28人)、2019年NICEガイドラインでは270 233(29人)、血圧閾値を用いた場合は301 523(38人)、QRISK2閾値を用いた場合は322 921(27人)が回避できると推測されました。 【INTERPRETATION】心血管リスクに基づく戦略(QRISK2≧10%)は、2011年NICEガイドラインより3分の1以上、2019年NICEガイドラインより5分の1以上、イベント回避あたりの治療数に関して同様の効率で心血管疾患イベントを予防できる。 【FUNDING】National Institute for Health Research【FUNDING】国立健康研究所。 第一人者の医師による解説 高血圧ポピュレーション戦略において 絶対リスクは血圧値よりも重要な可能性 田中 正巳(特任講師)/伊藤 裕(教授) 慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科 MMJ.February 2020;16(1) 国民の脳心血管病リスクを低下させるためには、 国民全体の血圧を低い方向へシフトさせるポピュ レーション戦略と同時に、高リスク者に積極的に介入する高リスク戦略も重要である。降圧治療が必要な患者を選定する際の指標として、脳心血管病の絶対リスクと血圧値が一般に用いられ、英国の NICEガイドラインは両者を組み合わせている。 本論文は、英国 で 心血管疾患の 既往 が な い30 ~79歳 の 患者1,222,670人 を 中央値4.3年 間追跡した後ろ向きコホート研究の報告である。 2011年 と19年 のNICEガ イ ド ラ イ ン、血圧 の み(140/90 mmHg以上)、10年間の心血管リス ク(QRISK2スコア 10%以上)のみの4つの戦略 が、降圧治療の適格性、降圧治療で回避しうる心血 管イベント数、治療効率性の観点から比較された。 QRISK2スコアは、年齢、性、民族性、貧困度、BMI、 血圧、脂質、糖尿病、慢性腎臓病、心房細動、関節リ ウマチ、冠動脈疾患の家族歴、喫煙などの要素から算出される。治療効率性は、1件の心血管イベン トを防ぐために10年間治療する必要がある患者数(NNT)に基づいて評価した。その結果、英国全 体では2011NICE、2019NICE、血圧のみ、リス クのみの患者選定によって予防できるイベント数 は そ れ ぞ れ233,152、270,233、301,523、 322,921件、NNTは28、29、38、27と推定され た。したがって、絶対リスクのみによる患者選定は 効率が高く、最も多くの心血管イベントを予防で きると考えられた。 本研究は後ろ向き研究であるため、この結果をもって「絶対リスクのみに基づく戦略が、リスクと血圧を組み合わせた戦略よりも優れている」と結論づけるのは時期尚早であろう。絶対リスク評価 の重要性が新たな手法で示された、と解釈するのが現時点では妥当である。   日本 の 高血圧治療 ガ イ ド ラ イ ン 2019で は、 JALSおよび久山町研究に基づくリスクスコアを用いて脳心血管イベントの絶対リスクを算出し、 診察室血圧を組み合わせてリスク層別化を行った。 リスクの高低に応じて血圧再評価や薬物療法の開始時期を変えている。動脈硬化性疾患予防ガイドラ イン 2019では「吹田スコアによる冠動脈疾患発症予測モデル」から予測されたリスクの高低に応 じて、脂質の管理目標値を変えている。このように 個々の患者に合わせた治療が可能になるため、絶対リスクと血圧、脂質値を組み合わせた日本のガイドラインは高リスク戦略の点では優れている。 一方、ポピュレーション戦略の観点からは、絶対リスクのみに基づく戦略によって脳心血管イベントをどれだけ減らせるのか、本研究と同様の研究を日本で検討する必要もある。
中年期から晩年期の血圧パターンと認知症発症との関連性。
中年期から晩年期の血圧パターンと認知症発症との関連性。
Association of Midlife to Late-Life Blood Pressure Patterns With Incident Dementia JAMA 2019 ;322 (6):535 -545. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【重要】後期血圧と認知の関連は、過去の高血圧の有無と慢性度に依存する可能性がある。長期間の高血圧に続く後期の血圧低下は,認知機能の低下と関連する可能性がある。 【目的】中年期から後期の血圧パターンとその後の認知症,軽度認知障害,認知機能の低下との関連を検討する。 【デザイン、設定および参加者】Atherosclerosis Risk in Communities前向き集団ベースコホート研究では,中年期に4761人が登録され(訪問1,1987~1989),2016~2017年に6回の訪問でフォローアップした(訪問6,)。血圧は、訪問1~5回目(2011~2013年)の間に5回の対面訪問で24年間にわたり調査された。訪問5と6では、参加者は詳細な神経認知評価を受けた。舞台は米国の4つの地域である。メリーランド州ワシントン郡、ノースカロライナ州フォーサイス郡、ミシシッピ州ジャクソン、ミネソタ州ミネアポリス。フォローアップは2017年12月31日に終了。 【曝露】訪問1~5回目の正常血圧、高血圧(140/90mmHg以上)、低血圧(90/60mmHg未満)の縦断パターンに基づく5群。 主要アウトカムと 【測定】主要アウトカムは、Ascertain Dementia-8の情報提供者アンケート、6項目スクリーナーの電話評価、病院退院と死亡診断書コード、訪問6回の神経認知評価に基づいて、訪問5日後の認知症発症となった。副次的アウトカムは、神経認知評価に基づく訪問6日目の軽度認知障害であった。 