「ビタミンD」の記事一覧

ビタミンD低値喘息患児の重度喘息増悪にもたらすビタミンD3補給の効果 VDKA無作為化臨床試験
ビタミンD低値喘息患児の重度喘息増悪にもたらすビタミンD3補給の効果 VDKA無作為化臨床試験
Effect of Vitamin D3 Supplementation on Severe Asthma Exacerbations in Children With Asthma and Low Vitamin D Levels: The VDKA Randomized Clinical Trial JAMA. 2020 Aug 25;324(8):752-760. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【重要性】重度の喘息増悪は死に至ることがあり、医療費もかかる。ビタミンD3補給によって小児期の重度喘息増悪が抑制できるかは明らかになっていない。 【目的】ビタミンD3補給によって、ビタミンD低値喘息患児の重度増悪までの時間が改善するかを明らかにすること。 【デザイン、設定および参加者】Vitamin D to Prevent Severe Asthma Exacerbations(VDKA)試験は、血清25-ヒドロキシビタミンD値が30ng/mL未満で低用量吸入ステロイドを投与している6~16歳の高リスク喘息患児で、ビタミンD3補給によって重度増悪までの時間が改善するかを検討した二重盲検プラセボ対照無作為化臨床試験である。米国7施設から被験者を組み入れた。2016年2月に、400例を目標に登録を開始した。試験は無益性のため早期に(2019年3月)中止され、2019年9月に追跡を終了した。 【介入】被験者をビタミンD3群(1日当たり4000IU、96例)とプラセボ群(96例)に割り付け、48週間にわたって投与し、フルチカゾン176μg/日(6~11歳)または220μg/日(12~16歳)投与を継続した。 【主要評価項目】主要評価項目は、重度喘息増悪までの時間とした。ウイルス誘発重度増悪までの時間、試験期間の中間時点で吸入ステロイド用量が減少した被験者の割合および期間中のフルチカゾン累積投与量を副次評価項目とした。 【結果】無作為化した192例(平均年齢9.8歳、女児88例[40%])のうち180(93.8%)が試験を完遂した。ビタミンD3群の36例(37.5%)およびプラセボ群の33例(34.4%)が1回以上の重度増悪を来した。プラセボと比べると、ビタミンD3補給による重度増悪までの時間の有意な短縮は見られず、増悪までの平均期間はビタミンD3群240日、プラセボ群253日だった。(平均群間差-13.1日、95%CI -42.6~16.4、調整ハザード比1.13、95%CI 0.69~1.85、P=0.63)。同様に、プラセボと比較したビタミンD3補給によるウイルス誘発重度増悪、試験期間の中間時点で吸入ステロイド用量が減少した被験者の割合および期間中のフルチカゾン累積投与量の改善度に有意差はなかった。両群の重度有害事象発現率はほぼ同じだった(ビタミンD3群11例、プラセボ群9例)。 【結論および意義】喘息が持続する低ビタミンD値の小児で、プラセボと比べてビタミンD3補給によって重度喘息増悪まで時間の有意な改善は認められなかった。この結果からは、この患者群に重度喘息増悪予防のためビタミンD3を補給することは支持されない。 第一人者の医師による解説 小児に対するプラクティスとしてのビタミンD投与は中止すべき 横山 彰仁 高知大学医学部呼吸器 ・アレルギー内科学教授 MMJ. February 2021;17(1):17 ビタミンDは肺の重要な成長因子であり、また免疫系において制御性T細胞の誘導、Th2やTh17反応の抑制、IL-10産生などを引き起こすことが知られている。さらに、気道のマイクロバイオームに影響し、平滑筋肥大を抑制しコラーゲン沈着を抑制することで気道リモデリングに抑制的に働くことも報告されている。こうした研究に一致するように、血中ビタミン D濃度が低下した患者では、重症の喘息増悪、肺機能低下、ステロイド反応性の低下などが生じることも知られている。 以上から、ビタミンDには喘息の1次予防効果が期待されるが、残念ながらその有用性は不明である。妊婦や幼児へのビタミンD補充は後年の家ダニへの感作抑制につながるとの報告もあるが、喘息発症を抑制するかは不明である。ただし、ビタミンDには、ライノウイルスの増殖を抑制し、インターフェロンによる抗ウイルス作用を促進するなど、ウイルス感染による発作を抑制する可能性はある。実際にメタ解析ではビタミンD補充は、喘息増悪のリスクを有意に低下させることが示されている。ただ、16歳以下に関しては有意な結果は得られていない。以上から、小児へのビタミンD投与は推奨されるに至っていないが、これまでの研究では、血中濃度が低い、重症増悪リスクが高い患児を対象としていないなどの問題点が指摘されていた。 本研究の利点として以下の3点が挙げられる:①参加者の血中ビタミンD濃度を測定し、濃度が低いことを確認した上で試験に登録している、②補充により実際に血中濃度が上昇したことを確認している、③前年に重症増悪歴のあるリスクが高い患児を対象とし、重症増悪発症までの期間を主要評価項目としている。 当初、本試験では重症増悪発症率で16%の絶対差を検出できるサンプルサイズの400人を目標として設定したが、予定されていた中間解析で有効性が認められず早期中止となった。最終的には目標の半分以下の192人を、48週間のプラセボ群またはビタミンD群に1:1に割り付けた。結果として、重症増悪はビタミン群で36人(37.5%)、プラセボ群で33人(34.4%)に認められ、主要評価項目である発症までの期間はもとより、ウイルス感染による重症増悪、吸入ステロイド薬の減量や累積使用量に関しても有意差は認められず、ビタミンD投与の有効性は認められなかった。 今回の結果を踏まえると、既報から小児に対しプラクティスとしてビタミン D濃度を測定し、投与する施設があるならば、中止すべきであろう。
