「脂質異常症」の記事一覧

認知症~BIBGRAPH SEARCH(2022年10月18日号)
認知症~BIBGRAPH SEARCH(2022年10月18日号)
2025年には日本人高齢者の700万人以上が認知症となると予測されており、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症という時代がすぐそこに迫っている。現時点で認知症は完治困難な疾患であるため、予防やリスク低減が求められる。そこで今回は認知症リスクや予防に関連する最新論文をピックアップしました。認知症リスクと血圧、脂質、腎障害との関係や、降圧薬や抗生物質の使用に関する情報をお届けします。また「日本人高齢者の歯科受診が認知症予防につながる可能性」にも注目です。(エクスメディオ 鷹野 敦夫) 『BIBGRAPH SEARCH』では、エクスメディオが提供する文献検索サービス「Bibgraph」より、注目キーワードで検索された最新論文をまとめてご紹介しています。 アルツハイマー病発症リスクを軽減させる降圧薬は Pan X, et al. Drugs Aging. 2022 Oct 17. [Online ahead of print] ≫Bibgraphを読む 脂質特性は認知症リスクに影響するのか~英国バイオバンクのコホート研究 Gong J, et al. EClinicalMedicine. 2022; 54: 101695. ≫Bibgraphを読む 日本人高齢者の歯科受診が認知症予防につながる可能性~日本人高齢者コホート縦断的研究 Saito M, et al. Dement Geriatr Cogn Disord. 2022 Oct 12. [Online ahead of print] ≫Bibgraphを読む 腎機能と認知症リスクとの関連~英国バイオバンクのコホート研究 Wu XR, et al. J Alzheimers Dis. 2022 Oct 8. [Online ahead of print] ≫Bibgraphを読む 抗生物質の長期使用が認知症リスクに及ぼす影響 Kim M, et al. Front Pharmacol. 2022; 13: 888333. ≫Bibgraphを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.31(2022年12月22日号)
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.31(2022年12月22日号)
抗生物質が運動のモチベーションを下げる!? 運動は、健康な生理機能のために幅広い有益な効果をもたらすが、運動のモチベーションを制御するメカニズムはよくわかっていない。我々は、身体活動中のドーパミンシグナル伝達を増強することによって運動パフォーマンスを向上させるマウスの腸脳接続の発見について報告する。Nature誌オンライン版2022年12月14日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 青少年の肥満にもセマグルチドは有用か? GLP-1受容体作動薬であるセマグルチドの週1回2.4mgの皮下投与は、成人の肥満治療に使用されるが、青少年における評価は不足している。著者らは、少なくとも一つの体重関連の併存疾患を持つ12~18歳の過体重または肥満者を対象に、週1回セマグルチド皮下投与のプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を行った。The New England Journal of Medicine誌2022年12月15日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む コエンザイムQ10は脂質異常症に効果あり? 以前のメタ分析では、脂質プロファイルに対するコエンザイムQ10(CoQ10)の効果については議論の余地があると示唆されている。さらに、成人の脂質プロファイルを改善するCoQ10の最適な摂取量を調査したメタ分析はない。そこで、CoQ10の摂取効果有無と最適な摂取量をを検討するため、Web of Science、PubMed/Medline、Embase、およびコクランライブラリーの4つのデータベースを用いた無作為化対照試験のメタ分析が実施された。The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism誌2022年12月17日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む インスリン治療を受けている2型糖尿病患者にも断食は有用かつ安全か? インスリン治療を受けている2型糖尿病患者を対象に、12週間にわたって、1週間のうち連続しない3日を断続的断食(IF:Intermittent Fasting )にあてることの安全性と実現可能性を調査した。無作為化対照試験。Diabetes Care誌オンライン版2022年12月12日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む パキロビッド®は、ワクチン接種済COVID-19患者にも有効か? EPIC-HR(Evaluation of Protease Inhibition for Covid-19 in High-Risk Patients)試験では、ニルマトレルビルとリトナビルの併用により、予防接種を受けていない初期のCOVID-19外来患者の入院または死亡が89%減少した。一方で、ワクチン接種集団におけるニルマトレルビル+リトナビルの臨床的影響は不明である。著者らは、オミクロン禍(2022年1月1日~7月17日)の期間、マサチューセッツ州とニューハンプシャー州の150万人にケアを提供した大規模ヘルスケアシステムを用いてコホート研究を行った。Annals of Internal Medicine誌オンライン版2022年12月13日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.30(2022年12月15日号) 最も糖尿病リスクを軽減する野菜は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.29(2022年12月8日号) リバウンド予防に効果的な食事とは? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.28(2022年12月1日号) 妊娠で母性が宿るか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.27(2022年11月24日号) 精子数の世界的な減少 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.26(2022年11月17日号) マスクは本当に効果があるのか?:学校における検証 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.25(2022年11月10日号) キツい筋トレは筋肥大に効果があるのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.24(2022年11月3日号) AIによる膵臓がん予後予測は有用か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.23(2022年10月27日号) 蚊を寄せ付ける体臭は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.22(2022年10月20日号) 片頭痛には有酸素運動、筋トレどちらが有効か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.21(2022年10月13日号) 妊婦の"超加工食品"摂取は子供の神経心理学的発達に影響を及ぼすか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.20(2022年10月6日号) CRPはがんのバイオマーカーになるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.19(2022年9月29日号) 免疫チェックポイント阻害剤の奏効率は、食事によって変わるのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.18(2022年9月22日号) メタボを防ぐ腸内細菌に対して、最も悪影響を及ぼす食事は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.17(2022年9月15日号) セレブからも注目されているプチ断食は、ダイエットや心血管代謝に良い影響を及ぼすのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.16(2022年9月8日号) 長生きできる紅茶の摂取量は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.15(2022年9月1日号) 顔が似ていると、遺伝情報も似ている!? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.14(2022年8月25日号) ゼロカロリー甘味料は、耐糖能に影響を及ぼさないのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.13(2022年8月18日号) 運動後の摂取はゆで卵、生卵どちらの摂取が有用か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.12(2022年8月11日号) 慢性腰痛を軽減する最良の運動オプションとは~RCTのネットワークメタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.11(2022年8月4日号) サル痘の臨床的特徴~最新症例報告 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.10(2022年7月28日号) 小児におけるオミクロンに対するファイザー社製COVID-19ワクチンの有効性 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.9(2022年7月21日号) 慢性便秘症に効果的な食物繊維摂取量は?:RCTの系統的レビュー&メタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.8(2022年7月14日号) COVID-19後遺症の有病率、その危険因子とは ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.7(2022年7月7日号) 糖尿病の有無が影響するか、心不全に対するエンパグリフロジンの臨床転帰 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.6(2022年6月30日号) 老化をあざむく方法は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.5(2022年6月23日号) 座位時間と死亡率および心血管イベントとの関連性:低~高所得国での違いはあるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.4(2022年6月16日号) 乳製品やカルシウム摂取量と前立腺がんの発症リスクの関連性:前向きコホート研究 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.3(2022年6月9日号) 運動は脳内RNAメチル化を改善し、ストレス誘発性不安を予防する ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.2(2022年6月2日号) 6?11歳の子供におけるmRNA-1273Covid-19ワクチンの評価 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.1(2022年5月26日号) SARS-CoV-2オミクロンBA.2株の特性評価と抗ウイルス感受性 ≫その他4本
脂肪萎縮症~知っておきたい希少疾患
脂肪萎縮症~知っておきたい希少疾患