【結果】参加者4761名(女性2821名[59%]、黒人979名[21%]、訪問5の平均[SD]年齢、75[5]歳、訪問1の平均年齢範囲、44~66歳、訪問5の平均年齢範囲、66~90歳)において、訪問5から6までの間に516(11%)が入認識症例であった。中年期の正常血圧(n=833)と晩年期の参加者の認知症発生率は、100人年当たり1.31(95%CI、1.00-1.72)、中年期の正常血圧と晩年期の高血圧(n=1559)は、100人年当たり1.99(95%CI、1.69-2.32)、中年期の晩年期の高血圧(n=1030)については、2.83(95%CI、2.69-2.72)であった。83(95%CI、100人年当たり2.40-3.35);中年正常血圧および後年低血圧(n = 927)、2.07(95%CI、100人年当たり1.68-2.54);および中年高血圧および後年低血圧(n = 389)、4.26(95%CI、100人年当たり3.40-5.32)であった。中年期および後期高血圧群(ハザード比[HR]、1.49[95%CI、1.06-2.08])および中年期高血圧および後期低血圧群(HR、1.62[95%CI、1.11-2.37])では正常血圧を維持した人々と比較してその後の認知症のリスクが有意に増加した。後期血圧に関係なく、中年期の持続性高血圧は認知症リスクと関連していた(HR、1.41[95%CI、1.17-1.71])。中年期と晩年期に正常血圧であった人と比較して,中年期の高血圧と晩年期の低血圧を有する参加者のみが,軽度認知障害(37人の罹患者)のリスクが高かった(オッズ比,1.65[95%CI,1.01-2.69])。BPパターンと晩年の認知機能変化との有意な関連は認められなかった。 【結論と関連性】長期追跡を行ったこの地域ベースのコホートでは,中年から晩年にかけての持続的高血圧と,中年および晩年の正常血圧と比較して中年高血圧および晩年低血圧のパターンは,その後の認知症のリスク上昇と関連していた。 第一人者の医師による解説 中年期から高齢期の血圧変動管理 認知症発症促進因子として重要 松村 美由起 東京女子医科大学附属成人医学センター脳神経内科講師 MMJ.April 2020;16(2) 認知症危険因子の1つとして高血圧が指摘されている。中年期における高血圧は、高齢期の認知症や認知機能低下の危険因子とされ、積極的治療が推進されているが、高齢期の血圧が認知機能に及ぼす影響および認知症発症との関連について十分な エビデンスは確立されていない。本論文は、中年期から高齢期にかけての血圧値の経年的変化と高齢期の認知機能低下および認知症発症との関連を検討した米国の地域住民対象コホート研究の報告で ある。 平均年齢44~66歳(平均54歳)の住民15,792 人に対して24年間にわたり血圧測定と認知機能検査を実施した。高血圧は140/90 mmHg超、低血圧は90/60 mmHg未満と定義し、認知機能は包括的心理バッテリーにより記憶、処理速度、実行機能、言語機能を加えて情報提供者へのインタビュー により評価した。1987~89年を初回調査とし、以降3年ごとに4回の血圧を中年期、その15年後とさらにその3年後の2回の調査を高齢期の血圧 とした。 中年期と高齢期の血圧を①中年期から高齢期まで正常血圧②中年期正常血圧、高齢期高血圧③ 中年期から高齢期まで高血圧④中年期正常血圧、高齢期低血圧⑤中年期高血圧、高齢期低血圧の5つのパターンに分類した。最終的に516人(11%)が 認知症を発症した。100人・年あたりの認知症発症率は、①は1.31、②は1.99、③は2.83、④は 2.07、⑤は4.26であった。③のハザード比は1.49、 ⑤は1.62であり、中年期から高齢期まで正常血圧を維持した群に比べ、中年期・高齢期とも高血圧の群と中年期高血圧・高齢期低血圧の群において認知症発症リスクが有意に高まっていた。 慢性的な血圧高値は脳循環自動調節能の異常や脳の小血管障害などを生じることが知られており、本研究の結果から中年期高血圧に伴うこうした脳の異常が認知症リスクを高めた可能性が推察される。一方、高齢期の血圧低下は、心循環機能障害や自律神経シグナル伝達の異常、動脈硬化によると推測されるが、高齢者は降圧薬を服用している割合も高く、晩年期低血圧は降圧薬の過剰投与によりもたらされた可能性も考えられる。脳循環自動調節能の障害がある場合、全身の血圧低下が脳血流低下を来しやすく、結果として認知機能低下に至った可能性もある。 本研究では、中年期高血圧で認知症発症例の脱落数が多く、病型診断との関連性が評価されていないなどの課題が残り、今後さらなる検証が必要である。
2017 ACC/AHA血圧ガイドラインで定義した孤立性拡張期高血圧症と心血管転帰発症との関連
2017 ACC/AHA血圧ガイドラインで定義した孤立性拡張期高血圧症と心血管転帰発症との関連
Association of Isolated Diastolic Hypertension as Defined by the 2017 ACC/AHA Blood Pressure Guideline With Incident Cardiovascular Outcomes JAMA. 2020 Jan 28;323(4):329-338. doi: 10.1001/jama.2019.21402. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【重要性】2017年米国心臓病学会・米国心臓協会(ACC/AHA)ガイドラインでは、高血圧症の定義を血圧140/90mmHg以上から130/80mmHg以上に引き下げた。新たな拡張期血圧閾値80mmHgは、専門家の意見と孤立性拡張期高血圧症(IDH)の定義変更を基に推奨された。 【目的】米国のIDH有病率を2017 ACC/AHAと2003年米国合同委員会(JNC7)による定義で比較し、IDHと転帰の横断的および縦断的な関連を明らかにすること。 