ビタミンD長期的補給がうつまたはうつ症状リスクおよび気分スコアの変化にもたらす効果 無作為化試験
ビタミンD長期的補給がうつまたはうつ症状リスクおよび気分スコアの変化にもたらす効果 無作為化試験
Effect of Long-term Vitamin D3 Supplementation vs Placebo on Risk of Depression or Clinically Relevant Depressive Symptoms and on Change in Mood Scores: A Randomized Clinical Trial JAMA. 2020 Aug 4;324(5):471-480. doi: 10.1001/jama.2020.10224. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【重要性】25-ヒドロキシビタミンD値が低いと後にうつ病リスクが高くなるが、長期にわたる高用量摂取を検討した大規模試験がほとんどない。 【目的】ビタミンD3補給が後のうつ病リスクおよび気分スコアにもたらす効果を検証すること。 【デザイン、設定および参加者】米国で成人2万5871例を対照に心血管疾患とがんの予防を検討した無作為化試験VITALの補助的試験、VITAL-DEP(Vitamin D and Omega-3 Trial-Depression Endpoint Prevention)に50歳以上の男女1万8353例が参加した。1万6657例にうつ病発症リスク(うつ病既往歴なし)、1696例にうつ病再発リスク(うつ病既往歴があるが、過去2年間うつ病の治療を受けていない)があった。2011年11月から2014年3月にかけて無作為化し、2017年12月31日に割り付けた治療が終了し、この日が最終追跡日となった。 【介入】2×2要因デザインを用いて、ビタミンD3(コレカルシフェロール1日当たり2000IU)、魚油またはプラセボに無作為化。9181例をビタミンD3、9172例をマッチさせたプラセボに割り付けた。 【主要評価項目】主要評価項目は、うつ病または治療を要するうつ症状のリスク(総発症例数および再発例数)および気分スコア(8項目から成る患者健康質問票うつ尺度[PHQ-8]、0[症状なし]から24点[症状が多い]、臨床的意義のある最小変化量は0.5点)の平均差。 【結果】無作為化した1万8353例(平均年齢67.5[SD 7.1]歳、女性49.2%)の治療期間中央値は5.3年間で、90.5%が試験を完了した(試験終了時生存していた参加者の93.5%)。ビタミンD3群(うつ病または治療を要するうつ症状609例、1000人年当たり12.9)とプラセボ群(同625例、13.3)のうつ病または治療を要するうつ症状のリスクに有意差は見られず(ハザード比0.97、95%CI 0.87-1.09、P=0.62)、うつ病発症または再発に群間差はなかった。時間の経過に伴う気分スコアの変化に治療群間の有意差は見られず、PHQ-8スコアの平均変化量も有意差はなかった(気分スコアの平均変化量0.01点、95%CI -0.04-0.05)。 【結論および意義】試験開始時に治療を要するうつ症状がない50歳以上の男女を中央値5.3年間追跡した結果、プラセボを比較して、ビタミンD3治療によってうつ病の発症や再発、治療を要するうつ症状、気分スコアの変化に有意な差は認められなかった。この結果は、うつ病予防のための成人へのビタミンD3投与は支持するものではない。 第一人者の医師による解説 大規模 RCTによる長期介入でも効果は確認できず 山口 智史/佐々木 司(教授) 東京大学大学院教育学研究科健康教育学分野 MMJ. February 2021;17(1):15 うつ病は疾病負荷の主要因の1つとなっている(1)。特に、高齢者のうつ病は十分に治療されていないケースが多いため(2)、医療において、高齢者のうつ病予防は重要な領域である。高齢者では、血中ビタミンD濃度が低い場合に抑うつリスクが高いことが、横断研究のメタ解析によって示されている(3)。しかし、ビタミンD濃度を上昇させる介入がうつ病予防に有効であるかどうかについては十分に検討されていない。今回報告されたVITAL-DEP試験は、ビタミン Dのサプリメントを毎日服用することで、うつ病の予防が可能であるかを5年にわたる介入により検証した、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験である。 試験対象者は、50歳以上の男女で、研究参加時点までにうつ病の診断を受けたことがない人か、うつ病既往があっても寛解後2年以上経過している人である。主要評価項目は2つあり、1つ目は、うつ病の発症および再発の有無である(うつ病の発症および再発は、医師によるうつ病の診断を受けたかどうか、うつ病の治療を受けているかどうか、うつ症状を測る質問票[PHQ-8]で点数がカットオフ以上となったかどうかのいずれかを指す)。2つ目は、PHQ-8で測ったうつ症状の長期的変化である。割り付けられた参加者は18,353人、このうち57.5%が5年間研究に参加し続けた。