 脂肪萎縮症は、糖脂質代謝異常と体重減少が同時に認められる希少疾患であり、極めて予後が不良である。これまで疾患認知が十分ではなかったため、治療に難渋する糖尿病などとして治療継続が行われ、診断遅延や見逃されていたケースも少なくないといわれている。今回は、脂肪萎縮症の概要とエスクメディオが新たに開始した「脂肪萎縮症コンサルト」について紹介する。 脂肪萎縮症が疑われる患者像「脂肪萎縮を伴う重度の糖尿病」  脂肪萎縮症とは皮下脂肪や内臓脂肪などの脂肪組織が減少・消失する希少疾患である。遺伝子変異による先天性または家族性と、自己免疫異常などによる後天性のものがあり、それぞれ摂取エネルギー量とは無関係に全身の脂肪組織が減少・消失する全身性と、四肢などの脂肪組織が減少・消失する部分性の脂肪萎縮症に大きく4つに分類される1) 。脂肪萎縮症では脂肪組織が一定以上消失すると糖尿病や高トリグリセリド血症、脂肪肝などの糖脂質代謝異常を発症し、予後に悪影響を及ぼす。とくに、脂肪萎縮症に合併する糖尿病は脂肪萎縮性糖尿病と呼ばれ、重度のインスリン抵抗性を示すのが特徴である2) 。 国内推定患者数約100人、予後は極めて不良  脂肪萎縮症の推定有病率は、米国において約100万人〜500万人に1人と報告されている3) 。日本では、1985年の厚生省特定疾患、難病の疫学調査研究による脂肪萎縮性糖尿病の全国調査の結果および2007年の日本内分泌学会内分泌専門医を対象としたアンケート調査の結果から、有病率は約130万人に1人と推定されており、国内推定患者数は、約100人の非常に稀な疾患であり、指定難病および小児慢性特定疾病に指定されている。脂肪萎縮症患者は糖尿病合併に伴う重度のインスリン抵抗性や糖尿病以外の高トリグリセリド血症から発現する急性膵炎や肝硬変、肥大型心筋症などが死因となることが多く、平均寿命は30~40歳といわれており、極めて予後不良である4) 。 脂肪萎縮と糖脂質代謝異常合併のメカニズム  脂肪の萎縮は、脂肪細胞の発生分化・増殖・機能に関わる遺伝子異常、自己免疫、感染、薬剤、機械的な圧迫、除神経などさまざまな因子により引き起こされる。脂肪萎縮症における脂肪の萎縮は、食事制限、過度の運動、消耗性疾患などにより生じる痩せとは異なり、摂取エネルギー量が過剰な状態であっても改善がみられないのが特徴である。また、脂肪萎縮が全身性または部分性に生じるかについては、脂肪萎縮の病因により決定されると考えられる5) 。  脂肪萎縮症は、脂肪組織が萎縮することで、脂肪組織から分泌されるレプチンが不足した状態となり代謝異常が引き起こされたり、生理機能の減弱に伴い脂肪組織に蓄積出来ない余剰エネルギーが血液循環に留まり、肝臓、骨格筋などの非脂肪組織に脂質として蓄積される。摂食抑制作用を有するレプチンが減少すると、食欲の亢進が認められ、摂取エネルギー量の増加につながる。これらの結果、脂肪萎縮症患者では、脂肪組織の減少・消失の進行とともに、重度のインスリン抵抗性、糖尿病、高トリグリセリド血症、脂肪肝などの糖脂質代謝異常の合併が高率でみられる1) 。 体重減少+糖脂質代謝異常は脂肪萎縮症を疑うサイン、レプチンも重要な指標の1つ  体重減少や痩せがみられ、重度のインスリン抵抗性、糖尿病、高トリグリセリド血症、脂肪肝などの糖脂質代謝異常が認められる患者では、脂肪萎縮症の可能性を考慮する必要がある。その際、まずは脂肪組織の萎縮時期および萎縮部位を評価することが求められる。脂肪萎縮症の診断においては、痩せや体重減少を呈する他疾患を除外し、身体的特徴から早老症候群、自己炎症症候群の可能性を検討する。これらが疑われる場合は、診断を進めるために遺伝学的検査を実施する。次に、脂肪萎縮の発症時期、分布、家族歴、脂肪萎縮と関連する病歴などを検討し、脂肪萎縮症の病型を診断する。全身MRI T1強調画像検査と血中レプチン濃度の測定は、脂肪萎縮症の診断補助ツールとして有用である。脂肪萎縮症に対する血中レプチン検査は保険承認されており、血中レプチン濃度が男性で0.6ng/mL未満、女性で1.9ng/mL未満の場合、脂肪萎縮症が疑われる。先天性病因による脂肪萎縮症の場合は、病因遺伝子の変異が検出されれば、診断が確定する6) 。  脂肪萎縮に対する根本的治療法は、現時点では明らかとなっていないが、脂肪萎縮に起因する代謝異常に対しては、レプチン補充療法の有効性が示されており7)、本邦においても2013年に承認されている8)。 脂肪萎縮症の早期発見を目指して「脂肪萎縮症コンサルト」サービス開始  非常に稀な疾患である脂肪萎縮症は、これまで疾患の認知度が低いことから、適切な診断治療が行われていなかった可能性が指摘されている。とくに、インスリン抵抗性および脂肪萎縮性糖尿病患者では、通常の糖尿病として治療を継続していることも多く、より良い医療アクセスへ結びつけることが困難であった。このような課題を解決するため、エスクメディオでは新たなサービスとして「脂肪萎縮症コンサルト」をスタートすることにした。  これまでエスクメディオでは、「皮膚科 ヒフミルくん」を代表とする非専門医が専門医へオンラインで直接相談できるコンサルトサービスを展開してきたが、脂肪萎縮症の早期発見を目指し、「脂肪萎縮症コンサルト」を新規ラインナップとして追加した。先生が診察されている患者さんの中で、重度のインスリン抵抗性、糖尿病、高トリグリセリド血症などの糖脂質代謝異常と合わせて体重減少や痩せが気になる患者さんに遭遇した際には、本サービスをご利用いただければ幸いである。 「脂肪萎縮症コンサルト」はこちらから ▶ https://hpcr.jp/v/consult/form/lipodystrophy (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 参考資料 (1)Brown RJ, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2016; 101: 4500-4511. (2)Brown RJ, et al. Proteomics Clin Appl. 2015: 225–236. (3)Garg A. Am J Med. 2000; 108: 143-52. (4)海老原健ら. 肥満研究2011. 17: 15-20. (5)厚生労働科学研究補助金難病性疾患等克服研究事業 脂肪萎縮症に関する調査研究 平成25年度 (6)中尾 一和ら. 日本内分泌学会雑誌 Vol. 94 Suppl. September 2018. (7)Oral EA, et al. N Engl J Med. 2002; 346: 570–578. (8)メトレレプチン皮下注用11.25mg「キエジ」添付文書 ヒポクラ × マイナビ無料会員登録はこちら▶https://www.marketing.hpcr.jp/hpcr