【デザイン、設定および参加者】米国国民健康栄養調査(NHANES 2013~2016年)の横断的解析および動脈硬化症リスク(ARIC)試験(1990~1992年に調査開始、2017年12月31日まで追跡)の縦断的解析。縦断的結果を2つの外部コホート――(1)NHANES III(1988~1994年)とNHANES 1999~2014、(2)Give Us a Clue to Cancer and Heart Disease(CLUE)IIコホート(1989年に調査開始)――を用いて検証した。 【曝露】2017 ACC/AHA(収縮期血圧130mmHg未満、拡張期血圧80mmHg以上)とJNC7(収縮期血圧140mmHg未満、拡張期血圧90mmHg以上)で定義したIDH。 【主要転帰および評価項目】米国成人のIDH有病率および2017 ACC/AHAガイドラインによりIDHに対する薬物治療を推奨された米国成人の割合。ARIC試験では、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)、心不全、慢性腎臓病(CKD)の発症リスク。 【結果】被験者集団はNHANESから9590例(調査開始時の平均年齢49.6歳、52.3%が女性)とARIC試験から8703例(調査開始時の平均年齢56.0歳、57.2%が女性)を対象とした。NHANESのIDH推定有病率は2017 ACC/AHAガイドライン定義で6.5%、JNC7定義で1.3%だった(絶対差5.2%、95%CI 4.7~5.7%)。新たにIDHに分類された被験者のうち推定0.6%(95%CI 0.5-0.6%)がガイドラインの降圧治療の基準を満たした。正常血圧のARIC試験参加者と比べると、2017 ACC/AHA定義によるIDHにASCVD(1386件、追跡期間中央値25.2年、HR 1.06、95%CI 0.89~1.26)、心不全(1396件、HR 0.91、95%CI 0.76~1.09)、CKD(2433件、HR 0.98、95%CI 0.65~1.11)の発症リスクとの有意な関連が認められなかった。2件の外部コホートでもまた、心血管死との関連が否定的であった[例:2017 ACC/AHA定義によるIDHのHRがNHANES(1012件)で1.17、95%CI 0.87~1.56、CLUE II(1497件)で1.02、95%CI 0.92~1.14]。 【結論および意義】米国成人を対象とした本解析では、IDHの推定有病率は2017 ACC/AHA血圧ガイドラインの定義の方がJNC7ガイドラインよりも高かった。しかし、IDHによる心血管転帰のリスクの有意な上昇は見られなかった。 第一人者の医師による解説 拡張期血圧がIDH基準の80mmHg以上なら経過観察を 下澤 達雄 国際医療福祉大学医学部臨床検査医学主任教授 MMJ. October 2020; 16 (5):130 数年に1度、高血圧診療ガイドラインは改訂されており、日本でも2019年に新しい版が発行された(1)。日本と米国のガイドラインで大きく異なる点は高血圧の定義となる血圧の臨床判断値であろう。日本は従来どおりの140/90mmHgを高血圧の臨床判断値としているが、米国は2017年のACC/AHAガイドラインで130/80mmHgへと変更した。これに伴い、2003年 のJoint National Committee(JNC7)において拡張期血圧90mmHg以上かつ収縮期血圧140mmHg未満としていた孤立型拡張期高血圧症(isolated diastolic hypertension; IDH)の定義が拡張期血圧80mmHg以上かつ収縮期血圧130mmHg未満に変更された。その結果、米国のデータベースを用いた今回の横断的調査によると、IDHの頻度 は1.3%(2003 JNC7)から6.5%(2017ACC/AHA)へと上昇し、治療介入対象者が増える結果となった。しかし、Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)試験参加者のデータを再解析したところ、新しいIDHの定義は心血管イベントや慢性腎臓病(CKD)発症リスク、死亡リスクとの関連において従来の定義より優れていることは示されなかった。  疫学調査では拡張期血圧が75mmHgを超えると徐々に心血管イベントが増加することから、ACC/AHAガイドラインでは高血圧の臨床判断値を80mmHgに引き下げた。しかし、IDHの収縮期血圧は130mmHg未満であり、平均血圧にすると拡張期、収縮期とも130/80mmHgを超える例より低くなる。また、介入試験においてHOT試験(2)のように拡張期血圧を90mmHgまたは80mmHgまで下げても心血管イベント抑制効果に差は認められないといった報告もある。つまり、観察研究と介入研究で差異がある。  さらに、今回の検討ではIDHの定義を満たす成人の年齢構成は55歳未満が多くなっている。また従来の定義で診断されるIDHに比べ、低比重リポ蛋白(LDL)-コレステロール値、トリグリセリド値が低く、脂質異常症に対する介入割合が高く、推算糸球体濾過量(eGFR)も高くなっている。ウィンドケッセルモデルからもわかるように若年高血圧患者では血管の弾力性が保たれているため拡張期血圧は高くなりやすい。そのため心血管リスクとしてのIDHの意義が薄れていた可能性も考えられる。  この結果から拡張期血圧は放置してよいということにはならず、米国のIDHの基準であれば経過観察を行い、収縮期血圧が上がってくるようであれば生活習慣の改善から介入を進めるべきであろう。 1. 高血圧診療ガイドライン 2019 年版(日本高血圧学会編) 2. Hansson L et al. Lancet. 1998;351(9118):1755‐1762.