追跡調査は年1回の郵送による質問票で行われ、うつ病の発症と再発の確認、うつ症状の測定が行われた。また、割り付けられた錠剤の3分の2以上を服用したと回答し、プロトコール遵守とみなされた参加者は毎年の調査で90%を超えていた。ビタミンD服用群9,181人中、うつ病が発症または再発した人は609人であった(12.9/1,000人・年)。一方、プラセボ群では9,172人中625人であった(13.3/1,000人・年)。うつ病の発症・再発に関して、ビタミンD服用群とプラセボ群の間で、ハザード比は有意とならなかった。また、質問票で測ったうつ症状の点数も、2群間に有意差は認められなかった。これは、介入期間中のどの時点でも同様であった。 今回の結果は、10,000人を超える非常に多くの一般住民に対して、5年という長期の介入を続けたランダム化試験によるものである。著者らはこれらの点をVITAL-DEP試験の強みとして挙げており、得られた結果は、成人のうつ病予防のためにビタミンDを服用させることを支持するものではなかったと結論している。 1. Mathers CD, et al. PLoS Med. 2006;3(11):e442. 2. Unutzer J, et al. J Am Geriatr Soc. 2000;48(8):871-878. 3. Li H, et al. Am J Geriatr Psychiatry. 2019;27(11):1192-1202.
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.7(2022年7月7日号)
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.7(2022年7月7日号)
糖尿病の有無が影響するか、心不全に対するエンパグリフロジンの臨床転帰 エンパグリフロジン(製品名:ジャディアンス )は駆出率が保たれている心不全患者の転帰を改善するが、その効果が糖尿病の有無にかかわらず一貫しているかどうかはまだ解明されていない。II~IV度心不全で左室駆出率が40%超の患者を、通常の治療に加え、エンパグリフロジン10mgまたはプラセボの投与に無作為に割り付けた。Circulation誌オンライン版2022年6月28日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む COVID-19を含むがん患者における静脈血栓塞栓症の治療と予防のための国際的な臨床実践ガイドライン2022 International Initiative on Thrombosis and Cancerは、がん関連血栓症の治療と予防のためのグローバルなコンセンサスを確立することを目的とした、専門家による独立した学術的なワーキンググループである。2022年1月1日までの文献調査に基づく2022年版臨床実践ガイドラインには、がん患者およびCOVID-19を有する患者に対するガイダンスが含まれています。The Lancet. Oncology誌2022年7月号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む ストレスが睡眠を誘発する?そのメカニズムとは マウスでは、心理社会的ストレスの動物学的モデルである社会的敗北ストレス(SDS)が睡眠を誘発する。このような睡眠はレジリエンスを可能にすると考えられるが、ストレスがどのように睡眠を促進するかは不明であった。Science誌2022年7月号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む ビタミンDの補給で感染症リスクは低下するか? ビタミンDの補給は、感染症のリスクまたは重症度を低下させる可能性があるが、大規模な集団ベースの試験で調査されたことはほとんどない。抗生物質の処方を感染の代替指標として、60~84歳のオーストラリア人2万1,315人を対象に、5年間毎月6万 IUのビタミンD3補給またはプラセボに無作為に割り付けられた二重盲検プラセボ対照の試験を行った。The Journal of Infectious Diseases誌オンライン版2022年7月3日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む COVID-19後遺症・慢性疲労症候群に対するAEOの効果は? 長いCOVIDは筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)に継続する可能性があり、現在、最大2000万人のアメリカ人がCOVID後に重大な症状を持っていると推定され、最も一般的な症状は疲労である。 栄養補助食品であるAnhydrous Enol-Oxaloacetate(AEO)の高用量摂取が、これらに効果があるかを検討する。Journal of Translational Medicine誌2022年6月28日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.6(2022年6月30日号) 老化をあざむく方法は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.5(2022年6月23日号) 座位時間と死亡率および心血管イベントとの関連性:低~高所得国での違いはあるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.4(2022年6月16日号) 乳製品やカルシウム摂取量と前立腺がんの発症リスクの関連性:前向きコホート研究 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.3(2022年6月9日号) 運動は脳内RNAメチル化を改善し、ストレス誘発性不安を予防する ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.2(2022年6月2日号) 6〜11歳の子供におけるmRNA-1273Covid-19ワクチンの評価 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.1(2022年5月26日号) SARS-CoV-2オミクロンBA.2株の特性評価と抗ウイルス感受性 ≫その他4本