食事摂取によるナトリウムの減量と減量期間が血圧レベルに及ぼす影響:システマティックレビューとランダム化試験のメタアナリシス
食事摂取によるナトリウムの減量と減量期間が血圧レベルに及ぼす影響:システマティックレビューとランダム化試験のメタアナリシス
Effect of dose and duration of reduction in dietary sodium on blood pressure levels: systematic review and meta-analysis of randomised trials BMJ. 2020 Feb 24;368:m315. doi: 10.1136/bmj.m315. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 目的: 食事で摂るナトリウムの減量と血圧変化の用量反応関係を調べ、介入期間の影響を調査することを目的としました。 デザイン: PRISMAガイドラインに基づいてシステマティックレビューとメタ分析を行うデザインとしました。 データソース: Ovid MEDLINE(R)、EMBASE、Cochrane Central Register of Controlled Trials(Wiley)、そして2019年1月21日までの関連記事の参照リストをデータソースとしました。 試験選択の適格基準: 24時間尿中ナトリウム排泄量で評価したナトリウム摂取量を成人集団間で比較したランダム化試験を組み入れました。 データの抽出と分析: 3人のレビューアのうち2人が、個々にデータの適格性に関するスクリーニングを行いました。1人のレビューアが全てのデータを抽出し、他の2人がデータの正確性をレビューしました。レビューアは、ランダム効果メタ分析、サブグループ分析、およびメタ回帰分析を実行しました。 結果: 12,197人の対象者を含む133の研究が組み入れられました。24時間尿中ナトリウム排泄量、収縮期血圧(SBP)、および拡張期血圧(DBP)の平均低下(ナトリウム低下群 vs. ナトリウム通常量群)は130mmol(95%CI:115〜145、P<0.001)、 4.26mmHg(3.62〜4.89、P<0.001)、および2.07mmHg(1.67〜2.48、P<0.001)でした。24時間尿中ナトリウム排泄量が50mmol低下するごとに、SBPは1.10mmHg(0.66〜1.54; P<0.001)低下し、DBPは0.33mmHg(0.04〜0.63; P=0.03)低下しました。 血圧の低下は、高血圧および非高血圧にかかわらず、調査対象となった多様な集団で観察されました。24時間尿中ナトリウム排泄量の低下が同一の集団間で比較したところ、高齢者、非白人、そしてベースラインSBPレベルが高い集団でより大きなSBP低下が認められました。15日未満の試験では、24時間尿中ナトリウム排泄量が50mmol低下するごとに、1.05mmHg(0.40〜1.70; P=0.002)のSBP低下が見られ、より長い期間の研究で観察された血圧低下の半分未満でした(2.13 mmHg; 0.85〜3.40; P=0.002)。それ以外については、試験期間とSBP低下の間に関連性は認められませんでした。 結論: ナトリウム減量によって達成された血圧低下の程度は、用量反応関係を示し、高齢者、非白人、ベースライン時に高い血圧を示した集団でより顕著でした。短期間の研究では、ナトリウム減量が血圧に及ぼす影響は過小評価されていました。 システマティックレビュー登録: PROSPEROCRD42019140812 出版はBMJ Publishing Group Limitedです。使用許可については(ライセンス未取得の場合)、http://group.bmj.com/group/rights-licensing/permissions へアクセスしてください。 利益相反: すべての著者は、www.icmje.org /coi_disclosure.pdfにあるICMJE統一開示フォームに記入し、以下を宣言します:提出された研究に対していかなる組織からの助成を受けていません。本研究以外では、BNは中国のSalt ManufacturingCompanyとNutekから試験の塩の補充を受けています。MWは、オーストラリア国立健康医学研究財団のグラント(1080206および1149987)によってサポートされており、アムジェン、キリンから謝金を受けています。NRCCは、World Action on Salt and Healthの無償メンバーであり、多くの政府/非政府組織におけるナトリウム接種と高血圧管理に関するコンサルタントを行っています。AALは、Hypertension Canada New InvestigatorAwardによって資金提供されています。FJHは、塩と健康に関するコンセンサスアクション(CASH)および塩と健康に関する世界アクション(WASH)のメンバーです。 CASHとWASHはどちらも非営利の慈善団体であり、FJHはCASHまたはWASHからの財政的支援を受けていません。GAMは、Blood Pressure UK (BPUK)の議長、Consensus Action on Salt and Health (CASH) の議長、およびWorld Action on Salt and Health (WASH)の議長を務めています。 BPUK、CASH、WASHは非営利の慈善団体であり、GAMはこれらの団体から財政的支援を受けていません。 第一人者の医師による解説 これまでの研究のメタ解析 降圧に国民的減塩政策の有用性を示唆 平田 恭信 東京逓信病院・名誉院長 MMJ. October 2020; 16 (5):132 食塩の過剰摂取が素因のある人では高血圧を招来することは周知である。同時に食塩摂取量の減少が血圧を低下させることも多くの研究で示されてきた。しかしこれをもってすべての人に減塩を勧めることに対してはいまだ異論も少なくない。それは減塩による降圧効果が高血圧者あるいは食塩の多量摂取者だけに認められるとの最近の報告に代表される(1)。  本研究ではこれまでの減塩と血圧変化との関係を調べた研究のメタ解析によって、減塩による降圧効果はどのような人に認められるのか、減塩の程度や期間と降圧効果の大きさについて検討している。いつも問題になるのは減塩の評価法である。主流は食事内容から算出する方法と尿中ナトリウム排泄量を測定する方法である。最近は簡便性のためスポット尿でクレアチニン補正をすることが多くなったが、それは誤差が多いとして今回は24時間尿中ナトリウム排泄量を測定した論文だけを解析している。その結果、減塩により老若男女、高血圧の有無を問わず一定の血圧低下が認められた。解析した133論文の平均値では、130mmol/日のナトリウム摂取量減少によって収縮期 /拡張期血圧は4.26/2.07mmHg低下したという。必ずしも大きな降圧値ではないが、拡張期血圧がわずか2mmHg下がると心血管イベントの発症は10~20%も減少することが知られている(2)。  また、その効果は血圧値が高いほど、減塩量が多いほど、高齢者、非白人で大きかった。ここまでの結果は予想の範囲内であったが、減塩期間が2週間以内では降圧効果が十分に発揮されず、さらなる期間の延長によって降圧値が倍加したというのは新知見であろう。DASH研究でも4週目の降圧がそれまでの週より大きかったという報告に合致する(3)。減塩効果を厳密に測定しようとすると入院下の観察あるいはそれに準じた監視が必要になる。それにはどうしても2週間くらいが限度と思われるからである。  我々日本人は食塩大好き国民であり、昔よりは改善したといっても依然11g/日以上の食塩を摂取していて世界保健機関(WHO)の勧めている5g/日未満とは隔たりがある。英国では減塩政策により遠大な計画のもと巧妙な食品メーカーの誘導が成功して食品中の減塩により、心血管病ならびに医療費が減少した。わが国でも国民をあげての減塩政策は高血圧の予防あるいは発症の遅延に有用であろう。 1. Mente A et al. Lancet. 2018;392:496-506. 2. Czernichow S et al. J Hypertens. 2011;29:4-16. 3. Juraschek SP et al. Hypertension. 2017;70:923-929.