2型糖尿病患者の腎機能に対するビタミンDおよびオメガ3脂肪酸の補給の効果。無作為化臨床試験。
2型糖尿病患者の腎機能に対するビタミンDおよびオメガ3脂肪酸の補給の効果。無作為化臨床試験。
Effect of Vitamin D and Omega-3 Fatty Acid Supplementation on Kidney Function in Patients With Type 2 Diabetes: A Randomized Clinical Trial JAMA 2019 Nov 19;322(19):1899-1909. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【重要】慢性腎臓病は2型糖尿病の一般的な合併症であり、末期腎不全に至る可能性があり、高い心血管リスクと関連している。 【目的】ビタミンD3またはオメガ3脂肪酸の補給が2型糖尿病のCKDの発症または進行を予防するかどうかを検証する。 【デザイン・設定・参加者】マサチューセッツ州の単一施設がコーディネートしたVitamin D and Omega-3 Trial (VITAL)の補助研究として、2011年11月から2014年3月に米国全50州から募集した2型糖尿病の成人1312名を対象に、2×2階調デザインの無作為化臨床試験を実施した。フォローアップは2017年12月に終了した。 【介入】参加者は、ビタミンD3(2000 IU/d)とオメガ3脂肪酸(エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸;1 g/d)(n = 370)、ビタミンD3とプラセボ(n = 333)、プラセボとオメガ3脂肪酸(n = 289)、またはプラセボ2種(n = 320)を5年間投与する群に無作為に割り付けられた。 【結果】無作為化された1312名(平均年齢67.6歳、女性46%、人種的または民族的少数派31%)のうち、934名(71%)が試験を完了した。ベースラインの平均eGFRは85.8(SD、22.1)mL/min/1.73 m2だった。ベースラインから5年目までのeGFRの平均変化量は、ビタミンD3投与群で-12.3(95%CI、-13.4~-11.2)mL/min/1.73m2、プラセボ投与群で-13.1(95%CI、-14.2~-11.9)mL/min/1.73m2(差、0.9[95%CI、-0.7~2.5]mL/min/1.73m2)であった。eGFRの平均変化量は、オメガ3脂肪酸群で-12.2(95%CI,-13.3~-11.1)mL/min/1.73m2、プラセボ群で-13.1(95%CI,-14.2~-12.0)mL/min/1.73m2(差,0.9[95%CI,-0.7~2.6]mL/min/1.73m2)。2つの治療法の間に有意な相互作用はなかった。腎結石は58名(ビタミンD3投与群32名,プラセボ投与群26名),消化管出血は45名(オメガ3脂肪酸投与群28名,プラセボ投与群17名)に発生した。 【結論と関連性】成人の2型糖尿病患者において,ビタミンD3またはオメガ3脂肪酸を補給しても,プラセボと比較して,5年後のeGFRの変化に有意な差はなかった。今回の結果は、2型糖尿病患者の腎機能維持のためのビタミンDまたはオメガ3脂肪酸の補給の使用を支持するものではない。 【臨床試験登録】ClinicalTrials. gov Identifier:NCT01684722。 第一人者の医師による解説 ビタミン D、オメガ -3脂肪酸補充は2型糖尿病患者の腎機能改善効果なし 寺内 康夫 横浜市立大学医学群長(大学院医学研究科分子内分泌・糖尿病内科学教授) MMJ.June 2020;16(3) 日本では糖尿病の発症予防、合併症の発症・進展・重症化予防のためにさまざまな対策が講じられており、中でも糖尿病腎症による透析導入を減らす対策は国家的プロジェクトとして位置づけられている。糖尿病腎症に対する基本方針としては、生活 習慣改善、血糖・血圧・脂質・貧血の管理などとともに、腎不全を悪化させる脱水、薬剤、感染症を避けることが重要である。 腎機能が低下すると、血中のCa濃度およびP濃度が変化する。腎臓は徐々に血中のPを除去する能力を失い、Ca濃度を正常に保つのに十分な量のビタミン Dを活性化できなくなる。副甲状腺はこれらの変化を感知して副甲状腺ホルモン(PTH)の産生・放出を増大させ、Ca濃度を上昇させる。これらの代謝変化は骨代謝を変化させ、骨形成異常などが 認められる。こうした骨ミネラル代謝異常は血管 合併症を含む生命予後に影響する。 Kidney Disease /Impr o ving Global Outcomes(KDIGO)ガイド 2009(1)では、慢性腎臓病(CKD)G3~5期では、ビタミンD欠乏の有無チェックのため血中25(OH)D測定が望ましいとされ、25(OH)Dが20 ng/mL以下ではビタミンD欠乏症と判定し、天然型ビタミン D製剤や活性型ビタミン D製剤の投与が推奨された。しかし、「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」(2) では、保存期 CKD患者において、活性型ビタミン D製剤はPTH値を低下させ、尿蛋白を抑える効果が期待されるため、投与を考慮してもよいが、腎機能予後、骨折、心血管イベント、生命予後への効果は明らかでなく、高 Ca血症の原因となることから、 適応は患者ごとに検討し、少量から慎重に開始することが望ましいと基本姿勢が変わってきた。 このように、糖尿病患者における2次性副甲状腺機能 亢進症に対し、活性型ビタミンD製剤の使用は生命予後を改善する可能性があるが、エビデンスは 十分とは言えない。 また、オメガ -3脂肪酸は心血管イベントのリスク軽減には重要かもしれないが、アルブミン尿増加、 糸球体濾過量(GFR)低下のリスクが報告されている。 こうした状況を踏まえ、本論文の著者らは、ビタミン D製剤かつまたはオメガ -3脂肪酸を2型糖尿病患者1,312人に5年間投与した際の腎機能への影響を検討するVITAL試験を実施した。結論としては、ビタミン D製剤、オメガ -3脂肪酸のいずれも腎機能を改善しなかった。ビタミンD欠乏状態にある患者は15%程度と少数であったことが本研究の結論に影響している可能性があり、骨折、心血管イベント、生命予後を検証するランダム化対照試験も待たれる。 1. KDIGO CKD-MBD Work Group. Kidney Int Suppl. 2009 Aug;(113):S1-130. 2. 「エビデンスに基づく CKD 診療ガイドライン 2018」(日本腎臓学会)
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.27(2022年11月24日号)
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.27(2022年11月24日号)
精子数の世界的な減少 多くの研究で、精液の質および男性のリプロダクティブ・ヘルスのマーカーの低下が報告されている。著者らは以前メタ分析の結果、北米 - ヨーロッパ - オーストラリアの男性の精子濃度と総精子数の有意な減少を報告したが、当時、中南米-アジア-アフリカのデータを使用した研究は少なく、これらの大陸の男性の傾向を確実に推定することが出来なかった。今回、それらの地域も含めたシステマティックレビューとメタ回帰分析を行った。Human Reproduction Update誌オンライン版2022年11月15日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む ビタミンDは、COVID-19重症化予防に寄与するか? COVID-19の重症度とビタミンDの関連性を調査するため、デンマークの全国的な健康登録簿、COVID-19監視データベース、国立バイオバンクの保存された血液サンプルを用いた研究が実施された。具体的には、ビタミンD濃度:25(OH)Dが不足(≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 継続的なグルコースモニタリング(CGM)により見えてきた、低血糖の恐ろしさ 継続的なグルコースモニタリング(CGM)により、血糖値の変動と至適範囲を満たす時間の短さがアルブミン尿や網膜症に関連していることが明らかになった。著者らは、1型および2型糖尿病の参加者を対象に、CGMから得られたグルコース濃度と、角膜共焦点顕微鏡を使用した神経障害の高感度測定値との関係を調査した。Endocrine Connections誌オンライン版2022年11月14日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 小児期のトラウマ体験は、成人の認知機能に影響を及ぼすか? 逆境的小児期体験(Adverse Childhood Experiences:ACEs)とその後の認知機能低下との関連性を調査する研究は不足している。著者らは、中国における健康と退職者に関する縦断的調査(CHARLS)(2011年6月1日~2012年3月31日)とそのフォローアップ調査(2015年7月1日〜9月30日)を用いて、17歳までのACE経験と、認知機能低下率との関連について前向きコホート研究を行った。JAMA Network Open 誌2022年11月11日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む siRNAによる心血管疾患の新たな治療法 リポタンパク質はアテローム性動脈硬化性心血管疾患の推定危険因子であり、オルパシランは、肝臓でのリポタンパク質合成を抑制するsiRNAである。リポタンパク質濃度が150nmol/Lを超えるアテローム性動脈硬化性心血管疾患患者を対象に、オルパシランの効果・安全性を検証することを目的とした、無作為化二重盲検プラセボ対照用量設定試験が実施された。