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.18(2022年9月22日号)
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メタボを防ぐ腸内細菌に対して、最も悪影響を及ぼす食事は? 腸内細菌がメタボリックシンドロームを調節する仕組みは、完全には解明されていない。著者らは、腸内細菌が常在菌特異的なTh17細胞を誘導することにより、肥満、メタボリックシンドローム、および糖尿病予備軍の発症を防ぐことを示し、メタボリックシンドロームのリスクとなる食事と細菌叢、そのメカニズムを明らかにした。Cell誌2022年9月15日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 高齢者におけるオピオイド処方は、認知機能に影響を及ぼすのか オピオイドは高齢者の疼痛緩和のために頻繁に処方されているが、長期的な認知機能との関係はよくわかっていない。高齢者の集団ベースコホート研究Mayo Clinic Study of Agingに参加した、2004年11月1日から2019年4月1日の間にオピオイド処方を受けた2,977人の分析において、処方オピオイド、全般的認知機能およびドメイン特異的認知機能、軽度認知障害間の関連性が評価された。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2022年9月18日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 生後6ヶ月から6歳未満の小児に対するデュピルマブの投与の有効性と安全性 局所療法でコントロール不良な、中等度から重度のアトピー性皮膚炎と診断された生後6か月から6歳未満の小児を対象に、低力価の局所ステロイドクリームを併用したデュピルマブの有効性と安全性を評価するための、無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験が実施された。Lancet誌2022年9月17日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 心血管疾患の二次予防に、ポリピルは有効か? 心筋梗塞後の心血管死や合併症の二次予防の簡便なアプローチとして、予後改善に関連する主要薬剤(アスピリン、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、スタチン)の多剤併用(ポリピル)が提案されている。 ポリピル群と通常治療群の主要な有害心血管イベントリスクを比較した試験結果が報告された。The New England Journal of Medicine誌2022年9月15日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 超低用量4剤併用療法は、高血圧治療の新たな選択肢となるか?〜QUARTET USA 高血圧患者の半数以上は、血圧コントロールのために多剤併用療法を必要としているが、単剤療法と比較してアドヒアランスが低く、副作用が多くなる可能性がある。そこで、通常用量の1/4量の4剤(カンデサルタン2mg、アムロジピン1.25mg、インダパミド0.625mg、およびビソプロロール2.5mg)を合剤とした併用療法と、標準用量の単剤療法の効果・健康関連QOLを比較するためのQUARTET USA試験の研究デザインが公表された。American Heart Journal誌オンライン版2022年9月15日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.17(2022年9月15日号) セレブからも注目されているプチ断食は、ダイエットや心血管代謝に良い影響を及ぼすのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.16(2022年9月8日号) 長生きできる紅茶の摂取量は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.15(2022年9月1日号) ゼロカロリー甘味料は、耐糖能に影響を及ぼさないのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.14(2022年8月25日号) ゼロカロリー甘味料は、耐糖能に影響を及ぼさないのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.13(2022年8月18日号) 運動後の摂取はゆで卵、生卵どちらの摂取が有用か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.12(2022年8月11日号) 慢性腰痛を軽減する最良の運動オプションとは~RCTのネットワークメタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.11(2022年8月4日号) サル痘の臨床的特徴~最新症例報告 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.10(2022年7月28日号) 小児におけるオミクロンに対するファイザー社製COVID-19ワクチンの有効性 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.9(2022年7月21日号) 慢性便秘症に効果的な食物繊維摂取量は?:RCTの系統的レビュー&メタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.8(2022年7月14日号) COVID-19後遺症の有病率、その危険因子とは ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.7(2022年7月7日号) 糖尿病の有無が影響するか、心不全に対するエンパグリフロジンの臨床転帰 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.6(2022年6月30日号) 老化をあざむく方法は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.5(2022年6月23日号) 座位時間と死亡率および心血管イベントとの関連性:低~高所得国での違いはあるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.4(2022年6月16日号) 乳製品やカルシウム摂取量と前立腺がんの発症リスクの関連性:前向きコホート研究 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.3(2022年6月9日号) 運動は脳内RNAメチル化を改善し、ストレス誘発性不安を予防する ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.2(2022年6月2日号) 6〜11歳の子供におけるmRNA-1273Covid-19ワクチンの評価 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.1(2022年5月26日号) SARS-CoV-2オミクロンBA.2株の特性評価と抗ウイルス感受性 ≫その他4本
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.19(2022年9月29日号)