The New England Journal of Medicine誌2022年11月17日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.26(2022年11月17日号) マスクは本当に効果があるのか?:学校における検証 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.25(2022年11月10日号) キツい筋トレは筋肥大に効果があるのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.24(2022年11月3日号) AIによる膵臓がん予後予測は有用か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.23(2022年10月27日号) 蚊を寄せ付ける体臭は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.22(2022年10月20日号) 片頭痛には有酸素運動、筋トレどちらが有効か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.21(2022年10月13日号) 妊婦の"超加工食品"摂取は子供の神経心理学的発達に影響を及ぼすか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.20(2022年10月6日号) CRPはがんのバイオマーカーになるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.19(2022年9月29日号) 免疫チェックポイント阻害剤の奏効率は、食事によって変わるのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.18(2022年9月22日号) メタボを防ぐ腸内細菌に対して、最も悪影響を及ぼす食事は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.17(2022年9月15日号) セレブからも注目されているプチ断食は、ダイエットや心血管代謝に良い影響を及ぼすのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.16(2022年9月8日号) 長生きできる紅茶の摂取量は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.15(2022年9月1日号) ゼロカロリー甘味料は、耐糖能に影響を及ぼさないのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.14(2022年8月25日号) ゼロカロリー甘味料は、耐糖能に影響を及ぼさないのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.13(2022年8月18日号) 運動後の摂取はゆで卵、生卵どちらの摂取が有用か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.12(2022年8月11日号) 慢性腰痛を軽減する最良の運動オプションとは~RCTのネットワークメタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.11(2022年8月4日号) サル痘の臨床的特徴~最新症例報告 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.10(2022年7月28日号) 小児におけるオミクロンに対するファイザー社製COVID-19ワクチンの有効性 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.9(2022年7月21日号) 慢性便秘症に効果的な食物繊維摂取量は?:RCTの系統的レビュー&メタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.8(2022年7月14日号) COVID-19後遺症の有病率、その危険因子とは ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.7(2022年7月7日号) 糖尿病の有無が影響するか、心不全に対するエンパグリフロジンの臨床転帰 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.6(2022年6月30日号) 老化をあざむく方法は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.5(2022年6月23日号) 座位時間と死亡率および心血管イベントとの関連性:低~高所得国での違いはあるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.4(2022年6月16日号) 乳製品やカルシウム摂取量と前立腺がんの発症リスクの関連性:前向きコホート研究 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.3(2022年6月9日号) 運動は脳内RNAメチル化を改善し、ストレス誘発性不安を予防する ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.2(2022年6月2日号) 6?11歳の子供におけるmRNA-1273Covid-19ワクチンの評価 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.1(2022年5月26日号) SARS-CoV-2オミクロンBA.2株の特性評価と抗ウイルス感受性 ≫その他4本