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免疫チェックポイント阻害剤の奏効率は、食事によって変わるのか? 特定の腸内細菌叢は、がんにおける免疫チェックポイント阻害剤(ICI)に対する反応を増強するが、食事や地域性の影響については、十分に研究されていない。著者らは、オーストラリア、オランダ、アメリカでICIを投与した黒色腫患者の、腸(糞便)微生物叢の特徴と食事パターンについて前向きに観察研究を行い、奏功率や副作用との関連性を分析した。Nature Medicine誌2022年9月22日号オンライン版の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 糖尿病患者に、メトホルミンと何を併用処方すれば良いか:血糖値編 2型糖尿病患者において、目標HbA1c値維持のためにどの血糖降下薬をメトホルミンと併用すべきか、よくわかっていない。そこで、10年未満の間メトホルミンによる治療を受けHbA1c値が6.8~8.5%の2型糖尿病患者5,047名を対象に、①持効型のインスリングラルギン、②SU薬のグリメピリド、③GLP-1受容体作動薬のリラグルチド、④DPP-4阻害薬のシタグリプチン、の4群間で有効性について比較検討された。The New England Journal of Medicine誌2022年9月22日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む スピロノラクトンは、アルコール使用障害(AUD)の新たな治療選択肢となるか? 非選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬であるスピロノラクトンは、アルコール摂取を調節することが示唆されており、アルコール使用障害(AUD)に対する新しい薬物療法となる可能性がある。本研究では、マウス・ラットモデルに対するスピロノラクトンの効果検証を行い、また、米国最大の統合医療システムにおける薬剤疫学的コホート研究において、スピロノラクトンとアルコール摂取量の関連性が調査された。Molecular Psychiatry誌オンライン版2022年9月20日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 高血圧の診断に推奨される血圧カットポイントの違い:米国と欧州のガイドライン比較 2017年の米国心臓病学会/米国心臓協会、および2018年の欧州心臓病学会/欧州高血圧学会による「高血圧/高血圧の管理に関する臨床診療ガイドライン」は、影響力のある文書である。2つのガイドライン間では、「高血圧の診断に推奨される血圧カットポイント」や「治療のタイミングと強度」にも違いがある。今後、2つのガイドラインの一致度が高まり、世界中で高血圧の予防、認識、治療、管理の改善につながることが期待される。Journal of the American College of Cardiology誌2022年9月20日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 脳のインスリン感受性は高められるか? 脳のインスリン抵抗性は,体重や体脂肪に悪影響を与える可能性がある。ヒトにおいて脳のインスリン感受性は回復可能なのか、どのように回復させることができるかは、ほとんど知られていない。座りがちな過体重および肥満の成人を対象に、8週間の指導付き有酸素運動トレーニング介入が行われ、その効果が評価された。JCI Insight誌2022年9月22日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.18(2022年9月22日号) メタボを防ぐ腸内細菌に対して、最も悪影響を及ぼす食事は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.17(2022年9月15日号) セレブからも注目されているプチ断食は、ダイエットや心血管代謝に良い影響を及ぼすのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.16(2022年9月8日号) 長生きできる紅茶の摂取量は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.15(2022年9月1日号) ゼロカロリー甘味料は、耐糖能に影響を及ぼさないのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.14(2022年8月25日号) ゼロカロリー甘味料は、耐糖能に影響を及ぼさないのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.13(2022年8月18日号) 運動後の摂取はゆで卵、生卵どちらの摂取が有用か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.12(2022年8月11日号) 慢性腰痛を軽減する最良の運動オプションとは~RCTのネットワークメタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.11(2022年8月4日号) サル痘の臨床的特徴~最新症例報告 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.10(2022年7月28日号) 小児におけるオミクロンに対するファイザー社製COVID-19ワクチンの有効性 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.9(2022年7月21日号) 慢性便秘症に効果的な食物繊維摂取量は?:RCTの系統的レビュー&メタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.8(2022年7月14日号) COVID-19後遺症の有病率、その危険因子とは ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.7(2022年7月7日号) 糖尿病の有無が影響するか、心不全に対するエンパグリフロジンの臨床転帰 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.6(2022年6月30日号) 老化をあざむく方法は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.5(2022年6月23日号) 座位時間と死亡率および心血管イベントとの関連性:低~高所得国での違いはあるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.4(2022年6月16日号) 乳製品やカルシウム摂取量と前立腺がんの発症リスクの関連性:前向きコホート研究 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.3(2022年6月9日号) 運動は脳内RNAメチル化を改善し、ストレス誘発性不安を予防する ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.2(2022年6月2日号) 6〜11歳の子供におけるmRNA-1273Covid-19ワクチンの評価 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.1(2022年5月26日号) SARS-CoV-2オミクロンBA.2株の特性評価と抗ウイルス感受性 ≫その他4本
認知症~BIBGRAPH SEARCH(2022年10月18日号)
認知症~BIBGRAPH SEARCH(2022年10月18日号)
2025年には日本人高齢者の700万人以上が認知症となると予測されており、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症という時代がすぐそこに迫っている。現時点で認知症は完治困難な疾患であるため、予防やリスク低減が求められる。そこで今回は認知症リスクや予防に関連する最新論文をピックアップしました。認知症リスクと血圧、脂質、腎障害との関係や、降圧薬や抗生物質の使用に関する情報をお届けします。また「日本人高齢者の歯科受診が認知症予防につながる可能性」にも注目です。(エクスメディオ 鷹野 敦夫) 『BIBGRAPH SEARCH』では、エクスメディオが提供する文献検索サービス「Bibgraph」より、注目キーワードで検索された最新論文をまとめてご紹介しています。 アルツハイマー病発症リスクを軽減させる降圧薬は Pan X, et al. Drugs Aging. 2022 Oct 17. [Online ahead of print] ≫Bibgraphを読む 脂質特性は認知症リスクに影響するのか~英国バイオバンクのコホート研究 Gong J, et al. EClinicalMedicine. 2022; 54: 101695. ≫Bibgraphを読む 日本人高齢者の歯科受診が認知症予防につながる可能性~日本人高齢者コホート縦断的研究 Saito M, et al. Dement Geriatr Cogn Disord. 2022 Oct 12. [Online ahead of print] ≫Bibgraphを読む 腎機能と認知症リスクとの関連~英国バイオバンクのコホート研究 Wu XR, et al. J Alzheimers Dis. 2022 Oct 8. [Online ahead of print] ≫Bibgraphを読む 抗生物質の長期使用が認知症リスクに及ぼす影響 Kim M, et al. Front Pharmacol. 2022; 13: 888333. ≫Bibgraphを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.26(2022年11月17日号)
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.26(2022年11月17日号)
マスクは本当に効果があるのか?:学校における検証 2022年2月、マサチューセッツ州は公立学校におけるマスク着用義務を撤回し、多くの学区はその後数週間でマスク着用義務を解除した。ボストン大都市圏では、2022年6月までマスク着用を継続していたのは、ボストン地区と近隣のチェルシー地区の2つの学区のみであった。著者らは、この段階的なマスク着用義務の緩和について、差分の差分分析を用いて、新型コロナウイルス感染者の発生率に対するマスク着用の影響を検討した。The New England Journal of Medicine誌オンライン版2022年11月9日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 人工呼吸器下における最適な酸素飽和度は? 侵襲的人工呼吸器下の重篤な成人患者における酸素飽和度(SpO2)の目標は、依然として不明である。著者らは、侵襲的人工呼吸器下の成人患者を、SpO2の低い目標(90%;:目標範囲88~92%)、中間目標(94%:目標範囲92~96%)、より高い目標(98%:目標範囲96~100%)の3つのグループに分け、いずれのグループが臨床転帰が良いかを検討した。The New England Journal of Medicine誌2022年11月10日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 妊娠中のハードトレーニングは、産後の健康に影響を及ぼすか? 重量挙げ、バルサルバ法、急激なまたは長時間の仰臥位ウェイトリフティングについて、妊娠中の実施は警告されているが、これらは経験的証拠ではなく専門家の意見に基づいたものである。そこで、妊娠中にハードトレーニングを行った679名を対象に、トレーニングと健康アウトカムの調査が行われた。International Urogynecology Journal誌オンライン版2022年11月4日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 高血圧治療のレビュー 高血圧は、130/80mmHg以上と定義され、米国では約1億1,600万人、全世界では10億人以上の成人が罹患している。また、高血圧は、心血管疾患イベント(冠動脈疾患、心不全、脳卒中)および死亡のリスク増加と関連している。本論文では、高血圧治療についてのレビュー結果が報告された。JAMA誌2022年11月8日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 動脈瘤性くも膜下出血に対する抗線溶療法の是非 動脈瘤性くも膜下出血における再出血は、患者の死亡および身体障害の重要な原因であり、動脈瘤破裂部位の線溶活性と関連していると考えられている。2,717名の患者が参加した合計11試験について、動脈瘤性くも膜下出血患者における抗線溶薬投与の効果を評価した、コクランレビュー更新版が公開された。Cochrane Database of Systematic Reviews誌2022年11月9日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.25(2022年11月10日号) キツい筋トレは筋肥大に効果があるのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.24(2022年11月3日号) AIによる膵臓がん予後予測は有用か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.23(2022年10月27日号) 蚊を寄せ付ける体臭は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.22(2022年10月20日号) 片頭痛には有酸素運動、筋トレどちらが有効か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.21(2022年10月13日号) 妊婦の"超加工食品"摂取は子供の神経心理学的発達に影響を及ぼすか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.20(2022年10月6日号) CRPはがんのバイオマーカーになるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.19(2022年9月29日号) 免疫チェックポイント阻害剤の奏効率は、食事によって変わるのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.18(2022年9月22日号) メタボを防ぐ腸内細菌に対して、最も悪影響を及ぼす食事は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.17(2022年9月15日号) セレブからも注目されているプチ断食は、ダイエットや心血管代謝に良い影響を及ぼすのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.16(2022年9月8日号) 長生きできる紅茶の摂取量は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.15(2022年9月1日号) ゼロカロリー甘味料は、耐糖能に影響を及ぼさないのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.14(2022年8月25日号) ゼロカロリー甘味料は、耐糖能に影響を及ぼさないのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.13(2022年8月18日号) 運動後の摂取はゆで卵、生卵どちらの摂取が有用か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.12(2022年8月11日号) 慢性腰痛を軽減する最良の運動オプションとは~RCTのネットワークメタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.11(2022年8月4日号) サル痘の臨床的特徴~最新症例報告 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.10(2022年7月28日号) 小児におけるオミクロンに対するファイザー社製COVID-19ワクチンの有効性 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.9(2022年7月21日号) 慢性便秘症に効果的な食物繊維摂取量は?:RCTの系統的レビュー&メタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.8(2022年7月14日号) COVID-19後遺症の有病率、その危険因子とは ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.7(2022年7月7日号) 糖尿病の有無が影響するか、心不全に対するエンパグリフロジンの臨床転帰 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.6(2022年6月30日号) 老化をあざむく方法は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.5(2022年6月23日号) 座位時間と死亡率および心血管イベントとの関連性:低~高所得国での違いはあるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.4(2022年6月16日号) 乳製品やカルシウム摂取量と前立腺がんの発症リスクの関連性:前向きコホート研究 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.3(2022年6月9日号) 運動は脳内RNAメチル化を改善し、ストレス誘発性不安を予防する ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.2(2022年6月2日号) 6?11歳の子供におけるmRNA-1273Covid-19ワクチンの評価 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.1(2022年5月26日号) SARS-CoV-2オミクロンBA.2株の特性評価と抗ウイルス感受性 ≫その他4本